夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

禾目天目茶碗 その2  小服茶碗 

2012-10-11 05:16:04 | 陶磁器
禾目天目・・名の由来は本ブログの愛読者ならすでにご存知でしょう。



禾目天目の投稿は本ブログで2作品めとなります。

綺麗な状態での天目茶碗の掘り出し物は少なくなりましたが、まだ骨董市には散見されます。茶器としては難しい状態のものでも日常の料理用の小鉢や小さな花を活けて楽しむにはいいものです。骨董市でじっくり見ておられる方が多く、茶器としての見方ではないのが面白いです。

瀬戸禾目天目 小服茶碗 その2
サイズ:口径112*高さ57*高台径23




本作品の妙はなんといっても釉薬の景色ですが、以前は禾目天目茶碗は珍重されましたが、発掘品が大量に出回ったり、見分けが難しい贋作が出回り非常に評価が低くなりました。この辺のところは次の機会に投稿したいと思います。



小振りなお茶碗です。釉薬の垂れや高台周りには発掘品と思われる土がこびりついていました。発掘品の可能性がありますが、贋作は土を塗り付けることくらいは平気でやりますので断定できません。発掘品は国内でもありますが数は少ないようです。



高台の作り、土の色具合から日本国内の瀬戸産の天目茶碗の可能性もありますが、近年中国で生産された作品の可能性もあます。



真贋を別とすると、このような形またこれほどの釉薬の妙は珍しくいい作品です。



NHKの大河ドラマの「平清盛」にも天目茶碗が登場しました。なぜ「天目茶碗」と称するかはすでに説明の必要はないでしょう。

ところでインターネットで瀬戸の天目茶碗を調べると下記のように掲載されています。

瀬戸窯の天目茶碗:たいへんうまく中国の天目茶碗に似せて作られています。しかし、日本製の天目茶碗にはいくつかの特徴があります。中国の天目茶碗にはさまざまな形のものがありますが、日本では口がすぼまりぎみになる形のものが特に好まれていたようで、瀬戸で作られていたのはこの形のものがほとんどでした。また、中国の代表的な天目茶碗の生産地である建窯、福建省のものと日本の瀬戸窯のものを較べてみると、うわぐすりがかかっていない部分(台の周辺)の色がずいぶんと違っています。これは原料の土の中に含まれている鉄の成分の量の差によるもので、瀬戸の粘土は鉄分が少ないために白くなってしまうのです。このため、瀬戸窯で作られた天目茶碗の中には、この部分に鬼板という鉄分を多く含む鉱物を粉末にしたものを塗り付け、焼くと黒くなるようにして、より中国の天目茶碗に似るようにしたものもあります。当時の日本人は、そこまでするほど中国の天目茶碗に憧れていたのでしょう。

粉末を塗り付けて焼いて黒くした??・・、面白い。ただ、素人で見分けがつかなくなる・・。

本作品は瀬戸と断定しているわけではありません。というより中国の作品でしょう。売り主に近代の大量生産ではと問い合わせたところ、発掘品らしいとの回答でしたが・・。

ついでに同じ分類でもうひとつの作品を投稿します。

瀬戸禾目天目 小服碗 その1
サイズ:口径100*高さ41*高台径34



非常に小振りで茶碗というより盃と称したほうがいいような器です。




禾目の釉薬が美しくこれが茶碗の大きさであれば逸品でしょう。



天目茶碗として使えないことなさそうですが、一般的に茶碗の最低の大きさは口径11CMらしいです。



外側の釉薬も実に流れが美しいです。集めてみたい気になるのがわかるでしょう



これで美味しい日本酒を飲んだらぐいぐいいきそうです。花入、杯、茶碗、食器・・・様々な使い方があります。ご覧の方々も白磁、青磁と並んで使ってみたらいかがでしょうか?



土色が若干黒っぽい状態です。建窯の作品なのか、瀬戸の作品なのか判断が難しいところですが、これは中国産のように思えます。近年の作は形に比して高台が大きめになっていますが、この作品は高台は小さめに出来ています。



この二つは口縁にしっかり釉薬が掛かっているので覆輪の必要がないようです。覆輪を付けた茶碗は以前に投稿した作品を参考にしてください。

禾目天目は気軽に入手できますので、釉薬の美しさ本位で選べばよいと思います。ただ、釉薬が程よくきれいな作品は非常に数が少ないかもしれません。先日、東京美術倶楽部で骨董店の展示会に出かけましたが、いくつか禾目天目茶碗があったのですが、いいものは一つもありませんでしたから・・。

インターネットオークションにはわずかにいいものがあるようですが、贋作が多いです。高台のつくり、出来に良く注意する必要があります。








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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
天目茶碗 (くらふと)
2012-10-12 23:22:07
釉薬の具合がとても美しいですね。

発掘品であれば、瀬戸窯出身より、もっとお値打ちがあるものなんでしょうか?
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天目茶碗 (夜噺骨董談義)
2012-10-13 14:11:31
値打ちという点では当方では解りかねますが、発掘品ということであれば最近(近代)の模倣品、贋作の部類ではないということになります。

基本的には模倣品でない限り、その姿、釉薬の出来によって優劣が決まるものですが、瀬戸窯の古作はそれはそれでかなり貴重な品ですので、発掘の数が多い建窯の発掘品より貴重価値はあるかもしれません。

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