温泉クンの旅日記

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阿寒湖温泉、朝の風景(1)

2020-03-29 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <阿寒湖温泉、朝の風景(1)>

 早朝に起きると、最上階にある混んだ大浴場で早々と入浴をすませ、部屋に戻り着替えると散歩に出た。昨日、到着後にすればよかったのだが、浴衣にいったん着替えて一杯呑んでしまうともう億劫になってしまった。

 
 
 阿寒湖温泉に泊まるのは初めてだ。前回に日帰り入浴したときにぶらついたところを歩いてみたい。

 そうだ、昨日オホーツク海のほうから阿寒湖に向かって走っていたときのことを先に書いておこう。秋に道東を走るときに、きっと参考になるだろうから。

「じゃがいも街道」の両脇のところどころに(その後道東のあちこちでも見た)、大量の大きめな砂利みたいなのが積みあげられていた。よくよくみると作物の集積のようだ。

 

 ビート(甜菜=てんさい=砂糖大根)の製糖工場への搬入の順番待ちかと思ったが、畑じゃなく道の脇なので、きっとでんぷん原料用のじゃがいも(馬鈴薯=コナフブキ)なのだろう。
 小清水でつくられたデンプンが、博多の名物でわたしもよく買う、明太子を使った煎餅「めんべい」に使われていると後で知って、博多から遠いこの地にも縁があるもんだなとビックリしたのだった。

 さすがに朝早いので温泉街のメインストリートにも人影はまったくなかった。このあたりの宿には一泊で、わたしの基準宿賃の八倍以上(つまり八泊できる)の料金をとる宿もあるそうだから驚く。泊まった翌朝、フロントで財布を取り出して平然と会計して鷹揚に見送りを受けて後悔なしに微笑んで出発、なんて金輪際無理だ。

 

 すこし先の方で左に入ると、見覚えのある「アイヌコタン」があった。

 

 

 阿寒湖アイヌコタンは36戸、約120人のアイヌが暮らす集落である。北海道先住民族アイヌの「アイヌ」とは人間を意味するそうだ。

 

 アイヌは、自然界の多くのそのものはカムイ(神/霊)の化身と信じてきた。山、谷、海、火、風、動物、植物、道具さえも、すべて一時的にアイヌシモリ(人間の静かなる大地)を訪れたカムイが姿を変えたものであり、自然と調和し共存すること以上に大切なことはないとの思想を持っている。

 

 民芸品の制作・販売を営み、北海道の代表的なお土産として観光客に人気がある。特にヒグマや鳥などを題材にした木彫作品はアイヌ芸術として世界から評価を受けている。

 

 正面の突き当りの建物は「アイヌ文化伝承館チセ」。
 伝統ある「アイヌ古式舞踊」は自分たちが踊って楽しむだけでなく、神々や祖先への感謝や敬意を表す表現で、伝承されてきた貴重な遺産として国の重要無形民俗文化財に指定されている。

 

 坂道の両側には刺繍、ウッドクラフト、アクセサリー、アイヌ独自の楽器のムックリやトンコリなど民芸品店や飲食店が並んでいる。

 道を戻ると、そろそろ温泉街の土産物店が開きはじめていた。

 
 
 たしか前にきたとき、店先にキタキツネの檻が出ていて、わたしが触ろうとすると「あ、ダメ、キツネに触っちゃダメですよ!」と通りかかった親切な人に注意されたっけ。キタキツネは「エキノコックス」という病気の感染源である心配がある、と後で知ったのだった。

「あ、おいで。ニャオ、ニャーオ」
 どこから出てきたのか、たぶん家猫、それも血統書付みたいな可愛い猫がいつのまにか近づいてくる。今回の北海道旅で初めて出逢う猫が、見目麗しいコイツとはラッキーじゃないか。毛艶もよくしなやかな若い肢体は、人間ならば中学か高校生といったところか。
 どうみても猫だ、キタキツネじゃないぞ。
 よーしよし、イイ子だねえー。頬ずりまではしないけど、たっぷりナデナデしてあげるからねえ。(や、やめてぇー)


  

 あともう一歩のところで、ピクンと後ろを振り返り脱兎のごとく逃げていった。
 拉致して連れ去られると、危うい気配を察知したというのではなく、飼い主の「ご飯だよー」の呼んだ声に見事に即反応したのだった。

 ああ、なんとも残念なり。ホテルに戻って朝食にするか。


  ― 続く ―


   →「網走、流氷館と流氷の見える駅」の記事はこちら


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