宮崎のむかし話/宮崎民話研究会編/日本標準/1975年
「ネズミの嫁入り」の石屋版。
石屋の三代目を期待されていた子が、どうしても石屋にはならないというので、心配した爺さんが、孫をつれて和尚さんのところに出かけます。
和尚さんが、何になるつもりか孫にたずねると、「武士になりたい」。
和尚さんが、「武士の上には、殿様がいて、すこしも頭が上がらない」というと、孫は殿様になるという。
「殿様の上には、てんが(宮殿にすんでいるえらい人がおるぞ」
「てんがの上には、お日さまという人がおるが」
「お日さまが 藁をほしていると、雲がでてきて、かわかない」
「雲は、風に吹かれて、自分の思うように動かれない」
「風には、東にも西にも大きな岩があって、西へ行けば 頭をこずき、東へ行けばおでこをうたれる」
「岩になってみよ。石屋というえらいやつがおって、まいにちまいにち、コッチン、コッチンと きられるがよ」
ここで、孫が、石屋になるというと、和尚さんは、「それみよ。やっぱり石屋がいちばんいいじゃろがな」といい、孫は親ゆずりの石屋に。
説教でなく、本人が納得できるようもっていくのは 一つの 技術です。