世界むかし話12 フィンランド・ノルウエー/坂井玲子・山内清子:編訳/ほるぷ出版/1990年
トロルを追い払おうと、三人の兄弟がトロルの家をめざしてでかけます。
トロルは宿を提供してくれますが、その夜、ヘッリたちには赤いずきん、三人のむすめたちには白いずきんで、ねむることになりました。
三人の兄弟はころされそうになりますが、ヘッリがずきんをとりかえてしまい、トロルは自分のむすめとも知らず殺してしまいます。
それからヘッリは、トロルの家で見た金色と銀色の毛の馬をいただきにでかけます。それだけではありません。お金、金糸で織った羽根布団、金のベルと、四度もトロルの家に出かけます。
いずれもヘッリは巧みにトロルのおかみさんをうまくだますのですが、四度ともなると、さすがにやりすぎ。
金のベルをとろうとすると、トロルにつかまって食べられそうになりますが、おかみさんからオーブンの中にはいるようにいわれ、「どんなふうにして、そこの中へはいるかわからないよ。おかみさんが先に入ってみせておくれよ」といい、おかみさんがオーブンの前で、かがみこむと、ヘッリは力いっぱいにおくへおしこみ、オーブンの口をしめてしまいます。
ヘッリは、おかみさんのまるやきがすっかりできあがると、オーブンからとりだし、テーブルの上におき、おかみさんの服を人のかたちに見えるようにしてベッドの上におくと家にかえりました。おかげで、おかみさんはトロルのお客さんに食べられてしまいます。
お客たちがおいしいまるやきをたべはじめると、中からは、おかみさんの首かざりがでてきて、みんなはびっくりぎょうてん。
それでもトロルは「ぜんぶたいらげてくだせえ。せっかくたべはじめたものは、のこすことはありませんや!」。(笑っていいものか?)
ヘッリをおいかけたトロルが、ヘッリの大声で太陽のほうをちらっと見てしまうと、パーンとはじけてしまいます。
トロルが太陽を見てはいけないというのは、はじめて。
トロルもそのおかみさんも気の毒になってしまいました。