どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

こがねのあしのひよこ・・アルゼンチン、赤いおんどり・・スイスほか

2021年11月26日 | 昔話(外国)

 奇想天外な昔話。誰がこんな話を生み出したのでしょうか。アルゼンチン、スイス、パキスタン、ハンガリーに共通する話です。


     こがねのあしのひよこ/秋野ゆきこ・再話絵/福音館書店/1998年初版

 アルゼンチン民話の再話です。

 貧しい夫婦のところに黄金の足をもったひよこが生まれました。
 ところがこれを知った王さまは片足を切り取り自分のものにしてしまいます。

 すくすく育ったひよこは、足をとりもどすために、王さまのところにでかけます。

 途中であったのはきつね。ひよこがきつねに食べられてしまうのかと思うと、ひよこは、一日歩いて疲れたしまったきつねをひとのみにしてしまいます。

 ライオン、とら、川もひよこと一緒にでかけようとしますが、途中でみんな疲れたというので、ひよこはみんなひとのみにします。

 王さまは、城に着いたひよこを、めんどりで殺そうとしますが、ひよこがが口からきつねをはきだすと、きつねはめんどりを一羽残らず食べてしまいます。次に王さまは羊にひよこを殺させようとしますが、ひよこの口からはきだされたライオンは、羊をたべてしまいます。ラバはとらに食べられてしまいます。

 そして、薪の山で焼き殺そうとすると、今度は川が火を消し、王さまの家来をおぼれさせてしまいます。

 ひよこは、手の打ちようがなくなった王さまから黄金の足をとりもどし、たくさんの宝物をもって、家に帰ります。
 

 ひよこは可愛いのですが、なかなかの曲者です。何しろ自分より大きいものを飲み込んでしまうのですから。
 ひよこは頼りないというイメージですが、王さまに敢然として立ち向かうさまは痛快そのものです。


赤いオンドリ(サンドリヨン/世界むかし話 フランス・スイス/八木田宣子・訳/ほるぷ出版/1979年初版)

 スイスの昔話です。

 ひよこが、自分より大きいものを飲み込むことにびっくりしていると、同じように赤いオンドリが、キツネ、オオカミ、池を飲み込みます。
 きっかけは、赤いオンドリが百姓に貸した百フランをとりたてようと、旅の途中で、であったことでした。

 キツネがリューマチのせいで、これ以上歩けないというと、赤いオンドリのくちばしのなかに飛び込みます。

 オオカミも疲れたからと、赤いオンドリのくちばしのなかへ。池も魚を飲みすぎたから疲れというと、赤いオンドリのくちばしのなかへ。

 百姓のおかみさんが、とり小屋に、一行をいれて殺そうとすると、頭や首をつっつくメンドリたちをキツネがでてきて食べてしまいます。

 百姓のおかみさんが、家畜小屋に入れて、牝牛に一行を殺させようとすると、オオカミがでてきます。パン窯で焼き殺そうとすると、今度は池の出番です。

 リュウマチがでてきたり、旅の途中で天候や、その日のニュースを話すなど、現代風です。

 この赤いオンドリは青いこうもり傘を杖代わりにしていておしゃれです。

 百フランが、どれくらいのものか疑問がわきますが、馬を買える金額とあって、こちらもわかりやすくなっています。


王さまとオンドリ(子どもに語るアジアの昔話5/アジア地域共同出版計画会議企画 ユネスコ・アジア文化センタ・編 松岡享子・訳/福音館書店/180年初版)

 パキスタンの再話です。

 オンドリの耳の中に、キツネ、オオカミ、ハイエナ、ライオンがすわります。

 王さまの土地で、小麦をつくっていたオンドリが、労賃として小麦をわけてくれるよう頼みます。耳の穴にはいるだけといわれ、オンドリは耳にいれはずめますが、山と積んであった小麦は全部オンドリの耳の中にはいってしまいます。王さまが自分の分け前を要求しても、約束だからと長い旅に出たオンドリ。

 遠くの国へ行って、王の姫君に結婚を申し込もうというのです。

 途中、キツネ、オオカミ、ハイエナ、ライオンがどうしても一緒に行きたいというので、同行しますが、すぐに歩けないというので、耳の中にすわるようにいいます。

 やがて、王さまのところにつきますが、もちろんすんなりといきません。
 オンドリがニワトリ小屋にとじこめられるとキツネが、羊の囲いにいれられるとオオカミ、ロバの囲いの中にいれられるとハイエナがでてきます。

 気も狂わんばかりにおこった王さまが、オンドリを懲らしめようとすると、ライオンがでてきて、みんな逃げてしまいます。

 王さまはオンドリと娘の結婚とひきかえに、自分と国の者には手を出さないように頼みます。おまけにオンドリは、持参金として国の半分も手に入れます。

 

・雄鶏とサルタン(英語と日本語で語るフランと浩子のおはなしの本/フラン・ストーリングス編著 藤田浩子と「かたれやまんばの会」訳/声社/1999年)

 ハンガリーの昔話ですが、フランさんの アレンジが楽しい。

 オンドリが道端で1ペニー硬貨をみつけ”お金を見つけた”と歌っていると、サルタンが歌を聞きつけ、1ペニーを取りあげてしまいます。オンドリは1ペニーをとりもどそうとサルタンのもとへでかけます。

 はじめは深くて暗い井戸へ投げ込まれますが、井戸の水を飲みほして サルタンのもとへ。炎のなかへ投げ込まれると、井戸で飲んだ水をはきだし、ハチの巣箱にぶちこまれると、オンドリはハチを飲み込んでしまいます。

 サルタンが、オンドリを自分のポケットにねじこむと、オンドリがハチを吐き出したのでサルタンは おしりをさされてしまいます。

 楽しいのはオンドリの表現。”けれどこのオンドリはそんじょそこらにいるような、ありきたりのオンドリではありません”というフレーズが何回か繰り返され、聞き手の反応が予想できます。


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