そりになったブナの木/え・たばた せいいち ぶん・かんざわとしこ/国土社/1974年初版
小さなブナの木は、うさぎが自由に遊んだり、どこへでも飛んで行ける小鳥たち、遠くを見られる大きな木を羨ましく思っていました。
そんなブナの木も季節がめぐり幾年もたっておおきな木になります。
おおきくなったブナの木のまわりではうさぎがとびっこ、はねっこ。りすたちはおにごっこ。
ブナの木が体をゆすって笑うとぶなぐりがこぼれおちて、ねずみたちはこぼれおちたぶなぐりをもらいにきます。
でもある日木こりがやってきて切られてしまいます。
小さく切られた、いたぎれをつかって、木こりはそりをつくります。
そりになったブナの木は、鈴をならし、山をすべり、谷へおりて、また山をすべってすべります。
歩けなくて悲しくなって泣いていた小さなブナの木は、こどもたちと毎日、山や野原をかけまわってとても幸せを感じます。
うさぎがとびっこ、はねっこしたり、ブナの木がからだをゆすって笑う場面がほほえましい。切り倒されてそのまま薪にされると悲しいが、山や野原をかけまわるそりに生まれ変わるのがブナの木の幸せを象徴しているようです。
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