・・・日本の経済がなかなか良くならない中で、日本の優れた技術を生かして経済を盛り立てていこうという論調がマスコミで良く見られる。
・・・朝日の「日本前へ」と云う朝刊一面に載せられている連載記事の中で一月八日に「環境技術 生かせぬ国内」と云うタイトルの記事があった。
その記事の写真に大きな風車用の軸受けの写真が載っていて、日本の軸受け製造技術は世界でも一番すぐれた技術であることに触れられていた。
・・・私も長く、日本の製造技術で働いてきて、実は軸受け製造技術は産業の基本技術の中でもっとも重要な技術と思っている。
回転するものを支える軸受けは、機械が動いている限り稼働している信頼性の必要な部品で、且つ、一台の機械に使われる数はかなりの量である。
判りやすい例で言うと乗用車には当てずっぽうですが、一台で百個以上の軸受けを使っていると思われます。
この軸受けが年間一千万台以上、日本で生産される自動車に取り付けられるとすると、年間十億個以上の軸受けが毎日、何時間か動かされていて、我々の知っている限り、使っている時に壊れた事は聞いたことがありません。
それだけの高い品質を持った精密部品がわずか一個数十円の単位で売られている技術を考えるととてつもない技術であることが判っていただけると思う。
・・・この軸受けの技術の品質を支えているのは、実は軸受け鋼と云う鋼の製造技術であります。
軸受けの破壊は、この鋼の製造での鋼の不純物から、始まると考えられています、したがって軸受けの寿命はその使われている鋼の清浄度によって決まると言われています。
軸受け鋼の綺麗さは普通の鋼に比べると桁はずれの綺麗さを要求されます。
実は軸受けを支える軸受け鋼の製造技術も日本は世界のトップをいく技術なのです。
・・・このような製造現場の技術は、今まで、日本ではあまり評価されてこなかったのですが、今、世の中のこのような優れた技術を洗い出して、経済興隆の力とするべき時期であり、政府はこのような政策を考えるべきかと思われます。