世界の民話 サヤエンドウじいさん/内田莉莎子ほか作 むらかみ ひとみ・絵/日本標準/2007年
マウイは六人兄弟のいちばん下にうまれましたが、たいへんみにくかったので、おかあさんは、マウイを海へ投げこんでしまいました。天の神さまたちがそれを見て、マウイを助け、空の上で、おおきくなるまで、だいじにそだてました。
おおきくなって、うちへかえってきたマウイは、五人の兄さんたちに、魚をつきさす もりの作り方や、ウナギを取るわなのかけ方を おしえました。
間もなく、マウイは大きな仕事に とりかかりました。まずはじめに、むかしの女の人の あごほねで つりばりを作って、海から、島をいくつも つりあげました。その中のひとつは、とても おおきく ニュージーランドという島がうまれました。
そのころ、お日さまは、いまとちがって ものすごくはやく うごいていて、作物がよくできなかったので、ひとびとは こまっていました。マウイは、なわのまんなに、丸い輪を作ってお日さまをつかまえ、うごけないように してしまいました。それから、魔法の杖で お日さまを びしんびしんとたたいたので、お日さまは、ゆっくり うごくやくそくをしました。
そのころの人たちは、なんでも、なまのままで食べていました。マウイは、地面のそこへおりていって、あくまどもをやっつけて、火の秘密を ならってきました。
さてマウイは、こんどは、人間が いつまでも生きられる力を あたえてくれるよう月の女神のところへいきました。ところが月の女神は、マウイのたのみを聞いてくれるどころか、いきなりマウイをつかまえて、ぱっくり、ひとのみにしてしまいました。マウイは、人間が、いつまでも生きられるようにしてやろうとして、自分の命を、うしなったのです
(マウイの話は、南太平洋に広く分布しているという)