新編世界むかし話集10/アメリカ・オセアニア編/山室静・編著/文元社/2004年
めずらしいギアナの昔話で、呪術逃走譚です。”ところかわればしなかわる”で、逃げ方もさまざま。
逃げるのは三人娘の末っ子、追いかけるのはユルパチ(森の精)。一羽のカラングが、あっという間に、若者にかわり、娘といっしょに、ユルパチから逃げ出します。
はじめは、姉の骨を投げると、もうもうと煙が立ちのぼります。ユルパチがおいつくと、こんどは塩と灰を燃すと、大きなイバラの藪ができ、骨と塩と灰をいっしょにして、火をつけると、そこに大きな川ができて、大きな川を越えられないユルパチから逃げ、母親のいる小屋にたどりつきます。
姉の骨というのは、暗い中、おじさんというユルパチに騙され、洞穴に連れ込まれた姉妹のふたりが、血を吸われ骨になっていたのです。
ユルパチの足は指が後ろ向きについている存在。洞窟には、見張り番のオウムがいて、「旦那、旦那、カラングがあなたのカタツムリをつれて逃げていきますよ」と、逃げたことを教える存在。
”カラング”には注釈もなく、なにかは不明です。