夜噺骨董談義

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源内焼 その31 三彩樹下人物紋様角鉢

2013-05-18 05:19:20 | 陶磁器
今はバンコクです。報告は後日。


このブログを初めてからの収集ですが源内焼の作品は30作品を超えました。それほどいい作品はありませんが、面白い作品群だと思っています。その間に「なんでも鑑定団」に源内焼が出品されたりして、だいぶメジャーな分野になりつつあります。ただ、本物の源内焼がどんなものか認識はされていないように思います。明治期の作品やただの三彩の焼き物と混同し、類似品の出来の悪さから源内焼があまり好まれていないように思います。痛みのない作品は非常にきれいな作品です。

源内焼 その31 三彩樹下人物紋様角鉢
合箱
巾295*奥行297*高さ50



本作品は源内焼としては大きさが大きい部類に入ります。また無傷であるのも希少価値があります。




源内焼のネームバリューは大きく、作品のレベルも非常に高く、かつ作品数があまり多くありません。江戸中期を少し下るくらいで、200~250年くらい経ており、美術品としては十分成長する要素を持っているようです。江戸後期美術がまさに花開いていた頃のことで浮世絵などに見られるように、欧米からはこの時代の美術品が注目されていますが、マイナス要素としては、焼き物としては伊万里や九谷のようなメジャーな作品群と比べ研究書や参考資料が殆どなく図録や出版物が乏しいことです。




また突然製作が途絶え、その流れの作品が存在しないことが一般的になじみが薄い原因になっています。明治期に再興されましたが非常に製作レベルが低いものでした。






今後有望な源内焼であっても何を買ってよいというわけではないようです。源内焼にも人気のある作品の種類が幾つかあり、幾つか上げると下記の項目になります。
1、 地図皿
2、 大型の抜けのよいもの
3、 印のあるもの(瞬民、志度瞬民、民など)
4、 多彩釉(3~4彩、出来れば黒・藍などの色があるもの)
5、 擦れなどがなく、壊れていない完全なもの
などの条件があり、本作品は2と5の部分に相当します。





源内焼:江戸中期18世紀に平賀源内の指導によって源内の故郷香川県志度(現さぬきで焼かれた三彩のやきもの。明治時代に博覧会の企画で源内の子孫によって一時再興されるが、質的にもデザイン的にもオリジナルには及ばない。




源内は博物学者として長崎に遊学した折にオランダからもたらされた新しい釉薬の技術を学び、その技術を用いてふるさと讃岐・志度の産業を振興させるため、新しい三彩軟陶質のやきものを指導した。

江戸で親しかった浮世絵の鈴木春信の工房で木型を作らせ、それを志度に送って焼かせたと言われる。源内焼は型起こしによって制作されたもので、同笵の作品が見られます。

作品は大名家や幕府高官に収められたため、近年になるまであまり世に知られていない。また、実用よりも鑑賞を主眼に制作された。





補足説明

特徴をまとめると下記のようになります。
1.軟陶陶器である。焼成温度が陶器よりも低い、そのため厚く軽く柔らかい。
2.施釉は緑、黄、紫(褐)の三彩陶器である。中国三彩に倣ったものと推察される。
3.図柄は浮世絵版画を用いた型押成形である。そのためまったく同手の作品が存在する。
4.洋画風の作品や、中国風の作品、地図等当時の日本文化とは違った作品群である。
5.明治期に入り子孫による再興が行われたが、長続きしなかった、再興の作品はやはり遠く及ばないできであった。これは木型の技術の問題があったのだと言われています。

平賀源内は中国陶磁器、とりわけ三彩(交趾焼)の陶器が高値で取引され、国外に貨幣が流出されることを懸念して源内焼を考案したとも言われていますが、この点は私としては鵜呑みにはできないように思います。単純に儲かりそうだと考えて製作したというのが妥当かもしれません。

文様も世界地図など西洋風の意匠を大胆に用いたり、そのデザインは非常にバラエテイに富んでいて観る人を飽きさせません。ただ、実際には源内焼の窯跡も、その製作規模も、源内がどこまで関与したかということもいまだに謎のようです。

源内焼の保存にもっとも注意を要するのはその脆さにあります。楽焼に似た感触です。もはや数が少ない作品群ですから、破損や欠けには充分注意する必要があります。

水洗いする場合も最低限にし、洗った直後は十二分に乾燥させておくことが大切です。極力水洗いは避け、水分の使用する用途には使用を差し控える方がいいでしょう。とはいえ、器ですから使ってはじめてその価値が出るものです。箱にしまいこんで使わないよりはその良さを十二分に味わいながら使用することが肝要です。



源内焼の気になるお値段ですが、わりとまちまちです。サイズが大きく、出来のいいものですと50万を超えますが、7寸程度の出来のいいものなら5万~6万程度で購入できることもあります。ただ出来のいいものを10万以下で購入できた場合は運が良いと思うことです。傷や釉薬の剥離のひどいもの、抜けの悪く紋様が不鮮明な作品は購入をさけるべきです。骨董市ではそのような作品が見受けることがありますが、いいものはやはり20万程度の出費は覚悟しておいたほうがいいでしょう。無論極上品は滅多にありませんから、極めて高価な場合もあります。


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