温泉クンの旅日記

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柳川 川下り(2) 福岡・柳川

2010-10-10 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <柳川 川下り(2)>

 柳川は、掘割が街の縦横に流れていることから水の都と呼ばれている。

 この掘割は当初、戦国時代の領主蒲池鑑盛が柳川城を難攻不落の堅城とするために開発されたものである。
 その水の防壁である掘割も領主が田中吉政の時代に、整備されて上水道、農業用水路、洪水予防などのための機能が強化された。

 突きあたりが、その堅城であった旧柳川城の水門である。



 水門の手前で、船頭が水棹一本を器用に使って舟を回頭させると、掘割のなかに向かって進めていく。





「腕とか手をひっこめてください!」
 船頭の声に、オレのことかと慌てて引っ込める。舳先がなるべく画像に映りこまないようにカメラを持つ手を伸ばしていたのだ。

 頭を下げた乗客をのせた前の舟が、低い橋の下の狭い空間に飲み込まれていった。
 ガツッ・・・ガリリ
 前を進む舟の船頭の腕前が未熟なのか操りかたが悪く、壁にぶつけてしまう。



 続いて、わたしの乗った舟がくぐるが、操船が巧みだからどこにもぶつからずに通り抜ける。



 風向きで説明が聞き取れないが、きっと白秋の歌碑だろう。

 子どもに言い聞かせるときは、目線を合わせるようにしゃがんだほうが威圧感とかが薄まっていいらしい。
 新幹線に二階建て車両があるが、上の階のほうが見はらしがよくて人気だが、下の階に座るとすこし目に映る世界が変わる。
 自分の目線の位置が猫とか犬くらいの位置になるので、見慣れたホームや乗客を見上げるようになって面白い。たまにミニスカートを下から覗きあげるかたちになってドギマギしてしまう。



 舟のうえは道路よりもはるかに低い。
 そこから見る周りの景色は、実にジツに新鮮である。



 聞こえるのは、渡る風と樹木の葉との囁き、舟が水を分ける水音ばかりだ。
 岸辺に河童の像があった。



 船頭が喋る言葉も風向きが違うのか、後ろに流れてまったく景色の邪魔にならない。



 来てよかった・・・。
 なにも考えられず、耳は水音だけを聞き目はただ景色にみとれていた。
 とても贅沢なゆったりした時のなかに自分はいまいる、としみじみ感じる。

 ただただ、わたしは満たされている。


  ― 続く ―

  →「柳川 川下り(1)」の記事はこちら

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