水辺から離れた場所にアカテガニがノコノコ歩いていた
アカテガニは不思議なカニで、えら呼吸しているのに水の無いような林の中で元気に暮らしている
夏、6月末から9月の初めにかけての満月と新月の晩、大潮の前後数日に大挙して陸から干潟へ下りて来て、「ゾエア」と呼ばれる赤ちゃんを海に放す。
ミジンコのような幼生で、卵を産むのではないので「放仔」と言っている
ゾエアは足が2対4本、親とは違った形で1か月ほど海で漂い、何回か脱皮し、プランクトンを食べて成長し、「メガロパ」という親と同じ足が5対10本のもう一つの違う形の幼生になる
ゾエアのころは沖へ出て行くが、メガロパの頃は沖から岸辺に帰って来る
岸辺について真水のある場所で、石の下などで脱皮を繰り返し、1回の脱皮で1mmずつ大きくなり、3~4mm程の幼ガニになると水から離れて乾いたところへ上がって来る
10月11月過ぎからカニは森の中で冬眠に入る
翌年の5月に黄色い小さなアカテガニの子供として出てくる
その後餌を食べて大きくなり、林や山から下りて行く
そして4~5年の寿命を全うする
何とも不思議な生涯を送るカニだ