「患者平等に」願い届く 再発男性、勝訴喜び
2017年12月12日 (火)配信共同通信社
「国はいまだに責任逃れを続けている。平等に扱ってほしい」。提訴から9年。慢性肝炎に苦しむ患者の思いが司法に届いた。原告で福岡市に住む男性(59)は病気が再発し、退職を余儀なくされた。投薬治療などの費用負担にも悩まされている。全面勝訴となった11日の福岡地裁判決に「長かったが、勝ててうれしい」と喜びを語った。
男性は大学卒業後、福岡市の職員となり、生活保護者の家庭を訪問するケースワーカーだった。激務だったが、さまざまな事情を抱えた受給者に寄り添う仕事にやりがいを感じていた。
29歳の時、突然生活が一変した。「立ち上がれない」。昼食中、足に力が入らなくなった。病院で検査を受け、B型肝炎だったことが分かった。「何で自分がこんな病気に」。治療の副作用で髪は抜け、職場に復帰しても、家庭訪問を重ねる体力がなくなっていた。
症状は数年後に治まり、結婚もした。「肝炎は終わった話だと思っていた」と当時を振り返る。
だが、50歳に差し掛かった頃に再発した。以降、入退院を繰り返し、早期退職の形で、数年前に辞めざるを得なかった。
提訴したのは最初の発症から21年後。もう1年早ければ、特別措置法に基づいて国から1250万円が給付されていたはずだった。裁判では「20年の壁」が立ちはだかり、国が提示した額は300万円だった。
「提訴が遅れたのは国が長年、責任を認めなかったからだ。ばかにしている」。生涯続く投薬の費用を考えると、1250万円でも不安が残る。
この日、体調不良のため自宅で結果を待った。男性は「判決が自分と同じ立場の人たちの救済につながってほしい」と話した。
2017年12月12日 (火)配信共同通信社
「国はいまだに責任逃れを続けている。平等に扱ってほしい」。提訴から9年。慢性肝炎に苦しむ患者の思いが司法に届いた。原告で福岡市に住む男性(59)は病気が再発し、退職を余儀なくされた。投薬治療などの費用負担にも悩まされている。全面勝訴となった11日の福岡地裁判決に「長かったが、勝ててうれしい」と喜びを語った。
男性は大学卒業後、福岡市の職員となり、生活保護者の家庭を訪問するケースワーカーだった。激務だったが、さまざまな事情を抱えた受給者に寄り添う仕事にやりがいを感じていた。
29歳の時、突然生活が一変した。「立ち上がれない」。昼食中、足に力が入らなくなった。病院で検査を受け、B型肝炎だったことが分かった。「何で自分がこんな病気に」。治療の副作用で髪は抜け、職場に復帰しても、家庭訪問を重ねる体力がなくなっていた。
症状は数年後に治まり、結婚もした。「肝炎は終わった話だと思っていた」と当時を振り返る。
だが、50歳に差し掛かった頃に再発した。以降、入退院を繰り返し、早期退職の形で、数年前に辞めざるを得なかった。
提訴したのは最初の発症から21年後。もう1年早ければ、特別措置法に基づいて国から1250万円が給付されていたはずだった。裁判では「20年の壁」が立ちはだかり、国が提示した額は300万円だった。
「提訴が遅れたのは国が長年、責任を認めなかったからだ。ばかにしている」。生涯続く投薬の費用を考えると、1250万円でも不安が残る。
この日、体調不良のため自宅で結果を待った。男性は「判決が自分と同じ立場の人たちの救済につながってほしい」と話した。