にいちゃんの なみだスイッチ/文・いとう みく 絵・青山 友美/アリス館/2017年
幼稚園年中さんのなおちゃんは ちょっとたよりないお兄ちゃんに 不満たらたら。ほかの友だちのお兄ちゃんは、すごくつよかったり、格好良かったり、おもしろかったり。
ところが、幼稚園年長のお兄ちゃんは、ピーマンをのこしてお母さんに注意されたり、お風呂でシャワーが顔にかかったり、ともだちにブロックをとられたり、ぼくにお医者さんが注射するのを見て すぐに なみだスイッチがはいって、すぐになく。
ところが、動物園の遠足の前日に熱が出ていけなかったぼくに、たいせつにしていたドキドキモンスターの人形を もってきた。それから 熱が下がると、お兄ちゃんは、縄跳び電車に乗せて、部屋の中をぐるっとまわると ドアを開けた。すると階段の手すりの下には動物たちの絵。それだけでなく、壁、床いっぱいに動物の絵。おにいちゃんは動物園にけなかったぼくに、たくさんの動物の絵をかいてくれたのです。
ぼくは、うれしいのに じわっと 涙がでた。おにいちゃんも なみだスイッチが入り、わらいながら涙が。
動物園の遠足ごっこのあと、お母さん、兄弟で部屋にシートを広げ、ピクニック気分で、食べたおにぎりは ちょっと しおからくて すごくすごーく おいいしかった。
動物園にいけなかった弟を思うやさしいお兄ちゃん。裏表紙には、動物園のバクを見ている兄弟。泣き虫は、他人の痛みもわかるということ。弟だけでなく、ほかの人にも やさしくなれそうなお兄ちゃんです。