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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

僕は正しいんだ・・・「正しさ」とは相対的である

2014-01-04 05:45:00 | 時事/金融危機
 

「あなた、学校で友達が嫌がる事したんですってね」

「だって、あいつら、先生に内緒で僕にイヤガラセするんだ」

「イヤガラセってどんな事をされたの?」

「昔僕が叩いた事を謝れとか、女の子に冷たくした事を反省しろとか・・・」

「あなた、そんな事してたの」

「仕方が無かったんだ。あの時はそうする事が正しかったんだから」

「でも先生はあなたには失望したって電話で言ってたわ」

「先生は何も知らないんだ。あいつらのやり口は汚いんだ」

「でも、学校ではお友達と仲良くしなくちゃダメよ。クラスのお母さん達にも文句を言われたわ」

「お母さんは僕の味方じゃないの?」

「お母さんは、友達と仲良く出来ない子の味方はしません」

「お兄ちゃんは悪く無いよ。だってあいつら本当に汚いんだ」

「あなたまで、そんな事を言うの」

「だってお兄ちゃんの先生間違っておるもん。僕、黒板に先生の悪口書くんだ!!」

「ちょっと、何言ってるの!!近所のお母さん達にどういう教育しているんだって言われるわ」

「お母さんは近所の心配ばかりだ!!」

「もういいよ・・・僕は正しい事をしているんだから・・・」





昨今の日本を取り巻く事情を小学生にも分かる様に書けばこうなるのでしょうか?


国際問題における「正しさ」とは「相対的」概念であり、
その時々の世界情勢や大国の思惑で変化し続けています。

日本人は「正しさ」を「絶対的な基準」として自分に「正義」があると主張しています。
一方で世界は「正しさ」を「相対的概念」として先進国である日本に自重を求めています。

世界は日本の主張の「正当性」には一切興味など無く、
相対的に東アジアで緊張が高まる行為を「間違い」だと指摘しています。
そんな相手に「日本の正しさ」を主張しても全くの無意味なのかも知れません。

例えば、中国が尖閣問題で挑発的に態度に出れば、世界は同様に中国を批判するでしょう。
世界はリアリストであり、「正しさ」の基準は経済的利益に置かれています。

例えば、南スーダンの韓国軍の弾薬の問題が話題に上がっています。
日本国内では、韓国と日本のプライドの問題ばかりが話題になりますが、
南スーダンの現状についてどれだけの理解や知識を国民が持っているでしょうか?

スーダンはアフリカ大陸6番目の産油量を誇りますが、その85%が南部に集中しています。
南北スーダンの分裂は、この石油利権を巡る争いであり、南スーダンの分離独立は、先進国の石油利権の組み換えに関わる問題です。

韓国軍がPKOとして南スーダンに駐留するのは、自国の石油権益をアメリカに認めさせるために必要な行為であるのです。

逆に、前線に自衛隊を出せない日本は、資金面や物資の面から韓国軍を支援する事で、結果的に南スーダンにおけるアメリカの石油利権を守る事に貢献しています。

今回、南スーダン駐留の韓国軍への日本の弾薬援助をリークしたのは自民党に右派の誰かでしょう。このリークは韓国へのイヤガラセであると同時にアメリカへの挑発とも受け取れます。

安倍首相が自発的に中韓を挑発しているのか、あるいは誰かの指示かは分かりません。
しかし、安倍氏や安倍氏周辺が多少ハメを外しても、アメリカから実質的なお咎めが無いのなら安倍氏の行動は、アメリカの利益と合致していると見るのが陰謀論的視点です。


国際問題の表面的リアリティーすらも理解しようとしない日本人は、国際問題の裏のドロドロした面を想像する事を拒絶するのでしょう。
国益とか、国柄などと声高に叫ぶ人程、表面的なプライドしか見ていない様な気がします。

戦前は世論とマスコミが先頭に立って、日本を戦争へと導きました。
戦後教育は「軍の独走」が戦争を招いたという間違ったプロパガンダによって、本当の歴史を封殺しました。

日本国民はとかく責任は政府や軍に押し付けて、自分達の責任に無自覚です。
ところが、その代償は必ず国民に降りかかってきます。

東アジア情勢を過去の歴史では無く、現在のパワーバランスで見つめる視点こそが、今の日本人にとって大事なのでは無いでしょうか。

その意味において大手マスコミの論調も少し的外れな感じがします。
「平和」とは時として非常に凶暴な一面を持っている事を彼らが国民に知らせる事はありません。





リーマンショックは終わったのか・・・国債金利の上昇は正常化なのか?

2014-01-04 02:53:00 | 時事/金融危機
 



■ 5年で崩壊すると言われた世界経済だが・・・ ■

サブプライム・ローン・ショックが2007年。
リーマンショックが2008年9月。

当時は世界経済は後5年で崩壊すると言われました。
しかし、世界経済はリーマンショックから5年経過した現在も崩壊していません。アメリカに至っては、FRBが緩和制作のテーパリングに着手しています。

私なども「FRBがテーパリングを開始すれば、リスク市場が過剰反応して株価が暴落する」と予想していたので、年末に掛けてダウも日経も値を上げた事に驚いています。完全に予想を外しました。

現在の状況を見ると、「世界は金融危機の影響を脱しつつある」と言う人が増えそうです。

■ 歪みは何処に溜まっているのか? ■

リーマンショックの原因は一時的な信用不安ですから、各国中央銀行は下記の様な方法で信用の回復に努めました。

1) 金利を実質ゼロにして、資金供給を確保する
2) 市場から一時的にリスク資産(MBSなど)を買い取って資金を供給する
3) 市場から国債を大量に買い取って資金を供給する
4) 長期的に金利を据え置く事を宣言してリスクテイクを促す

これら中央銀行の超緩和政策の結果、中央銀行の保有する国債は膨れ上がっています。
さらに、FRBは大量のMBSを保有する事になりました。

中央銀行が国債やMBSを買い支える事で、国債金利や長期金利は低く抑えられており、政府も財政を拡大し易い状況が続いています。アメリカにおいても、日本においても、そしてヨーロッパでさえも、財政出動が景気を下支えして来ました。

一方で中央銀行は国債やMBSを高値掴みした事になります。
金利が上昇に転じれば、これらの高値掴みした債券は含み損を発生する事になります。

■ 上昇し始めた国債金利 ■

上のグラフからも、アメリカの国債金利が上昇し始めた事が伺えます。
これを、危機が去った事による「正常化」と捉える事も出来ます。
危機が去ったので、資金が国債などの安全資産から株などのリスク市場に移動していると解説する向きも多いでしょう。

月に4兆円近くの長期国債を買い入れていたFRBがテーパリングを始めたので、長期金利が上昇するのは当然と言えば当然です。10年債は大台の3%を超えています。30年債も4%目前です。

アメリカの国債金利上昇に引きずられるかの様に、日本やその他の国々の長期国債近来が上昇し始めています。元々、各国の国債金利はリンクして変動しているので、これも「正常化」と言えなくはありません。

■ 中央銀行は国債売却まで辿り付けるのか? ■

日本やアメリカの国債を廻る状況は下記の通りです。

1) 中央銀行は短期国債を売って長期国債を中心に買っている
2) 民間の銀行(メガバンク)は長期国債を売って、残存年数を極端に圧縮している

これによって、金利上昇によるリスクは民間銀行から中央銀行に移っています。金利上昇がこのまま続けば、FRBや日銀は含み損を抱える事になります。

一方で、金融緩和の本当の意味での正常化は、中央銀行が手持ち国債を市場で売却する事で達成されます。しかし、その時、国債金利が上昇(価格は下落)していれば、中央銀行の損失が確定します。

はたして、中央銀行は国債売却に辿り付けるのでしょうか?

■ 金利が正常化すれば国債の魅力が高まる ■

米国の10年債の金利が仮に6%に達したとします。この時、アメリカの財政が極端にバランスを崩していなければ、6%の金利が稼げる安全資産としての米国債の魅力は低くありません。

一方でFRBは損失を出して国債を売却する事になります。
ところで、FRBの損失は誰が困るのでしょうか・・・・?

現在のアメリカではFRBは利益の45%程度を国庫に還元していたと思います。FRBの利益が減っても、国庫に充当する金額が減るだけです。誰もあまり困らない様にも思えます。

では、FRBが損失を出した場合はどうなるでしょうか?これも国庫に充当する金額が無くなるだけで、あまり困らない様にも思えます。

■ 中央銀行は債務超過となるのか? ■

ここでもう一つの問題が発生します。
「中央銀行の債務超過」という問題です。

資産である手持ち国債が含み損を拡大した場合、民間の銀行の場合は債務超過となり、経営が破綻します。(国債を時価評価した場合)

では中央銀行の場合はどうなるでしょうか?
ドルは米国債を分割したものだと考える事が出来ます。(実際に、そう印刷されています)
云わばドルは米国債そのものとも言えます。

米国債=ドルと考えるならば、バランスシートはいつも一定に保たれている様にも思えてきます。

ちょっと暴力的な展開をするならば、長期的には「国債の価値=通過の価値」でバランスしているとも言えます。これは国債を時価評価しない事で成り立つ公式でもあるので、中央銀行の保有している国債を時価評価しなければ、中央銀行は債務超過に陥る事な無いとも言えます。

■ 国債金利上昇で誰のリスクが増えるのか? ■

さて、振り出しに戻ります。
国債金利上昇で中央銀行のリスクは高まるのか?
多分答えはNOです。

では誰のリスクが増えるのでしょうか?
それは民間の銀行の損失が増えるのでしょう。
銀行は預金者に金利を支払うことで預金を集めています。金利が上昇した場合、金利の低い国債で運用していたのでは、預金金利を賄う事が出来ずに損失を生じます。

このリスクは民間の金融機関の国債の時価会計を停止しても、最終的には発生するリスクです。
よって、金利上昇局面では、民間の国債売却によって国債金利は一時的に上昇します。

これはギリシャ危機の際の南欧諸国の国債金利の動向を見れば明確です。
ECBは民間の銀行に資金供給する事で、この売り圧力に対抗しました。

■ 財政を拡大し過ぎた日本やアメリカでこそ国債の金利上昇は危険 ■

結局、財政における国債費の比率の多い国が、国債の金利上昇で危機に陥り易い国とも言えます。

リーマンショックから5年が経過し、世界からリスクが去った様に見えますが、リスクは国債を発行する国自身に移っているだけなのかも知れません。

ただ、中央銀行が国債を大量に買い入れている間は金利は抑圧されており、このリスクは見え難くなっています。或いは、市場参加者は意図的にこのリスクを無視します。

■ 日本国債の金利動向に世界は注目しているのでは? ■

米国債金利の上昇に引っ張られる形で、日本国債の金利もジリジリと上昇に転じています。国債の金利上昇に最もセンスティブな財政状況を抱えるのは日本ですから、世界は日本の動向に注目しているはずです。

はたして、日銀は国債金利の上昇をどこまで抑制出来るのか・・・。

ただ、消費税増税は景気を後退させるので、確実に金利抑制的に働きます。
景気を犠牲にしても消費税増税を断行せざるを得ない理由は、意外にこんな所にあるのかも知れません。

景気が多少悪化して補正予算を連発しても、国債の金利上昇が抑制される方が財政の継続性が高まるのかも知れません。まあ、財務省がどう考えているのかは、私などには想像も出来ませんが・・・・。



本日は少し雑な考察でが、注意すべきは中央銀行のバランスシートでは無く、国債の金利上昇なのでは無いかと・・・。
国債金利の上昇が止まらなければ、日銀もFRBも追加緩和に陥るかも知れません。


外れてナンボの人力の経済予測。本年は世間と反対に、FRBのテーパリングは逆に緩和拡大に追い込まれるという逆張りでスタートしてみました。