夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

デルフト 湖図花瓶

2012-11-18 07:33:54 | 陶磁器
いよいよ選挙です。選挙などやっている場合じゃないとは思えるデフレですが、今の政権ではどうにもならないから選挙ということでしょう。しかいそうみても政権が変わっても同じような気がします。自分のことしか考えない政治家があまりにも多すぎる。はてさて困ったものです。

さてマンションの改修用の足場のネット越しに富士山と月が見えます。なかなか味のある写真となりました。



本日はオランダのデルフトの花瓶です。オランダの焼き物は本ブログで前にお皿を出品したことがありますが、花瓶は今回が初めてです。

デルフト 湖図花瓶
合箱
幅120*奥行90*口径50*53*高さ200


上部口縁周り、下周りに共色の補修跡があり、藍色で同色に補修するなどの労力がかけられており大切にされていたことがうかがえる。古染付のような味のある作品である。






17世紀初頭に中国製の染付の磁器がオランダに出回り、品質が高く、大変な人気を博しました。それまでは、イタリアの錫釉陶器のマヨルカ焼きの影響を受けていたデルフト焼きは、中国製品の品質に追いつく為に努力を重ね、産業として大きく成長しました。

本作品は締め付けは素晴らしいですが、作りに雑なところがあり18世紀頃の作品ではないかと思われます。




18世紀の始めに頂点に達したデルフト焼きは、ヨーロッパ中の人気を集め、デルフト焼きの筆使いは、中国の磁器の絵付けを参考にし、相当高いレベルにまで発達しました。遠州流の骨董店の河善さんで見たことがありますが、一見中国の古いものと見間違えます。遠州流ではよく茶席で花入れや水指にデルフト焼を使用しているらしいです。



しかしその一方で、マイセン焼きの発祥のきっかけとなった磁器の原料のカオリンがドイツ北部で発見され、磁器生産はドイツの他にフランスやイギリスにも広がり、19世紀半ばには、デルフト市内の焼き物工房のほとんどが姿を消してしまいました。価格競争に負けたようなことになったようです。いつの世も同じことが繰り返されます。

表側に湖畔が、裏側にはシンプルに草花が描かれています。




幸いにも、19世紀半ばにイギリスで始まった産業革命による大量生産は、手作りを基本とする焼き物の世界を終わらせることはありませんでした。


作り手の生命の吹き込まれていない焼き物や、その他の工業芸術に対する反発が、奇しくも産業革命発祥の地イギリスで芽生え、「芸術運動」として始まり、1867年に行われたパリ万国博覧会に出品された日本製品のデザインからの影響も受け、手作りの美しさは甦ることとなったのです。現在まで製作が続けられています。

さて、高台内にあるシールはなんのためでしょうか?




この運動の影響は日本における柳宗悦、浜田庄司や、バーナード・リーチらの「民芸運動」にも及びました。

今回は清初の呉須赤絵のお皿と対比してました。



なかなか味のある・・、味のある政治家が出てきてほしいものです。


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