温泉クンの旅日記

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博物館・網走監獄(1)

2020-03-15 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <博物館・網走監獄(1)>

 博物館網走監獄は、山頂に流氷館がある網走国定公園の景勝「天都山」の中腹にある。網走監獄、つまりここ野外歴史博物館の敷地面積は東京ドーム3.5個分に相当するほど広いという。

 

 無料駐車場に車を入れ、坂の小路をがんがん昇り、木橋をどすどす渡って入口ゲートに出る。ゲートの左にある入館受付前の列に並んで入館料を支払う。
 見学者の列をさりげなくチェックしたが、どうみても堅気の衆(カップル・グループ)ばかり、OBっぽい無頼はいなかった(当たり前か)ので安心する。
 受付前に喫煙所の建物があるのをみつけて、頭の片隅に入れておく。

「赤レンガ門」と呼ばれる網走刑務所の正門。

 

 高温で焼き上げた黒褐色のレンガが「最果ての監獄」と恐れられたころの威厳と威風を感じさせるが再現構築されたものだ。

 

 門内側の左右に部屋があり、片方を正門担当看守が受付として使い、もうひとつを面会にきた家族が待合室として使った。

 

 正門を抜けた正面の建物が庁舎(旧網走監獄庁舎)である。

 

 明治期の典型的な官庁建築スタイルで、ブルーとグレイの外壁と屋根につけられたドーマー窓が特徴である。ここは典獄(刑務所長)室、会議室、職員執務室として刑務所の管理部門の建物だった。
ここが見学順路のスタート地点になっている。無料ガイドツアーもここから出発だ。

 一般客のグループやカップルも多いが、学ランやジャケット着用の修学旅行団体がガイドに引きつられてやたらあちこちで見かけるので、この際、順路を無視することにした。こんな広い博物館、すべてをみるつもりは端からない。順路を十ほど飛ばして、かねてから一番みたかったところに急ぐ。

 庁舎のちょうど真裏にあたる、見学順路番号16の「舎房及び中央見張所」。

 

 

 木造平屋建てで、少ない人数で監視できるように中央見張所を中心に放射状に五つの舎房からなり、間を渡り廊下で接続しているため「五翼放射状平屋舎房」と呼ばれている。
 
 

 収容人数3名~5名の雑居房が126室、独居房100室が置かれていた。

 

 北から順に第一舎から第五舎あるうち、第四舎80室と第五舎奥の20室が独居房である。

 

 刑務所の施設としては日本最古、木造の行刑建築としては世界最古である。ベルギーのルーヴァン監獄をモデルにしたという。

 

 

 明治時代、未開拓だった北海道オホーツクの地を開拓し、道を作るために網走刑務所に各地から囚人(主に政治犯)が集められた。1200人の囚人が網走から旭川に続く道路の開削にあたり、わずか八カ月間で163キロもの道を開通させた。ただ、過酷な労働条件によってケガや栄養失調で200人以上が亡くなったそうである。
 囚人たちも道路や鉄道にと北海道開拓に貢献し、その礎となったのである。


  ― 続く ―

 
   →「能取湖、サンゴ草群落の絶景」の記事はこちら
   →「川湯温泉(1)」の記事はこちら
   →「川湯温泉(2)」の記事はこちら

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