茂山家初春狂言会
観に行けたよ、良かったよ、冥土の土産。
日本人の生活が昔々も変わらない、日々の出来事を、コントで、せりふ付きパントマイムで見せてくれたよ。
ユーモアって日本人にはないと外国の人が言っておられたと記憶しているけど
狂言を見て思ったよ、太古の昔から、ユーモアは日本にあったと。
今は、多くの芸人さんたちが、笑い作りを沢山して下って、
しょっちゅう笑っておれるけどね。
松江市民劇場ホームページより
◆<曲目解説>
『蝸牛 かぎゅう』
修行を終えた山伏が、竹やぶの中でひと寝入りしていると、主人の言いつけで、
長寿の薬になるという蝸牛(カタツムリ)を探しにきた太郎冠者と出くわします。
「竹薮には必ずいるものだ」と教えられて来た太郎冠者は、
すっかり山伏がカタツムリだと信じ、主人のところへ連れて帰ろうとします。
『附子 ぶす』
山一つ向うまで出かける主人は、太郎冠者と次郎冠者に留守番をいいつけます。
主人は二人に桶を見せ、この中には附子という毒が入っていて、
その方から吹く風にあたっただけで死んでしまうくらいだから、
絶対に近づかないようにと言い置いて出かけます。
しかし、だめだと言われると、やってみたくなるのが人情。
二人は、こわごわ桶に近づき、中を覗き込みます。
『水掛聟 みずかけむこ』
聟が田の見回りにくると、水が隣の舅の田に取られているのに気付きます。
そこで、畦(あぜ)をきって水を自分の田に引き、よそを見回りにいきます。
つぎに、同じように見回りにきた舅は自分の田に水がないのに気付き、
聟の田から水を引き返すと、水を取られないよう番しているところ、
再び見回りに戻ってきた聟があらわれて水を引こうとし、舅と口論になります。
しまいにはとっ組みあいになります。
その話を聞いた妻が駆けつけ仲裁に入るのですが・・・。
●茂山千五郎家
茂山千五郎家は江戸初期から、京都在住の狂言師の家として歴史に残っております。
初代から四代目までは、馬術指南を勤めていたといわれています。
五代目から狂言師として記録が残っており、六代目から禁裏御用(御所に出入りを許されている。
今でいう「宮内庁御用達」のような家)の能楽師として、京都・奈良を中心に狂言を上演した記録が各地に残っています。
九代目の茂山千吾正乕が、時の大老・井伊直弼に見いだされ、彦根藩に抱えられます。
その時、名を尋ねられ「千吾」と答えたのに大老が「千五郎」と聞き違いをなされ、その時より当主名が「千五郎」となりました。
現在も十三代目の当主・千五郎を中心として、
400年にわたり京都に息づいてきた狂言の普及・継承に勤めています。(HPより)かいせつ
●狂言の魅力、楽しさに迫る!
朗らかに笑う、一緒に笑う、仲間と笑う
去る12月1日、茂山家より松本薫さんが来局され「狂言の魅力に迫る」と題してお話を伺いました。
普段、私達は一人でフフッと笑ったり、ほくそ笑んだりすることはあっても、
大勢が集まって皆で大きな声でハ.ハ.ハァ~と笑うことはあまりないんじゃないでしょうか。
狂言は、皆で朗らかに大きな声で笑う場所を提供します。
狂言役者は、皆さん一人一人が内に持っているエネルギーを招き寄せる「わざおぎ(俳優)」なんです。
ハ.ハ.ハァ~と笑った後に、まるで太陽に照らされたような暖かいものが身体に満ちてくるのを感じて頂ければ幸いです。
また、舞台装置をほとんど使わず、扇と葛桶を色々な物に見立てたり、台詞の説明で素早く場面転回していきます。
どうぞ、イマジネーションを働かせて、楽しくご覧ください。
室町時代に花開いた文化の一つですが、分りやすい、私達の源にある笑いなのです。
お話の合間に参加者全員で、朗らかな大きな声の笑いや、扇をお銚子や盃に見立てるパントマイムを習いました。
事務局が、ハ.ハ.ハァ~の笑い声で大きく揺れた日となりました。
(報告:編集部ら・ら・ら)