フケアタマ、金ぱつの騎士/トンボソのおひめさま/石井 桃子・訳/岩波書店/1963年初版
「フケアタマ」の最後に、ジャンという若者が、王さまのためにすばらしい手柄をたてる事件がもちあがりました。けれども、それは別のおはなしになります。とあって、次の「金ぱつの騎士」につながる構成になっています。
一話だけでは長すぎるので、こんな構成もありかなと思わせるお話。
3年前だったらけっして考えようとしなかったこんな長いものも、今だったら取り組んでみてもいいかなと思わせる話。
「フケアタマ」では、父親からいじめ続けられたジャンが、家をとびだし、魔法使いの城で働くことに。
ジャンの仕事は、白と黒の馬を世話すること。
城のどこを見るのも自由だが、この部屋だけはみるなと言い残して、魔法使いのおばあさんは旅にでかける。
ジャンは、見るなという部屋を開けてみることに。
この部屋をあけ、ジャンの髪の毛が、水にふれると金髪にかわり、こまかいお金を水につけると金貨にかわります。
かえってきたおばあさんから逃げ出す場面は、日本の「3枚の札」のよう。
山やびんの山があらわれ、なんとか魔法使いから逃げ出し、いきついたお城で王さまのお庭係の下働きとして働くことになります。
白い馬は、見るなといわれた部屋をみて、罰として、馬にかえられた若者。
「金ぱつの騎士」は、隣の国と戦争になったとき、ジャンが白い馬にのってひそかにでかけ相手を打ち破ります。
次に敵がせめてきたときは、赤い馬にのってこれも打ち破ります。
三回目は、黒い馬に乗って、敵を打ち破ることに。
これに三人の王女がからみ、ジャンは末の王女と結ばれることに。
冒険あり,ロマンありで飽きさせない。昔話のさまざまな要素がこめられて、ひとつひとつの場面がイメージしやすくなっています。