「主要な経済指標の発表予定と予測(11月11日~11月15日)みずほフィナンシャルグループ より
■ アベノミクスの下で低下し始めた実質GDP ■
6月以降、景気が下降気味だなと思っていたら、実質GDPの伸びが低下している様です。
「主要な経済指標の発表予定と予測(11月11日~11月15日)みずほフィナンシャルグループ
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/indicator/prediction131108.pdf
日本の株価は5月にピークアウトしていますが、実質GDPも第二四半期にピークアウトしているみたいです。
1) 世界的景気減速により外需が減少
2) 家計(消費+住宅)も大幅に縮小
3) 販売不振からか在庫が増えている
4) 政府部門の支出がGDPを支えている
■ アメリカのGDPの増加って、在庫が増えてるだけ? ■
上のグラフはアメリカのGDP伸び率。
やはり第3四半期でピークアウトしそうな気配。
在庫が増えている事が注目です。
民間消費が伸び悩む中での在庫増加は、景気が減速する事を示唆しています。
■ 米国の景気停滞で延命する世界経済 ■
世界の注目はFRBのテーパリング(緩和縮小)に集中していますが、アメリカの実体経済の回復が鈍化、あるいは景気後退に陥れな、QE3を継続せざるを得ません。
FRBは「失業率が6.5%を下回るまで・・」というQE3縮小目標を掲げていますから、QE3の延期がFRBの公約違反になる事はありません。むしろFRB内では、「失業率の目標を6.5%より低く設定して、量的緩和を景気回復が確実になるまで延長すべきだ」という超ハト派的な意見まで出ています。
■ 過剰流動性を制限し始める各国の金融政策 ■
リーマンショック以降、トービン税の導入検討や、ボルガールールなど、欧米の金融機関は過剰流動性を抑制してボラティリティーを減少させる政策が検討されています。
アメリカでは、「金融危機発生時に30日程度の流動性を確保出切る、換金性の高い資産を保持する事」が義務化される様です。「換金性の高い資産」とは、国債と超過準備預金が相当する様です。この基準はバーセルⅢよりも厳しい様です。この規制により、バッファーの40%までしかMBSは組み込めないようです。
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2013/10/112518.php?&sa=U&ei=OdFtUpnNKquQyQHK8YGYCQ&ved=0CCkQFjAE&usg=AFQjCNHk-GdURE0E9gxLp_XtdE_TtyrZ9w
「30日間の流動性バッファーを確保する」と書くと、流動性が高まる様に思われますが、これは国債や準備預金に過剰流動性を吸収する政策で、むしろ市場の過剰流動性を抑止する働きがある様に思われます。
■ 金利上昇を抑制しながら、市場に資金を提供し続ける ■
金融緩和の名目は、日本でもアメリカでも、市場に資金を提供して景気回復を助ける事とされています。
一方で、金融規制は投資を規制する事で、安全資産とされる自国国債に資金を誘導しています。どうも言っている事をやっている事がチグハグです。
しかし、景気回復は金利上昇を伴うので、世界の金融機関が低金利の緩和マネーで生きながらえている事を考慮すれば、FRBも日銀もECBも、現時点での景気回復と金利上昇を一番懸念していると言えます。
バブル崩壊後の日本でも、景気刺激の為の金融緩和と、バーセル3を満たす為に自己資本比率を引き上げる為の貸し剥がしが同時進行しました。アクセルとブレーキを同時に踏む様な状況ですが、アメリカも似た様な状況にあるとも言えます。
■ 遠ざかる出口 ■
昨年9月に実施されるかと思われたQE3の出口戦略ですが、来年3月以降という見方が強まっています。実体経済の回復が弱いというのが、その理由です。
アメリカ議会の混乱と、金融規制の強化という2重の足かせを嵌めたまま、アメリカ経済はたはして「力強い回復」を実現出来るのか。
アナリストの多くは、「アメリカ経済は回復するだろう」と言い続けて来ました。しかし、GDPの伸び率は、ダラダラと経済が停滞を続けていることを示しています。
アメリカの第四四半期のGDPが減少に転じれば、さすがに「景気回復」とも口に出来なくなります。QE3の延長には都合がよいのでしょうが、アメリカでも庶民の生活はどんどん苦しくなる一方です。