人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

多様化するスーパー・・・デフレの時代の生き残り

2013-11-12 11:42:00 | 時事/金融危機
 

■ スーパーの弁当って安すぎじゃない? ■

食品偽装問題で「食の安全」が話題になっていますが、私達庶民にとっては車エビとブラックタイガーの違いなんて、すり身になったら絶対に分かりません。ホテルのラウンジで高いお金を払ったら、パックのジュースだって、フレッシュジュースと思い込んで「やっぱ、絞りたてって美味しいね」と言ってしまいそう・・。

だいたい、庶民はランチにコンビニ弁当かホカ弁で悩むのですから、報道されているのは別世界の事の様に感じます。

尤も、最近一番安いのはスーパーの弁当。298円で十分なボリュームがあります。この際、肉が国産で無くても全然気にしません。もり蕎麦が198円って、もう家で茹でるより絶対に安い。ネギとワサビまで付いてます・・・。

■ コンビニと熾烈な争いを展開する大型スーパー ■

一時、コンビニ業界は勢いがありましたが、現在は大型スーパーとの競争が過熱しています。近所の西友は、食品売り場は24時間営業です。これによって何が起きたかと言えば、人通りの少ない住宅地の中のコンビニが軒並み撤退してしまいました。

コンビニより品ぞろえが多く、お弁当も安い大型スーパーが駅前にあり、さらに24時間営業なのですから、駅を降りた人は深夜でもそこで買い物するのは当然です。

一方、コンビニも100円ローソンなどのディスカウント展開や、生鮮野菜を取り扱うなどして、顧客の奪還に必死になっています。

最近は窓際にテーブルとイスを置いて、スマホーコーナーでコーヒーが飲めるので、マックの客を奪たりしています。

■ イオングループの一人勝ち? ■

かつては、ヨーカドー、西友、ダイエーがスーパー御三家だったと記憶していますが、現在はイオングループの一人勝ち状態です。ダイエーはイオンの傘下に下り、ヨーカドーはセヴンイレヴンに支えられ、西友はウォールマートになってしまいました。

12月にイオンの本拠地、海浜幕張に巨大なイオンモールが開店しますが、このデフレの時代にどこにそんな需要があるの?って心配になる程の巨大さです。

イオンは不動産業としてのイオンモールと、そのキーテナントとしてのスーパーが上手く噛合っている様に思います。

かつて「デパート型のスーパー」を目指したスーパー各社は、自社開発の衣料品などを投入して売り上げの増加を目指しましたが、多様化する消費者のニーズは「ユニクロ」や「しまむら」を選んだので、スーパーの衣料品は在庫の山となりました。

結局、巨大なショッピングモールに様々なテナントを誘致する方が顧客にニーズに当ており、自社ブランドを開発するよりもリスクも在庫も少なくて済みます。売上の低い店は撤退して、勢いのあるテナントを後に入れる事で、モール自体の新陳代謝が促進され、集客にも繋がります。そして、そこに食料品を中心としたスーパーを配しておけば、スーパーの集客も確実に伸びます。

かつては都心の百貨店に行く事がファミリー層の「お出かけ」でしたが、今では郊外のショッピングモールに行く事が「お出かけ」になりました。まさに、庶民の購買力のダウサイジングを見事に反映しています。これは、アメリカでも全く同様で、SCはいつも人で溢れています。

■ 価格競争で生き残るウォールマート ■

西友はウォールマートに経営が代わり、「エブリデー・ロープライス」をテーマに低価格路線に復活を掛けました。

ところが、日本の主婦は、新聞の折り込みチラシを見て特売品を漁るの事を楽しみ(生きがい)にしている?ので、西友の「毎日が安い」は主婦達に上手くアピールする事が出来ませんでした。

ウォールマートグループは世界最大の流通企業なので、巨大な購買力によって価格決定力を持っています。ですから、西友も世界の流通の一つに組み入れられた訳ですが、日本人の嗜好と欧米人の嗜好は大きく異なりました。コーラの巨大ボトルや、巨大な瓶に入ったピーナッツスプレッドや、怪しいポテトチップは日本人には受け入れられません。

むしろ、日本人の主婦は生鮮食品の新鮮さや、季節感を重要視します。アイルランド産の冷凍干物が山積になっていても、誰も買いたいとは思わないのです。そんな訳で、ウォールマートになった西友は2008年頃まで苦戦を強いられます。

一方でウォールマートは徹底した固定費の削減に着手します。店の照明を暗くして節電し、正社員を減らし続けました。中国人のアルバイトも積極的に採用しました。その結果、さらなるプライスダウンを実現し、2008年を境に、業績が回復します。

最近では「お墨付き」など、結構ブランド力も付けて来ました。

■ 価格の犠牲になったもの・・・ ■

一方、犠牲になったものは、店の清潔さではないかと私は思っています。
地元の西友も、ビールの冷蔵ケースは埃だらけ・・・
「お客様の投書」を見ても衛生面の指摘が散見されます。(ネットも同様)

野菜の鮮度も落ちた様に思います。店頭に置かれている時点でしおれていたりします。

■ サービスか?、プライスか? ■

イオンが一人勝ちなのは、サービスとプライスのバランスが取れているからでしょう。食品でも日用品でもイオンブランドは安い。これは、大量の販売量に裏打ちされた強い仕入れ力の成せる技です。経営不振に陥った多くのスーパーを傘下に収める事で、イオンは強い購買力を誇っています。

一方で、アルバイトや店員の時給は他店より高めなので、小奇麗な人達が店で働いている印象です。さらに、接客態度も良いので、好感が持てます。

売り場も清潔で、デザイン的にもあか抜けしています。

これが一つのスタンダードとなっているので、ヨーカドーはなかなか太刀打ちできません。

本来はプライスが優先される店では、サービスは要求出来ません。しかし、日本人は安い店でもそれなりのサービスを要求します。

居酒屋の店員の接客態度を見れば明らかですが、安い時給で、良くここまでサービスしてくれると感心します。

■ 西友さんに期待する事 ■

私はウォールマートの価格戦略が悪いとは思いません。安さは正義です。(消費社会において)

一方で、固定費の削減が、売り場の衛生環境などに影響する事はあってはならない事かと思います。これは、食品スーパーとしての最低限のマナーではないでしょうか?

「売り場に日本人のスタッフが多く居らっしゃるにも関わらず、何故?」と思ってしまいますが、アメリカ型の成果主義は、日本人から何かを奪ってしまうのでしょうか?


私は地元の西友で20年以上買い物をして来たので、是非とも今後も頑張って欲しいと思っています。一時の「買う物な無い」状態は脱しましたし・・・。

レジの中国人の留学生がどんどん日本語が上達するのも楽しみの一つです。西友に行くと地元に居ながらにしてグローバりゼーションを実感出来ます。

グローバリゼーションの弊害ばかりが強調されがちな昨今ですが、日本型のグローバリゼーションは不可能なのか・・・?西友の商品の変遷を見ると、日本型のグローバリゼーションを懸命に模索している様で、今後とも興味が尽きません。