どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

空飛ぶ木馬・・インド

2025年01月15日 | 昔話(アジア)

      北インドの昔語り/坂田貞二・編訳/平河出版社/1981年

 

 三つの話がつながっていくあまり見ない構成です。

 王子と商人の息子、木工の息子、金細工師の息子の仲良しの四人が、家を追われ森の中で見つけたのはレンガほどの大きさの金塊。誰かに盗られたら大変と、四人が交代で不審番をすることになった。四人のうち三人は、突然、金塊が魔物になり、食べてしまった。金塊をもって逃げたのではないかと疑ったが、金塊はそのまま。

 四晩目に不審番するはずだった木工の息子(カーティー)が、三晩目の商人の息子が食べられる様子を見て、逃げ出すと、女の衣装をつけた魔物が追いすがってきて、「冷たい人ね。あたしひとりをおいてどこへいっちゃうの。いっしょにつれていって」という声。走り続けて、道端の木にのぼると、女の姿をした魔物は木のまわりをぐるぐるまわりながら、泣いたりわめいたり。(あーら、魔物は木に登れないんだ!)
 そこへ、花嫁を迎えに行く王さまの行列が通りかかり、カーティーから事情を聴くと魔物を捕まえてしまった。(王さまは、大人数の行列だから幾日も人間を食っていられると魔物をだました知恵の働く人)。

 さて魔物から解放されたカーティーが、おなかをすかせて歩いていくと。道端に粟を見つけました。おそらく家畜のえさの食べ残しだとおもったカーティーは、それを拾うと、器用な手先で米のように作りかえました。そして町の木工の寄合所(同業者の)にすわっていた老カーティーに、作りかえた米でご飯を炊いて食べさせてくるよう頼みました。

 老カーティーが、米を炊くように一人娘にいうと、娘は、なかなか賢く、それが米でないことを見破り、<すごい腕をもった人がいるものだわ。粟をお米みたいに作りかえるなんて、並大抵のことではないわ>と感心しました。娘はすぐに、木を切り刻んで胡麻をつくり、それを預かってきた布につつんで、<御飯ができました>と、父親に渡しました。若いカーティーは、包みのなかをみて<わたしよりはるかに腕のよい人がいる!>と不思議に思って父親に尋ねました。そしていっしょに家にいくと、娘は、「あなたが、さきに細工をしたから、そのお返しです。粟でご飯を炊けというから、木の胡麻をさしあげたのです。これでおあいこです」と答え、食事がすむと、カーティーと結婚すると父親にいいました。

 結婚したものの、カーティーはなにひとつ仕事をしないで、ただ食べては寝るだけ。暮らしが立ち行かなくなり、妻からしりをたたかれ、カーティーがつくったのは寝台。金貨十万枚で売ろうとしますが、誰も買いません。都合がいいことに、この国は、朝から晩まで市においても売れない品は、王さまが買い取ってくれることになっていました。

 王さまから、特別の寝台かと問われ、「幾日かお使いになれば、それだけの値打ちがあることがかならずわかります」とカーティー。「もし値打ちがないとしたら、おまえを油しぼりの機械にかけてすりつぶすぞ」と、王さまは念を押し、寝台を使うことにしました。
 (ここからは、寝台の脚が代わりばんこに散歩に出かける楽しい場面)

 真夜中になると、寝台の脚の一本が、散歩に出かけ! 宮殿の壁に穴をあけて忍び込もうとしていた七人の盗賊を倒した。二本目の脚は、王さまが朝起きて靴をはこうとすると毒蛇が噛んで王さまが死ぬことをなげいていた老婆の話を、ほかの脚にはなしました。三本目の脚は、盗賊をたたいて倒したことを、四本目の脚は、盗賊の後をついていき、隠し場所をみてきたことを、ほかの脚にはなしました。

 王さまは、寝台の脚の話を一部始終書き取っていて、話が本当だったことを知ると、カーティーに国の半分を与えました。カーティーは妻も呼びよせて宮殿に暮らすようになりました。

 ここから別の国の王子が主役。王子とカーティーはなかよくなり、カーティーは王子のために機械仕掛けの木馬をつくって、狩りをすすめ、三つの方角へいくのはよいが、四つ目の方角にはいかないよう忠告します。

 ダメと言われて、いくのがお話しの世界。四つの目の方角を進んでいくと、ある国につきました。宿屋に泊まっていたが、夜になっても明かりがつかず。食事も出てきません。

 宿のおかみさんの言うことには、「この国には王女さまがひとりいるのですが、その王女が宮殿に戻られてはじめて、町中の明かりを灯すことになっている。それから日が暮れないとご飯を食べられません。王女さまが宮殿に戻って食事をしたあとでないと、町の者は食べてはいけないのです」

 この王女はどんな人物か見てみたいと思った王子は、木馬にのって、なんどか宮殿にしのびこむ展開。

 

 外国の昔話には長いものがありますが、これはさすがに長すぎるでしょうか。 


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