青い花のじゅうたん-テキサス州のむかしばなし-/トミー・デ・パオラ・再話 トミー・デ・パオラ・絵 いけださとる・訳 /評論社/2003年
テキサス州の先住民、コマンチ族に伝わる伝説で、州花になっているブルーボンネットという花の由来といいます。
あまりの日照り続きに、コマンチ族は、三日の間、たいこの音に合わせて踊り、さらに三日間ようすをみまもり、精霊に祈りを捧げます。
それでも雨が降らず、まじない師が精霊の言葉を伝えます。
「人間は、じぶんのことしか考えなくなった。大地からめぐみをうけるばかりで、なにもかえそうとしない。大いなる精霊たちは、いけにえをささげるようにいっている。それも、われわれがいちばんたいせつにしているものをもやして、おそなえしなければならない。もやしてできた灰を、大地の四つの方角、かぜがうまれたところにまかなければならない。そうすれば、日照りと飢饉は終わり、大地にも人間にも、いのちがよみがえるだろう」
なにをしたらよいのか、おしえてくれた精霊たちに感謝しつつも、もっている大切なものを失いたくない人々。
その時、身寄りのない<ひとでいる子>という少女が、たった一つの家族の形見の人形をみんなが寝静まった夜に、たき火にくべ、灰を北と東、南と西にまきます。
この戦士の人形は母親がつくってくれ、頭の青い羽は父親がもってきてくれたもので「ジェイ、ジェイ、ジェイ」となく青い鳥のものでした。<ひとでいる子>の家族はみんな飢饉で死んでいて、部族のひとが育ててくれたのです。
いつのまにかねむってしまった少女が目を覚ますと、丘には青い青い花が、あたり一面に咲いていました。
それから雨が降り出し、大地が生きかえりました。
そして<ひとりでいる子>は<みんなをたいせつにする子>とよばれるようになり、テキサスの丘や谷は春がくるたびに青い花でうめつくされます。
ブルーボンネットは、花びらの形がアメリカへの入植者の女性の日よけの帽子に似ていることから名付けられたといいますが、可憐な花で、確かに伝説が生まれてもおかしくなさそうです。夜空の青も印象にのこります。
動物の皮や布でつくったというテント(ティピ)には、それぞれの家族のシンボルが描かれているのも面白いと思いました。