とても耳慣れない言葉に興味を持ち、本論文を手にした。日本では聞きなれない分野であるが、米国では学問として成立しており、専門家の育成も行われているとのこと。人間を対象としたいわゆる一般的な「社会福祉」「ソーシャルワーク」に携わっている人、動物に関することに携わっている人、どちらにとっても、とても刺激的な報告であると感じた。
引用
・アメリカでは、人と動物の両者に関わるケースを扱う対人援助としてVeterinary Social Work(動物医療ソーシャルワーク、以下VSW)がある。
・アメリカのテネシー大学ノックスビル校では、(中略)VSWの説明として以下のように記載されている。
○動物と人の双方が関わる局面での人のニーズに対する支援の提供
・ASW宣誓では下記が謳われている。
○人と動物の関係において起こる人のニーズへの対応
・具体的にはVSWを4つの領域に分類している。
①動物に関わる悲嘆と死別 ②動物介在介入 ③対人暴力と動物虐待の連動性 ④共感疲労と葛藤のマネジメント
・動物が身近な存在となった現代社会において、人は動物から多くの利益を享受する一方で、双方に関わる問題も様々発生している。これらのケ
ースに介入していくのが動物医療ソーシャルワークであり、人と動物のそれぞれの専門職の連携・協働が必要となる。
専門職を確固たるものにしていこうと、さまざまな業務に「ソーシャルワーク」や「認定●●」といった言葉をつけ、資格化をはかろうとする施策が多いように思う。この動物医療ソーシャルワークもそのひとつなのでは?と、疑いを持ちながら読み進めた。しかし読むことでその疑いは薄れ、筆者が指摘しているように、超高齢社会を迎える日本において、今後はより明確化されるべき分野であることも分かった。動物との接し方で見えてくる人間の多面性を理解し、支援に結び付けていくためには、こういった学問があるのだと新しい知見を得ることができ、とても嬉しい気持ちにさせられた。
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