巨人の本 世界の民話館5/ルース・マニング=サンダーズ 西本鶏介・訳/TBSブリタニカ/1980年
サンダーズはイギリスの小説家・詩人で各国の昔話を再話されています。
この話はデンマークの昔話です。
題名のなかに主要なものがでてきます。ハンスは主人公。ワインを飲んだものが重い刀を軽々と持つことができます。
お百姓の夫婦と息子ハンスがローマに向かって巡礼の旅にでかける途中、ハンスが三人の大男をからかって、大男に捕まってしまい、大男が王さまの娘をさらう手伝いをさせられます。
大男は城中のものをみんな眠らせることができるが、どういうわけか黒い小さい犬は眠らせることができません。犬がほえれば、みんな目を覚ますので、ハンスにその犬を撃ち殺してくれれば、命を助けるといいます。
城のなかに入ったハンスの目の前の壁には大きな刀がかけてあり、その下には、角製のワイン入れがあって、「このワインを飲む者こそ刀の持ち主、大胆にして勇気ある者、しっかりと刀をにぎるがよい。されば、娘の愛が、ほほえまん」という言葉がかいてありました。
夜中でみんなぐっすり眠りこけているなか、ハンスが最後の部屋で見たのは、美しい王女。ハンスは金の糸で刺繍したハンカチをふたつに引きさいて、片方をとり、金のうわばきの片方もポケットに入れます。
大男から門をあけるようせかされたハンスは、小さい門をあけ、大男が門をくぐりぬけようとしたところを、頭を切りおとしてしまいます。
やがて、両親と巡礼の旅をつづけたハンスたちです。
城では、三人の大男をころした英雄をさがさせますが、行方はしれませんでした。
王女はうわばきもハンカチも半分もっていったのは、自分を思い出すためにちがいないと、自分の見聞きしたことを王女に話すことを条件に、三日間ごちそうを食べることができるとおふれをだします。
そこに、くたくたになったハンス一行がやってきて・・・。
もちろん最後はハッピーエンドなのですが、ハンスと王女を結びつけたのは大男。
この話でも大男は、王さまにひどいめにあわせられたしかえしに、王女をさらおうとしますが、ハンスにころされ、前半ではハンスにからかわれたりと道化役です。
昔話では必ずといっていいほど、主人公を援助するおばあさんなどがでてきますが、そうでない場合は引き立て役でしょうか。
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