ダウ平均株価推移
国債金利推移
GS 毎月分配型債券ファンド 「妖精物語」 12月30日
■ ファンドの利確売り? ■
FRBのテーパリングが混乱無く開始されてリスクオンムードなどと書いたら、何だか株式市場や新興国あたりで不穏な空気になってきました。
株式市場などは、ここまで株価を踏み上げて来たファンド勢が利確売りしているのでは無いかと思われますが、これが本格的な手仕舞いになるとは思えません。未だ音楽は鳴り響いており、イス取りゲームは続いています。
本格的に相場が暴落するには材料が足りません。資金は依然ジャブジャブあるので、調整が済んだ後は又ジリジリと相場は上昇を始めるでしょう。
■ 米国債金利が下がっている ■
安全資産と思われている国債市場とリスク市場はトレードオフの関係にあるので、危機感が高まるとリスクオフの国債買い(国債金利の上昇)、危機感が遠のけばリスクインで株式市場が上層し国債価格が低下(金利上昇)します。
今年に入ってから米国債金利は低下傾向にあり、一方ダウ平均株価は下落傾向にあります。ダウは先週以前は一進一退という感じでしたが、先週末は大きく下げています。
これだけを見ると、何と無くリスクオフ的に株式市場の資金が国債市場に流れている様に見えます。
■ 米国債は誰が買っているのか? ■
最近サボっていたGSの国債ファンド「妖精物語」のポートフォリオを見てみます。これは12月末のデータなので1ヶ月のずれがありますが、半年前までは欧州の安全な国の国債や米国債が上位に来ていましたが、今回はイタリアやスペインなど欧州危機で国債金利が急上昇した国が上位に並んでいます。これらの国の金利はユーロ危機が遠のいたので平常の水準に戻っています。(債券価格は上昇)
ある程度の利益が要求されるファンドでは、米国債よりもこれらの欧州の国債の方が魅力があるのでしょう。
では、米国債は誰が買っているのか・・・・。
多分、金利差が拡大している日本の資金や、新興国から回避し始めた資金が集まっているのかも知れません。テーパリングが一応成功した事で、米国債のリスクは低下したと判断されたのでしょう。
■ 新興国危機は切り分けが必要 ■
新興国が何やら騒がしい様ですが、これは原因の切り分けが必要でしょう。
アルゼンチンのペソの暴落は、アルゼンチンぺソを買い支えていたアルゼンチンの中央銀行が、買い支えきれなくなった事が原因です。前回のデフォルトで米国企業などに債務不履行をした事で、アルゼンチンペソは攻撃され、売り崩されていました。国内のインフレ率も政府の発表よりも高く20%とも30%とも言われており、ペソの暴落は時間の問題でした。
ペソの暴落は自業自得ですが、南米ではアルゼンチンの危機は、隣りのブラジルに飛び火し易い傾向があります。ブラジル政府はダボスで財政改善を強調するなど、レアルの防衛に必死です。
中国の場合は、やはり国内の不良債権がどの位あるのかが注目されています。今回は地方の炭鉱会社が「影の銀行」から調達した資金30億元が債務不履行になりそうですが、一説には600兆円あると言われる「影の銀行」の融資残高。不動産市場でバブルが崩壊すると、世界経済を巻き込む危険性は低くありません。ところが、中国は不動産価格は依然上昇しています。弾けると言われ続けながらなかなか崩壊しない中国の不動産バブル。既に、崩壊した時の破壊力は相当な規模になっています。
■ 世界経済は脆弱のまま肥大化している ■
何れにしても世界経済は根本的な脆弱性を抱えたまま、緩和資金で肥大化しています。
崩壊は何かのイベント、いわゆる「ブラックスワン」の出現によって起きるのでしょうが、それまでは不安定ながら、肥大化を続けるのでしょう。
ボラティリティーの拡大が利益を生む金融市場の性格上、イス取りゲームの音楽はどんどんテンポを速めていくのでしょう。危機は遠のいたかと思えば、ネタはそこかしこに転がっており、プチ危機を演出しながら相場は不安定に変動します。
本当の景気回復局面では、リスク市場は力強く上昇して行くので、現在の世界は依然不安定要因を抱えたまま踊り続けているだけとも言えます。
不穏なファンファーレが遠くで響いている様ですが、未だ雷鳴は遠く・・・。