どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

くじらの だいすけ

2018年07月30日 | 絵本(日本)


    くじらのだいすけ/天野祐吉・作 梶山 俊夫・絵/福音館書店/1967年

 「むかしむかし」と、昔話風ですが、クジラが山にいたころとはじまり、海で暮らすようになったという由来話でもなさそうです。

 おおきなクジラが、歩くと山がゆれて、みんなに迷惑をかけるからと何十年もじっと、すわったきり。

 山のお祭りの日、はっくしょんと、おおきなくしゃみをすると、やぐらも提灯も、動物たちもすっとんでしまいます。
 「だいじなみんなのお祭りをだいなしにしてしまった」となげくクジラでしたが、カラスが「わざとしたんじゃない」となぐさめ、クジラがカラスと、どしんどしんと歩き出し、いったさきは海。

 クジラにふきとばされた動物たちが、おこっていないぞ!とよびかけても、クジラにはよく聞こえず、おこって追いかけてきたに違いないと、クジラのだいすけは、舟で逃げ出します。しかし、その舟が小さすぎて壊れてしまい、海の底へ。
 ところが海の中で、からだがかるくなり、すうーっとうかぶと、すいすい進み始めます。

 ひろい海で、だれにも迷惑をかけないからと泳ぎ始めたクジラに、みんなは、いつまでも元気にくらせよとよびかけます。

 みんなの気持ちはクジラにつたわったようですよ。

 動物たちにとって、クジラの背中はすべり台になったり、大きな体はかくれんぼするのに格好の場所だったので、山でも人気者でしたが、やっぱりクジラは海かな!

 「これからもなかよくしような」という優しい動物たち。

 でもでも、誰に気兼ねすることなく暮らせるのが一番のようです。

 動物たちがもつ提灯が印象にのこりました。


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