サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

渦と渦/NICO Touches the Walls

2015-10-11 | シングル感想











例えば、自分にとって信ずるに値するものや思想が当たり前のように通じない現状があって
通じないどころか、時に嘲笑の対象になってしまったり、「空気」「流れ」という大きな濁流の中に呑み込まれてしまったりもする訳です
でも、なんか・・・そこで「仕方ないよね。」ってただ単に泣き寝入りするのは正直「癪だなあ」って気持ちがあります
そりゃ怖いんで大手振ってメッセージを発したりは出来ないんですけど、それでも、居心地の悪さを感じている中でも
“あくまで手前は手前を貫き通したい”
そんな強い想いを後押ししてくれるのが・・・くれるのがっていうか、実際に最近よくして「くれてる」のがこの新曲「渦と渦」なんだ。って事をまず伝えたかったんですね。


僕ら取り返せるかな
色つきの空



今作は光村龍哉の詞がかなり秀逸だと思うんです
いや、秀逸っていうよりかはここ数カ月の自分の心境そのまんまなんですよ
だから余計に自分にとって愛着が強い新曲に仕上がってる訳なんですけど・・・
時に、自分を全否定される出来事があって
自分のすべてが信じられなくなって
もう消えちゃいたいくらい精神がガリガリと削られた、それは自身の不出来も手伝って、なんですが
だからこそ、「何も無い」無味無臭な空からまた自分を信じられるような色を取り戻せるかな、取り戻してみたいな。
ってこのフレーズを聴いていたら思ってしまったんです もう一度、もっと楽しかった(はず)の季節を
もう一度、もっと自由だった(はず)の空気を・・・って。


足りない僕らで
信じてた世界を奪えたら



このフレーズも大いに自分の背中を押してくれました
本当に自分が信じているもの
正しいと思うもの
素敵だと思うもの
美しいと思うもの
尊いなと思うもの
それは「みんなが」ではなく、
あくまでも「自分が」、って事です
「みんなが」じゃなく、
「自分が」本当に信じて貫き通したい感情を保ち続けていられるかどうか

また、「信じてた世界を奪えたら」の前に
「足りない僕ら」ってフレーズが付いてるのが秀逸なんですよね
足りてたならばそんな悔しい想いだったり満たされない気持ちになる訳がない
もっと言えば足りないと思うほどに孤独でマイノリティな存在でもある、って事です
それが例え「みんな」には理解されなくとも、「みんな」にとっては嘲笑の対象だったとしても
そこに「本当に手前自身が貫き通したい想いがあるのならば」って気持ちを後押ししてくれる曲に仕上がっていて
正直(ロックンロール的に)とっても頼もしい曲ですし、ありがたかった曲でもありました。


この声が嗄れたって祈りの歌届けたいよ


極めつけはこれですよね
なりふり構わず、笑われてもいい、バカにされたっていいから
ずっと叫び続けたい、ずっと吠え続けたい、想いを持ち続けていたい
誰に邪魔されることもなく
むしろ誰かにその熱が伝わるくらいに。
本当に自分が大好きなもの
本当に自分が大好きなこと
その尊さと、
正しさと、
美しさを、
“真っ直ぐに”信じ切って醜いくらいに足掻き続けるようながむしゃらさがこの曲にはあります
そして、そこが大好きですし、ロックバンドはこれくらい無茶苦茶に転がり泥だらけになってるような曲を出して欲しいな、って気持ちもあります
要はしたり顔で説法なんぞを述べたり「一体感」を求め過ぎていたり、ドライに徹し過ぎてるということです
実はそんな不満が密かに自分にはあったんだなあ・・・という事をこの曲とThe Cheseraseraのアルバム、特に「東京タワー」という曲は教えてくれましたね
アコースティックモードから一転、再びロックモードに振り切っている最近のNICOにとって決定打的な名曲に仕上がってると思います。
しばらくは、っていうか、これからずっとこの曲と一緒に戦っていけそうですし(争うのではなく)、
この曲をライブで聴くのも今から正直めちゃくちゃ楽しみにしています(笑
ギターサウンドも分厚くTVで聴くよりもダイナミックなアレンジに仕上がってると思うので
タイアップ先で何度も聴いてた人にも是非音源で聴いてぶちのめされて欲しい一曲ですね。ぶちのめされなかったら申し訳ないんですが(笑)
でも、俺はこの曲に凄い気持ち励まされました。という事で。






カップリングの「僕は30になるけれど」は光村龍哉のパーソナル・ソングで
アコースティックモードの延長線上にあるような曲ですね
っていうか、ある意味ソロとかに相応しいような曲(笑
歌詞の内容は自己と対話してるような内容になっていて、そういう部分を深読みするのも面白いと思います

「ラーメン食べたい」のカバーは、正直天才かと思った(笑)
原曲はシティポップに近いと思うんですが、まさかのスカアレンジ、しかもそれが上手くハマってる上に
ボーカルの性質が真逆なんで、矢野さんのが“都会のレイディ”だったとしたら、光村龍哉版は“大阪のおばちゃん”、みたいな(笑
まあNICOは千葉のバンドなんですけど、そういう面白さを含んでいる好カバーに仕上がってると思います
多分、ある意味こっちをA面にした方が話題性は取れそうですよね(笑
非常にソウルフルな「ラーメン食べたい」が堪能出来るんで是非お召しあがれ・・・というところですかね。

初回版のDVDも真夏の一コマ、って感じで良かったです
「まっすぐなうた」のアコタッチ版、めっちゃいいのでこれも好きな方は見といて損はないかと。









追いかけなきゃ 最後の扉

またいちいちこういうところのセンスが良いんですよね「渦と渦」は。
本当に、これが最後のチャンスだってくらい必死にならないと伝わるものも伝わらない
要はそのくらい揺ぎ無い気持ちが大切なんだ。って事なんですよね。
「また次がある」「次はもっと」ではなく、
「今、これで最後だから」っていう、そういう気持ちで。