夜噺骨董談義

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帰帆図 双幅 寺崎廣業筆 明治35年(1902年)頃

2020-07-07 00:01:00 | 掛け軸
当方としては、久方ぶりの郷里出身の画家「寺崎廣業」の作品の紹介です。

帰帆図 双幅 寺崎廣業筆 明治35年(1902年)頃
絹本水墨着色軸装 軸先塗 合箱入
全体サイズ:縦1875*横642 画サイズ:縦1117*横505

 

寺崎廣業の作品は当方の蒐集作品がかなり多くの作品数となったため、厳選のためよほどの購入理由がないと入手しないことにしているのですが、本作品は双幅ということが大きな購入理由です。



寺崎廣業の作品で一番人気のあるのは美人画でしょうが、美人画は贋作も多く、初期の頃の作が多いようです。作品としては大正期になってからの山水画に寺崎廣業の魅力があります。本作品はまだ明治期末の作品と推察しています。



寺崎廣業は注文に応じてあまりにも多くの作品を描いたので、筆の足りない作品が多く、没後の人気衰退の一因になっています。本作品は筆数の多い方の作品となります。



寺崎廣業の作品では、四幅の作品には著名な作品がありますが、意外に双幅という作品は少ないように感じています。



双幅の作品はないことはないですが、当方では画集に掲載されている「渓山春雨」・「湖山雪後」という作品くらいしか思い浮かびません。



また寺崎廣業の作品では海面(湖面)に帆舟という構図はよく見られます。本作品の題名は仮題ですが、全体に画面が赤っぽいことから夕刻の時刻と推定し「帰帆図」としています。同様な作品として当方の所蔵作品には「舞子之帰帆図」(明治44年(1911年)頃)があります。

*「舞子之帰帆図」(明治44年(1911年)頃)は本ブログに投稿されています。



本作品の落款の字体は明治31年~明治36年頃までと推定されます。画集などからは明治33年頃からと思われますが、実は明治31年の作品にもこの落款の字体の作品が存在しています。字体については時代が前後して難しい画家も多いですね。

 

さて展示室に飾ると実に見栄えのする双幅の作品です。



手前は家内の家の庭にあったという黒柿で作った皿です。


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