■ 「消費税増税前に・・・」が合言葉 ■
昨日、大手物販店の本部で打ち合わせしていたら、こんな会話に。
「消費税前で高い商品が良く売れるんだよね。」
「でも、本当に高いものじゃなくて、サラリーマンが買える範囲のものだよね。」
「Yシャツを大量にまとめ買いした人も居るし・・・」
「だいたい本当のお金持ちは3%の増税なんて何とも思っていないから」
「車も高級車じゃなくて、庶民の豊な層が200万から300万のゾーンを買っているね」
「でも、慌てる必要ってないんだよね」
「そうそう、消費税アップ後は売上が落ちるから、どうせ値引きするしね」
■ 職人さんの手配が難しくなるから、今の内に押さえておけ!! ■
内装関係では職人さんや業者さんが引っ張りだこになっています。
いざ、工事を発注しても、受注できる業者が居なくなるのではと心配する状態。
資材関係も先行発注する所もある様です。
ただ、こちらは余らせてしまうと在庫になるので、ちょっとヒヤヒヤ。
■ 4月以降を考えたく無いね・・・ ■
消費税の話の最後は「4月以降は考えたく無いね」で必ず終わります。
これだけ需要を先食いしたら、その後は想像に難くありません。
問題は、現在の経済指標が駆け込み需要に支えられている事。
これが無ければ、いったいどれだけ悪い数字が並ぶのか・・・考えただけでもゾっとします。
■ 倒産件数の減少や、自殺者の減少を宣伝するマスコミ ■
ここ数日、ニュースでは倒産件数の低下や自殺者の減少を報道しています。
その原因は建築土木関係の業者の倒産が減った事が大きいとか。
補正予算で公共事業を大幅に拡大しているので、地方に行っても何処かで必ず道路工事をしています。堤防などの大規模改修工事も行われています。
確かに、公共事業の増発は、瀕死の状況にあった建築土木関係の業者を延命させ、そして確実に短期の雇用を増やしています。(この業界は日雇いも多い)
安倍政権というか、自民党政権の公共事業拡大が無ければ、地方経済などは目も当てられない状況だったかも知れません。
■ 点滴とカンフルで生き延びる日本経済 ■
日本経済の停滞が、ケガなどの一時的な不調ならば、点滴とカンフルで一時を凌げば、その後は回復して元気になるはずです。通常の景気循環における不景気時の政府支出の拡大には効果があります。
一方、点滴とカンフルで生き延びているのが、老衰した老人であったならば、回復の見込みは低く、様々な処置は延命を目的にしたものとなります。
現在の日本経済の不調の原因は、景気循環の谷や、バブルの後遺症では無く、少子高齢化による消費の低下と、海外との価格競争の結果なので、この2つの点が根本的に解決しない限り、日本経済が回復する可能性は低いとも言えます。
■ 消費税増税は薬でもあり毒でもある ■
消費税増税は衰弱した老人に強い薬を投与する様なものです。本来は財政の健全化という効用がありますが、現在の日本においては、経済の体力を更に奪う効果しかありません。
むしろ、日銀の国債の大量買入れによる異次元緩和の方が、栄養剤を混ぜた点滴の様に経済には優しい。一方で、代謝が低下した状況では、だんだんと体が水膨れしてきます。
「先生、患者さんの尿の出が悪いのすが・・・」
「そうか、そろそろ家族の方を呼んだ方が良さそうだね・・・。」
こうなる前に日本が取り得る政策には限界があります。
■ オリンピックバブルは東京限定で起こる ■
東京限定でオリンピックバブルは起こるはずです。それを見越して、割安感のある東京の不動産に外資が流れ込んできているはずです。
土地が値上がりして、東京の不動産価格も値上がりを始めれば、それで儲けた人達は、株式などの投資も活発化させるかも知れません。こうして、限定的ではありますが、資産市場だけは少し活況を取り戻すかも知れません。
■ 景気循環がピークアウトする2015年? ■
「アメリカ経済が持ち直している・・」など明るいニュースの一方で、ダウが不安定な動きを見せたり、アメリカの雇用統計の数字が思った程伸びていなかったり・・・。
現在の世界経済の好転は、リーマンショックからの厳戒態勢経済が終わりつつある事を示しています。FRBのテーパリングが市場に混乱をもたらさなかった事で、市場はしばらくは安定を保ちます。リスクの意識もだんだんと市場から消えて行きます。
一方で、景気循環的には2015年で現在の回復基調がピークアウトするとも言われています。そして、バブル10年周期説からすれば、2017年には次のバブル崩壊が予想されます。
短期的には明るさの見える世界経済ですが、中期的には雲が多い空模様。
儲ける人達は、短期は強気、長期は弱気のポジションを取っているかも知れません。
■ 日本の景気低迷と内外金利差の拡大 ■
気掛かりなのは、消費税増税で日本の景気が冷え込んで、日本の資金が金利を求めて海外に流出するケース。
テーパリングによってアメリカの長期金利も上昇しており、日本との金利差は2%以上となっています。日本国内で安定して金利2%を稼ぐ事は大変ですが、米国債投資ではこれが可能になり、さらに日本の経常赤字が定着すれば円安が進行するので、実質金利差はさらに拡大します。
しかし、ここで、第二のリーマンショックが起きると、日本の資金が大きく毀損する事になります。米国債が崩壊しなくとも、円キャリートレードの巻き戻しで円高に振れれれば、2%の金利差など簡単に帳消しになってしまいます。
消費税増税の影響は、消費の低迷という直接的影響だけでは無く、内外の金利差の拡大という形で、経済に様々な影響を与える事でしょう。