きみは しっている/五味太郎/岩崎書店/1979年
コンドル?ハゲタカ?が肉をこんもりした岩かげにかくし、「ここに かくして おいたことを よく おぼえておいて くれたまえ。このほんを よんでいる きみ、ぼくはちょっと ねてくるから・・」
コンドルにいわれて、そのきになってみていると、おや キツネがみていて、肉をもっていってしまいました。
つぎの日の朝、肉を食べようとすると 肉がありません。
「だれかに とられたんだ! きみに ちゃんと みはりを たのんでおいたのに!」「もちろん きみは しっているんだろう! みてたんだもんね。でも いわなくていいよ。犯人は、ぼくが ひとりで みつけてみせる」と、トカゲ、牛、ヘビ、ライオンなどに目をつけていきますが、みんな否定します。
「はんにんは ほんをみていた きみだ!」と、読者に八つ当たり。でもすぐに「つい カットしちゃって、まさか きみが ほんのなかの 肉を ぬすめるはず ないよね」
「ねえ、きみ そっと、おしえて くれないか」
読者は、はじめにキツネが 肉をもっていくのをみていますから わかっているはずですが、そこは五味さん、とっておきのオチがあります。
主人公が、読者に話しかけるという形式。先入観を持ってしまう導入部と さいごのどんでん返し。やられた!となること 請け合いです。