社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「動物医療ソーシャルワークと動物看護師」山川伊津子(2020)『Veterinary Nursing 』Vol.25 No.2

2022-12-14 12:04:53 | その他

 とても耳慣れない言葉に興味を持ち、本論文を手にした。日本では聞きなれない分野であるが、米国では学問として成立しており、専門家の育成も行われているとのこと。人間を対象としたいわゆる一般的な「社会福祉」「ソーシャルワーク」に携わっている人、動物に関することに携わっている人、どちらにとっても、とても刺激的な報告であると感じた。

 

引用

・アメリカでは、人と動物の両者に関わるケースを扱う対人援助としてVeterinary Social Work(動物医療ソーシャルワーク、以下VSW)がある。

・アメリカのテネシー大学ノックスビル校では、(中略)VSWの説明として以下のように記載されている。

  ○動物と人の双方が関わる局面での人のニーズに対する支援の提供

・ASW宣誓では下記が謳われている。

  ○人と動物の関係において起こる人のニーズへの対応

・具体的にはVSWを4つの領域に分類している。

 ①動物に関わる悲嘆と死別 ②動物介在介入 ③対人暴力と動物虐待の連動性 ④共感疲労と葛藤のマネジメント

・動物が身近な存在となった現代社会において、人は動物から多くの利益を享受する一方で、双方に関わる問題も様々発生している。これらのケ 

 ースに介入していくのが動物医療ソーシャルワークであり、人と動物のそれぞれの専門職の連携・協働が必要となる。

 

 専門職を確固たるものにしていこうと、さまざまな業務に「ソーシャルワーク」や「認定●●」といった言葉をつけ、資格化をはかろうとする施策が多いように思う。この動物医療ソーシャルワークもそのひとつなのでは?と、疑いを持ちながら読み進めた。しかし読むことでその疑いは薄れ、筆者が指摘しているように、超高齢社会を迎える日本において、今後はより明確化されるべき分野であることも分かった。動物との接し方で見えてくる人間の多面性を理解し、支援に結び付けていくためには、こういった学問があるのだと新しい知見を得ることができ、とても嬉しい気持ちにさせられた。

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「保育所が備えるソーシャル... | トップ | 「介護職の魅力を発信する効... »

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事