乳酸菌 新商品ラッシュ 各社、健康志向に照準 菓子、みそ汁、納豆、パスタ、アイス…
2017年9月13日 (水)配信毎日新聞社
乳酸菌入りポテトチップスやアイスなど、身近な食品に乳酸菌を加えて健康促進をアピールする食品が続々と登場している。キリンホールディングス(HD)と森永乳業は今月、独自開発した乳酸菌を加えた商品の新ブランドを発表した。消費者の健康への関心が高まる中、各社は乳酸菌入り食品を新たな収益の柱に育てようとしている。【今村茜】
キリンHDは1日、研究開発する「プラズマ乳酸菌」を使った新ブランド「iMUSE(イミューズ)」を発売した。磯崎功典社長は記者会見で「人口が減少して、ビールや飲料など『胃袋ビジネス』は厳しい状況だ。健康領域に徐々に軸足を移していく必要がある」と語った。乳酸菌関連事業で10年後に売上高230億円を目指す。
乳酸菌は生菌と呼ばれる生きた乳酸菌が一般的だ。熱に弱いため、従来はヨーグルトなどチルド商品での提供が多かった。しかし、加熱処理した死菌のプラズマ乳酸菌は、無味無臭で粉末状に加工できるため、菓子や加工食品などドライ商品にも添加できる。
キリンHDは乳酸菌入りの新商品を開発、販売するとともに他社と連携した商品開発も進める方針で、第1弾はカルビーと共同開発した「ぽいっと!ナッツソルト味」。10月2日から全国のコンビニ限定で販売し、健康的なスナック菓子のイメージ作りに一役買う。
加熱処理した乳酸菌の企業向け販売では、森永乳業が一歩先を行く。「シールド乳酸菌」と呼ぶ独自素材の企業向け販売を14年から開始しており、これまでに永谷園のみそ汁、タカノフーズの納豆、日本製粉の冷凍パスタなど150超の企業で使用されている。
森永乳業は今月1日、シールド乳酸菌を使った商品の自社ブランド「乳酸菌と暮らそう」をスタート。初めて自社からシールド乳酸菌を配合したアイスクリーム「バニラ薫るシュガーコーン」など4品目を4日から順次発売した。1年間で30億円の売上高を目指す。
消費者の健康意識の高まりを背景に、乳酸菌入りの食品市場は拡大傾向にある。TPCマーケティングリサーチの調べによると、ヨーグルトなどの発酵乳、飲料、健康食品を合わせた乳酸菌応用製品市場は5年間で1・3倍に成長、2016年は6541億円となる見込み。
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■KeyWord
◇乳酸菌
糖分を養分にして乳酸を作る細菌の総称。自然界には300以上の種類があるとされる。ヨーグルトやチーズなど乳を原料とするもののほか、みそや漬物などの発酵食品にも含まれる。独特のすっぱさと風味は乳酸によるもの。人間の腸内にある細菌の中で健康維持に役立つ「善玉菌」の代表格で、定期的に摂取すると整腸機能や免疫力を高める効果があるとされる。
ベビー用品大手のコンビは、加熱処理した乳酸菌を1997年から原料として企業向けに販売しているが、認知度はまだ低いという。ロッテは乳酸菌をチョコレートで包む独自技術を開発し、生菌を腸まで届ける「乳酸菌ショコラ」を2015年に販売、ヒット商品となった。
2017年9月13日 (水)配信毎日新聞社
乳酸菌入りポテトチップスやアイスなど、身近な食品に乳酸菌を加えて健康促進をアピールする食品が続々と登場している。キリンホールディングス(HD)と森永乳業は今月、独自開発した乳酸菌を加えた商品の新ブランドを発表した。消費者の健康への関心が高まる中、各社は乳酸菌入り食品を新たな収益の柱に育てようとしている。【今村茜】
キリンHDは1日、研究開発する「プラズマ乳酸菌」を使った新ブランド「iMUSE(イミューズ)」を発売した。磯崎功典社長は記者会見で「人口が減少して、ビールや飲料など『胃袋ビジネス』は厳しい状況だ。健康領域に徐々に軸足を移していく必要がある」と語った。乳酸菌関連事業で10年後に売上高230億円を目指す。
乳酸菌は生菌と呼ばれる生きた乳酸菌が一般的だ。熱に弱いため、従来はヨーグルトなどチルド商品での提供が多かった。しかし、加熱処理した死菌のプラズマ乳酸菌は、無味無臭で粉末状に加工できるため、菓子や加工食品などドライ商品にも添加できる。
キリンHDは乳酸菌入りの新商品を開発、販売するとともに他社と連携した商品開発も進める方針で、第1弾はカルビーと共同開発した「ぽいっと!ナッツソルト味」。10月2日から全国のコンビニ限定で販売し、健康的なスナック菓子のイメージ作りに一役買う。
加熱処理した乳酸菌の企業向け販売では、森永乳業が一歩先を行く。「シールド乳酸菌」と呼ぶ独自素材の企業向け販売を14年から開始しており、これまでに永谷園のみそ汁、タカノフーズの納豆、日本製粉の冷凍パスタなど150超の企業で使用されている。
森永乳業は今月1日、シールド乳酸菌を使った商品の自社ブランド「乳酸菌と暮らそう」をスタート。初めて自社からシールド乳酸菌を配合したアイスクリーム「バニラ薫るシュガーコーン」など4品目を4日から順次発売した。1年間で30億円の売上高を目指す。
消費者の健康意識の高まりを背景に、乳酸菌入りの食品市場は拡大傾向にある。TPCマーケティングリサーチの調べによると、ヨーグルトなどの発酵乳、飲料、健康食品を合わせた乳酸菌応用製品市場は5年間で1・3倍に成長、2016年は6541億円となる見込み。
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■KeyWord
◇乳酸菌
糖分を養分にして乳酸を作る細菌の総称。自然界には300以上の種類があるとされる。ヨーグルトやチーズなど乳を原料とするもののほか、みそや漬物などの発酵食品にも含まれる。独特のすっぱさと風味は乳酸によるもの。人間の腸内にある細菌の中で健康維持に役立つ「善玉菌」の代表格で、定期的に摂取すると整腸機能や免疫力を高める効果があるとされる。
ベビー用品大手のコンビは、加熱処理した乳酸菌を1997年から原料として企業向けに販売しているが、認知度はまだ低いという。ロッテは乳酸菌をチョコレートで包む独自技術を開発し、生菌を腸まで届ける「乳酸菌ショコラ」を2015年に販売、ヒット商品となった。