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しゃばけ…♪

2015-12-04 09:14:30 | Weblog
『たぶんねこ』 畠山恵著 新潮文庫
『しゃばけ』シリーズ12作目、外伝を含めれば13作目です。
天下無双(?)の病弱若だんなが縦横無尽(?)に活躍するのはいつものことだけど、ふと考えさせられるところもあれば、いささか胸キュンなシーンもある。
日頃から二親にも妖しの者である兄や二人にも徹頭徹尾守られ甘やかされている若だんなだけど、決して甘えてはいないし呆けてもいない、己に甘くはないのよね。
序のところで若だんなは言う。
「“災難”に、私を巻き込まないでおくれと、頼むわけにもいかないよ」
それぁそうだわねぇ。
結局、頼みもしないのに呼びもしないのに、災難のほうからやってくる。
今回、ちょいとドキドキしたのは第4話の
みどりのたま
でした。
川で溺れかけているときに意識がもどり、頭に怪我をして、そして記憶をなくしている男。
身に付けていた印籠の中には傷の薬もあって、蛤の殻には“長”の文字。
あぁぁ、仁吉さん、あなたは仁吉さんよぉぉぉ
と読者には分かるが…。
記憶をなくした仁吉は、人に化けて暮らしてきた老いた妖狐と関わりあいになり、成り行きからちょいと切ないシーンに行き着くことになる。
そのとき、長年の相棒に対する佐助の思い遣りの暖かさも伝わってきた。
あぁ、良かった…
第5話の
“たぶんねこ”
もちょいと考えさせられる話だったな…。
ここでの主役は幽霊なんだけど、彼の心残りは
何者にもなれなかった自分
幽霊の自分探し、といっては言い過ぎかもしれないけどね。
若だんなが居場所を提案して落ち憑くところも作ってくれる。
穏やかに丸く収まって良かった。
『しゃばけ』はどのお話も、哀しくても切なくても可笑しくても、後味の良い読み物だ。
読み終わったときいつも思うのよね。
うちにも鳴家がいればいいのにねぇ
ってね。
ま、でも1年の内で片手で足りるほどしか甘い菓子を買うことのない我が家には居つかないだろうねぇ…
コメント
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