Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

一丸となってスクラム

2020-07-22 | 文化一般
ザルツブルク音楽祭の準備が進んでいる。月曜日には券の売れ行き情報が出された。本来二十三万席が発売されていて既に十八万席が売れていた。それを全て返却して、合せて八万席のみが新たに発売された。しかし開幕まで二週間前でもその三分の一が売れ残ってると発表された。昨年は座席占有率が95%に至っているので、返却して再購入を断念した人は海外のみならずオーストリアやドイツでも少なくないだろうと予測される。

特にヴィーナーフィルハーモニカーがとんでもない自主規則で演奏するものだから、当然聴衆も守られないと思う気持ちがバイエルン州などでは強いと思う。ザルツブルクなどオーストリアは感染が広がっていて、注目が集まっている故に、万が一ザルツブルクの祝祭劇場でクラスターが発生したらと思うと恐ろしくて行けない。

そこで新たに広告戦略で特に高額の席を売り払いたいようだ。そうでなくとも聴取の数を三分の一にまで減少させていて、楽劇「エレクトラ」などではユニテルへの撮影や公共放送の放送料金だけでは到底計算が合わないだろう。急遽制作の「コジファントュッテ」はその点音楽祭最初のオペラ女性指揮者のヨアンナ・マルヴィッツに人気が集まればある程度の収益は上げられるかもしれないが、やはり売れ行きは良くない。

ベルリナーフィルハーモニカーも余っていて、三回のムーティ指揮の第九演奏会も席が次から次へと出てくる。特に合唱の演奏会は殆ど無法状態の演奏会になるという事を考えれば真っ当な人は顔をしかめるだろう。

バーデンバーデンに関して朗報が入って来た。最初から流動資金の要となる筈だった州からの四百万ユーロの支援が出ることがシュトットガルトから伝えられた。その額はこの間失った入場料収入に相当する。それを受けて、スタムパ支配人は、「この報は、堅い要石となり、音楽ファン、市、州、政治家、芸術家が分厚いスクラムを組んだそれを追従する形の比類なき救済構造である。」と表明した。

また、祝祭劇場協会のリップ教授は、「公的資金の援助以外に創始者、後援者、入場料金を寄付した多くの訪問者が一丸となって為し得た共和国でも比類ない成果」と語っている。

具体的には家主でもあるバーデンバーデン市に救済を目的としてその額が払い込まれて、祝祭劇場へと用立てする。祝祭劇場は私立の公共目的の文化団体であるから、今回の資金援助はそうした活動を保障する救済となる。

CSUのマルグレート・メルゲン市長は、祝祭も市も可能な限り早くコロナ条件での再開を望んでおり、三月初めから今日までを橋渡してくれる援助に感謝し、これを以って州は高度な芸術的な水準の祝祭劇場に寄り添うこと示し、喜ばしいと表明。

スタムパ支配人は、これで胸のつかえがとれたと、最も厳しい時を乗り越えたとして、先ずは小さな室内楽を催して、一息ついてから、安全を確保した条件での秋のシーズンを実現化すべく、八月中旬には公表すると語っている。辛抱強い訪問者の皆方々と、柔軟に対応して活きた音楽への信を持ち続けたチームにも感謝という。

主に決定が待たれているのはゲルギーエフ指揮ミュンヒナーフィルハーモニカーの新制作「サロメ」上演の是非であろう。個人的に気になるのはその前のベルリナーフィルハーモニカーのバーデンバーデンでの週末だが、片方が来月冒頭に改変プログラムを出す一方、バーデンバーデンの主催者が中旬になるという事でどうなるのだろう。

火曜日には、バイエルン放送協会交響楽団の前売りが始まる筈だったが、プランBのプログラム改正自体が全て九月まで延長された。やはり、現時点では中々決められないのだろう。ベルリンはその点は少し先にシーズンが始まるので致し方が無いのかもしれない。



参照:
バーデンバーデンの調印 2020-07-02 | 文化一般
最後までの憎まれもの 2020-07-10 | 雑感
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