世界むかし話12 フィンランド・ノルウエー/坂井玲子・山内清子:編訳/ほるぷ出版/1990年
農場を持っている牧師が、草刈りの手伝いをふやそうと、あらたに若い男を一人雇いました。牧師はどけちで、草刈りたちは懸命に働いていましたが、若い男はいっこうに仕事をするようすはありません。一日中なにもせずぶらぶらしていました。
夜になると若い男は大きな巾着をもって町に出かけ、とちゅうで、スズメバチの巣を見つけると、巾着がいっぱいになるまでスズメバチを詰め込みます。そして草刈りは二日分の仕事を一日でしあげたといい、それから橋をわたったところで、銀貨のいっぱいはいった巾着をひろったといいながら巾着を牧師にみせました。
よくばりの牧師が、おおいそぎで「ああ、それは、わたしの巾着だよと」いうと、「おや、そうでしたか。それではおわたしましょう。でも、もしも牧師さまが嘘をついているのなら、巾着のなかの銀貨がすべてスズメバチになりますように。そして、おれたちがきょうかりとった草が、あしたの朝には、また頭をもたげて、のびていますように。」というと、男は巾着をテーブルの上において、かえっていきました。
牧師が巾着の口をひらいたとたん・・・。
ところで、牧師はプロテスタント、神父はカトリックという違いがありますが、調べてみると興味深い違いがあるようです。牧師、神父さまは、欲張りとは縁がなさそうですが、昔話の世界では、なぜか尊敬できない存在というのはなぜでしょうか?