auの携帯に乗り換えた際、一か月は継続しなければならなかった動画サービス。これの解約の結構面倒。一回、ソフトをダウロードしなければ解約出来ないと言われました。とりあえ見れる状態にしてみました。
11月分は支払ってしまったので、何か動画を見ようと思っても、ドラマも映画も大した作品が無い。映画の『空気人形』は気になりましたが、携帯の小さな画面で見るのは辛い。
しかた無く、「バンダイ・チャンネル」でたまたま配信されていた『Tree Tears』wを見てビックリ。
これが凄いという噂は聞いていましたが、『凪のあすから』どころか、『花咲くいろは』や『あの日見た・・・』なんて、この作品の前には存在感を失います。
岡田麿里、恐るべし。
ちなみに、『True Tears』の9話と最終13話で演出を担当していたのが『のんのんびより』の川面真也。特に、暗いトーンの9話は演出が難し回ですが、シーンの飛ばし方が上手い。短いモンタージュ的なシーンを挟む事で、一連の説明的動作を省略しています。その結果、登場人物が思いを巡らせるシーンの表情の変化に掛ける時間を十分に確保しています。この手法が、現在の『のんのんびより』でも存分に生かされています。良い才能は、若い時から輝くものがある様です。
■ P.A. WORKS って、現在のジブリなんかよりスゴイ ■
ところで最近アニメで気になる作品は「P.A.WORKS」ばかり。
Wikipediaから元請作品を引用します。
『True Tears』はP.A.WORKSの元請第一作で、岡田麿里の脚本。その後の『花咲くいろは』や『凪のあすから』ぼ原点とも言える作品です。
true tears(2008年)
CANAAN(2009年)
Angel Beats!(2010年)
マイの魔法と家庭の日(2011年)
花咲くいろは(2011年)
Another(2012年)
TARI TARI(2012年)
RDG レッドデータガール(2013年)
有頂天家族(2013年)
凪のあすから(2013年)
経営者は、地元富山にUターンした所、アニメ制作会社が無かったので、自分で会社を設立したとの事。
ネットによるデータの送受信が大容量に成った現在、アニメの名作は、固定費の安い「地方」から生まれるのかも知れません。
かつては韓国や中国に外注されていたアニメの制作工程ですが、円安とアニメ業界の低賃金によって、日本で全行程を賄うプロダクションも増えている様です。それが、昨今のアニメのクオリティー向上に役立っています。一方でアニメ業界の若者達は、既にワールドスタンダードな賃金体系。
■ NHKの朝の連ドラで見てみたい脚本 ■
ここからはネタバレ全開。御免なさい。
ストーリーは、富山の造り酒屋の息子・中上眞一郎を巡る3人の女子高生の恋愛模様。
両親と死別して、中上家に引き取られた湯浅比呂美は高校2年生で眞一郎とは同級生。
眞一郎は比呂美に昔から恋心を抱いていますが、打ち明けられずにいます。
比呂美は学校では優等生でバスケ部のエース。活発な性格ですが、中上家では暗い目をして笑う事もありません。眞一郎の母親は事ある毎に比呂美に辛く当たります。彼女は比呂美の母親と自分の亭主の関係を疑っているのです。比呂美は眞一郎を好きなのですが、彼と血の繋がりがあるかも知れないので、自分の心を押し殺して日々を過ごしています。
そんな微妙な関係の眞一郎と比呂美の間に突然別の女の子が割り込んで来ます。学校でも噂の変人、石動 乃絵(いするぎ のえ)です。彼女が可愛がっていた鳥小屋のニワトリ、雷轟丸がタヌキに襲われて死にます。彼女は雷轟丸は空を飛べると信じていした。そして、もう一羽のニワトリを「ヂベタ」と呼んで蔑んでいます。彼は飛べないニワトリだと・・・。ふとした切っ掛けで知り合った眞一郎に乃絵は「あなたは飛べない方よ」と言い放ちます。
実は乃絵は泣く事が出来ません。祖母が死ぬ時に泣き虫だった乃絵の涙を天国に持って行ったと信じているのです。そんな、一風変わった乃絵ですが、何故だか眞一郎に懐いてしまいます。
眞一郎と乃絵の関係に密かに心を乱されたのは比呂美です。彼女は眞一郎に乃絵を紹介してと頼みます。「友達になりたいの」と。そんな比呂美の本心に気付いているのは、実は眞一郎の一つ年上の幼馴染で、親友の彼女の安藤愛子でした。「意中の人の気を引く為に友達になろうとしている」と言いますが、それは何だか自分に対して言った言葉の様でした・・・。そう、この勝気な幼馴染も密かに眞一郎を思っていたのです。
恋愛とも言えない不思議な眞一郎と乃絵の関係に、二人の少女の心は乱されます。そして、普段見せる事の無い、自分の中の「女」としての意地や執着に二人は戸惑います。
北陸の秋から冬の景色の中で、高校生達の恋愛と心の成長をじっくりと描いた『True Tears』は、13話という構成ながら、充分な見応えと感動を視聴者に与えてくれます。
むしろ13話で収まるエピソードに限定する事で、各エピソードが鮮烈なイメージを残します。
現在放送中で、同じ岡田麿里とP.A.WORKSが手掛ける『凪のあすから』は26話構成なので、もう少し色々な要素が加わって来ますが、丁寧な作りですが無駄も多い感じが否めません。これは『花咲くいろは』にも共通した印象を受けました。
その点、「Treue Tears]は、恋愛意外の要素は至ってシンプルで、しかしながらそれらの要素が彼らの関係性の変化に大きく絡んで来る意味において非常に優れた構成をしています。
眞一郎は絵本作家を目指していますが、彼が乃絵の為に描き始めた雷轟丸を主人公にした絵本の展開が、乃絵と眞一郎の関係性の変化を象徴して秀逸です。
さらに、眞一郎の母親と比呂美の関係も、息子を思う母親の過剰な愛情の顕れとして説得力があります。そして、それを乗り越えようとするのは比呂美だけで無く、眞一郎の母親も同様です。彼女達は距離を置く事で、お互いの関係性を修復して行きます。
親友の彼女の愛ちゃんの眞一郎への報われない思いが、ともすると身勝手になりがちな比呂美と乃絵の恋愛模様に絶妙なトーンを付けているのも見逃せません。
こんな脚本が書ける岡田麿里の力量は、やはり現在のアニメ業界では抜きんでています。ドロドロの恋愛泥沼のマリー節がさく裂する作品ですが、富山の静謐な景色が程よく中和しているとも言えます。
こういう脚本で朝の連ドラをやってくれたら、毎日見るのに・・・そう思わせる脚本です。
町並みや景色が物語の展開に見事な色を添えている作品だけに、「5大聖地」の一つとなっています。
こんな聖地巡礼ブログを見つけました。
http://blog.livedoor.jp/seichijunrei/archives/cat_50050570.html