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『神田職人えにし譚』シリーズ…♪

2023-03-11 11:19:09 | Weblog
先日『本所おけら長屋<二十>』を購入したとき、時代小説の文庫本コーナーで新刊として紹介されていた1冊がふと目に止まりました。
以前に読んだことのある作家のもので、カバーの紹介文にある「化け狐」の文字に目を引かれました…、カバー内側を確かめるとシリーズの5作目らしい…、ん~、これはまぁ、試しに1作目を読んでみようと思いまして…

          

飛燕の簪 神田職人えにし譚』 知野みさき著 角川春樹事務所
シリーズ1作目、1話完結の物語が3本。
縫箔の女職人である咲がひょんなことから錺師の修次、同時に謎の双子と出会い物語が始まります。
先に言ってしまうとこの双子、稲荷神社の神狐の化身だと思われますがなんともかわいい。
咲&修次が出会う貧しい姉弟のこと、今風に言えば認知症の老女と生き別れになっていた姉との再会、咲の妹に恋した内気で奥手な大工のちょいとお間抜けなお話。
そして修次は…お咲さんにほの字だねぇ

          

咲の作品を扱っている小間物屋桝田屋の女将美弥さんと店の手代志郎さんとの仲はめでたく納まり、修次の過去というか生い立ちがちょっと明らかになります

          

桝田屋の先代女将寿さんの三味線の師匠と寿さんの夫の友人の間にあるいわくとは…、解けかけていた結び目を咲が作る巾着が見事に結び直します、そして咲の終わった―終わらせた―恋のお話も。
咲の周りの男たちに修次はちょいちょい焼き餅を焼いてます

          

咲の弟で塗師に弟子入りしていた太一の独り立ちが決まり目出度くお嫁さんを迎えることになったり、咲の長屋仲間である大工の辰治さん愛用の唐獅子模様のキセルにはいわくが…。

          

ちぃ~っとめんどくせぇ奴が登場、戯作者の狐魅九之助…コイツはまぁ言ってしまえば“狐オタク”だ、いい加減にしろよ…
評判の人形師四代目英治郎の正体は、難題をどう納めるか。
睦月二日、咲と修次は1年ほど前からの約束だったお互いのお互いに向けた作品を交換します、咲からは財布、修次からは平打ちの簪、それぞれの意匠は…

どの物語も双子の“しろ”“ましろ”が上手く咲&修次を操って物事を収めていくような展開です、人間の子供でいうと7~8歳という見た目ですから、おそらく神狐としてもまだまだ幼くて修行中ってっことでしょうかね。
そして物語のなかでときどき咲が選んだ意匠についての蘊蓄がほんの少しさらっと語られますが、それが一つ一つ奥深いんですよ。
縫箔師としてさらにさらに腕を磨き精進していきたい咲、すでに人気で引っ張りだこの錺師修次、この二人はありきたりの夫婦(めおと)になるよりも職人同志のカップルでいる方が似合うような気がするなぁ…、それだと修次の焼き餅がだんだん大きくなるかなぁ…
咲の妹の雪も嫁入りが決まったし続きが楽しみです、とはいえ次が出るのは来年の2月ですけど
またまた素敵な時代物に出会いました
コメント
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