どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ハンスと角製のワイン入れと魔法の力

2017年12月24日 | 昔話(北欧)

       巨人の本 世界の民話館5/ルース・マニング=サンダーズ 西本鶏介・訳/TBSブリタニカ/1980年

 サンダーズはイギリスの小説家・詩人で各国の昔話を再話されています。

 この話はデンマークの昔話です。

 題名のなかに主要なものがでてきます。ハンスは主人公。ワインを飲んだものが重い刀を軽々と持つことができます。

 お百姓の夫婦と息子ハンスがローマに向かって巡礼の旅にでかける途中、ハンスが三人の大男をからかって、大男に捕まってしまい、大男が王さまの娘をさらう手伝いをさせられます。

 大男は城中のものをみんな眠らせることができるが、どういうわけか黒い小さい犬は眠らせることができません。犬がほえれば、みんな目を覚ますので、ハンスにその犬を撃ち殺してくれれば、命を助けるといいます。

 城のなかに入ったハンスの目の前の壁には大きな刀がかけてあり、その下には、角製のワイン入れがあって、「このワインを飲む者こそ刀の持ち主、大胆にして勇気ある者、しっかりと刀をにぎるがよい。されば、娘の愛が、ほほえまん」という言葉がかいてありました。

 夜中でみんなぐっすり眠りこけているなか、ハンスが最後の部屋で見たのは、美しい王女。ハンスは金の糸で刺繍したハンカチをふたつに引きさいて、片方をとり、金のうわばきの片方もポケットに入れます。

 大男から門をあけるようせかされたハンスは、小さい門をあけ、大男が門をくぐりぬけようとしたところを、頭を切りおとしてしまいます。

 やがて、両親と巡礼の旅をつづけたハンスたちです。

 城では、三人の大男をころした英雄をさがさせますが、行方はしれませんでした。

 王女はうわばきもハンカチも半分もっていったのは、自分を思い出すためにちがいないと、自分の見聞きしたことを王女に話すことを条件に、三日間ごちそうを食べることができるとおふれをだします。

 そこに、くたくたになったハンス一行がやってきて・・・。

 もちろん最後はハッピーエンドなのですが、ハンスと王女を結びつけたのは大男。

 この話でも大男は、王さまにひどいめにあわせられたしかえしに、王女をさらおうとしますが、ハンスにころされ、前半ではハンスにからかわれたりと道化役です。

 昔話では必ずといっていいほど、主人公を援助するおばあさんなどがでてきますが、そうでない場合は引き立て役でしょうか。


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