夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

馬来婦人正装 福田豊四郎筆 その68

2017-01-10 00:01:00 | 日本画
昨年末に義父が駐車場から取り出してきた黒柿の煙草盆。家内の実家に庭にあった黒柿の木で長火鉢、手あぶり、そして煙草盆をいくつか作ったそうです。長火鉢と手あぶりは健全な状態ですが、今回見つけ出してきた煙草盆は修理が必要でした。



ひとつは健全な状態に近いのですが、漆が色あせており、いつか補修した金属製の釘が悪さをしているようです。



もう一つは底板の桑が反っています。



もうひとつは分解状態です。



これらを直そうと思い、日本橋の小林宝林堂を訪ね、検討を依頼したところ、二つで7万円、三つめは寸法をつめたりでしないと修理できず、10万はゆうにオーバーするという回答。しかも当方のアイデアの直し方では全くできないとのこと。お店の御主人は指物師との交渉をする気がなさそうですし、仕事もわからないようなので、品物はとりあえず引き取ってきました。今度は山形の黒柿家具を扱う飯野工芸さんに依頼したところ、当方の提案もよく理解でき、すべて完璧に直して10万円ということで依頼しました。



年末には三客ともに同じように仕上がってきました。





漆の色が濃いのはだんだんに色褪せてくるそうです。



長火鉢、手あぶりと揃いました。当時は五客はあったそうです。先祖伝来のものを修理するのも、きちんとできる職人を探すところから始まります。



銀座、日本橋という一流どころもお金だけ高くても、技術の知識が軽薄なお店もあるようです。



先祖から伝わるものはいつまでも同じ状態を保つことは不可能です。メンテや手入れは怠らないようにすることです。



こちらは当方に伝わる桑でできた「田葉香盆」・・。



桑というと姿見。



木のリサイクルのお店で見つけた作品です。



平野共山のショーケースの桑・・。





おっと脱線しましたが、本日の作品は福田豊四郎の作品、その68です。

馬来婦人正装 福田豊四郎筆
紙本水彩額装 プレート付 昭和31年頃
10号 額サイズ:縦685*横457 画サイズ:縦515*横285



掛け軸や額の絵の飾りの基本は見る目の高さに合わせるということです。このことを意外に守らない人が多いようです。

今回の展示の反対側には黒柿の短冊掛けがあります。



飾られているのは平福百穂の「梅」、この黒柿の短冊掛けの黒柿もまた家内の家に生えていたいう柿の木から作ったものだそうです。



本ブログにある作品の多くは郷里に関係した方の作品が多いです。源内焼の平賀源内は郷里を鉱山に視察で訪問しておりますし、秋田蘭画の契機を作った人物でもあります。



平福百穂は秋田蘭画を世に紹介した画家であります。



賛に「馬来婦人正装 於久鎮」とあり、昭和31年4月から約3カ月間アジア連帯文化使節の一員として東西諸国を巡遊した際に描いたスケッチと思われます。



押印されている少し縦長の「豊」の白文朱長方印は2種類あるのか、時期によって印影が違うよに見えるように思われます。



このあたりに見極めは実際にいくつもの作品を購入していないと分からないものです。



むろん本作品は真作です。本ブログでの福田豊四郎の作品は一部の不確定なスケッチなどの作品を除きすべて真作です。



そろそろ「福田豊四郎 小作品展」でもやるかな?


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