■ 細川護熙氏の都知事選出馬を巡る街の声 ■
昨日、都内のチェーンのラーメン店で昼飯を食べていた時の事。
アーケード街にあるその店は、昼時はいつも近所の老人達のたまり場状態。お婆さん達が世間話しに花を咲かせます。
都議選の話になったので、思わず聞き耳を立ててしまいました。
「細川さんはどう?」
「あり得ないよねーーー。だって御爺さんだもん」
「舛添さんの方が若くて良いわよねーー。」
ご自分の歳は棚に上げて・・・・。
舛添氏がお婆さんにアピールするのは意外でした。下〇身の噂はダテではありませんね。
まあ、選挙なんてこんなもんでしょう。
東京都民にとって原発事故は他人事に等しく、それよりも候補者の年齢や見かけに興味がある御様子。
しかし、多分、このお婆さんでもTVのインタビューを受ければ、「原発で苦しんでいる福島の人達の為に細川さんに・・・」なんて発言してしまうのかも知れません。
■ 小泉- 細川 というイヤラシイ組み合わせ ■
私が今回気になるのは、小泉氏が細川氏を引っ張り出した事。
政界を引退したハズのお二人ですが、カーター元大統領みたいに色々な所で名前が挙がります。特に、細川氏は政界が混乱した時に良く登場します。
世間的には陶芸家という肩書を名乗っていますが、政界との縁は全く切れていないご様子。首相在任中はあまり評価されなかった細川氏ですが、細川氏の影響力は小さく無い様です。
細川氏と小泉氏に共通している点と言えば、政界内でのシガラミが少ない事でしょうか?本来なら派閥なり党派なりを率いて、数による力を拠り所とする日本の政界において、お二人はいつも一匹オオカミ的な印象を受けます。
その様な組織的なバックアップの無い人が達が、何故政界で影響力を行使できるのか考えた時、その背後に誰が居るのかが薄っすらと透けて見えます。
■ 反原発は争点になるのか? ■
今回の細川氏の出馬は、風化しつつある原発事故を人々の記憶に蘇らせて、自民党がなし崩し的に進めようとしている原発再稼働に対して、抵抗勢力の士気を高める効果を狙ったものでしょう。ついでに、オリンピック利権が転がり込んで来ればシメシメですが、多分、都民が細川氏を都知事に選ぶ事は無いでしょう。
確かに、東京新聞を読んでいる様な政治意識の高い若年層は、「反原発妄想」に取りつかていますから細川氏に投票するでしょうし、革新系の勢力が強い杉並や国立などでも「反原発」はアピールします。
しかし、その他大勢の特に老人達は、原発よりは医療補助や社会福祉政策の方が切実な問題です。さらに、地元で商売をなさっている方達も、自民党と古くからの関係を急に断つ事は出来ません。さらに、創価学会の組織票も自民党公認候補を支持するでしょう。
高齢者や地元の組織票と、若者中心の浮動票の割合によって都知事選の行方は左右されますが、「反原発」で若者を投票所に向かわせる程、小泉氏や細川氏は若者に好かれては居ない様な気がします。
特にネットでの小泉氏の評かは「国賊」並みです。所得格差が拡大したのは小泉改革が原因。オレ達が貧乏なのは小泉のせいだと思っている若者は少なくはありません。反原発で時代の空気を読んだ様に思える小泉氏ですが、ご自身がどれ程若者の怨嗟の対象になっているかは自覚が無い様です。
■ 原発事故以降、アトピーの症状が緩和された? ■
2chなどを覗いていると「原発事故以降健康になった」などというスレッドも立っており、具体的にはアトピーなどのアレルギー症状が緩和されたという人も居らっしゃる様です。
これが福島原発の放射性物質の影響なのか、あるいは単に食生活に気を配る様になった影響なのかは分かりませんが、低線量率の被曝はアレルギー疾患を緩和したり、免疫系の疾患を緩和する効果がある事が知られています。「はだしのゲン」にもピカドンの後に健康になった人達の話が出て来る様です。(未確認)
私などは、「低線量率被曝は健康に良い」と考えているので、東京都知事戦を巡る「反原発論争」は、地元に戻れない福島の方々を、ますます故郷から遠ざけているだけの迷惑行為にしか見えません。
■ 経常利益の赤字転落が確実になる日本 ■
まあ、東京都民がバカでも無い限り、細川氏が都知事になる事は無いとは思いますが、「そのまんま東」や「横山ノック」が首長に当選する国なので、安心は出来ません。尤も、「細川護熙」って画数が多くて難しい字ですよね。多分、投票は平仮名もOKなのでしょう。そうで無ければ、無効票が続出して落選しそうです・・・。
冗談はさて置き、冗談で済まされないのが日本の経常収支。
現在の日本はかつての「加工貿易立国」の面影はありません。製造業がアジアとのコスト競争に敗れた結果、例え国産ブランドの家電品でも、made in China という状況。アイフォンも中国製。そして衣類はベトナム製が多くなっています。
日本の貿易収支は製品輸入の増加で赤字傾向にありますが、原発停止による燃料輸入の増加が貿易収支を完全に赤字化しています。
近年、海外投資のリーターンである所得収支の黒字が、貿易収支の赤字を補って経常収支は辛うじて黒字を達成していたのですが、昨年後半くらいから経常収支も赤字化しています。2013年は通年で、日本の経常収支が初めて赤字に転落するかも知れません。
原発が再稼働出来なければ、2014年の経常収支は確実に赤字になると言われています。
経常収支の赤字は、純粋に国富の流出ですから、これが続くと日本の国力は次第に低下します。経済の基盤を輸入に頼る日本にとって、経常収支の赤字は大問題です。
■ 高い電力料金では製造業は流出してしまう ■
さらに原発が再稼働出来なければ、電力料金は現在よりも何割か値上がりします。廃炉コストや原発の減価償却費を電力会社が負担した場合は、電力料金の値上げが必至だからです。
一方、電力料金の上昇を避ける為に、原発を国有化して、そのコストを国が負担した場合、そのコストは税金で負担される事になり、やはり最後は国民の負担となります。
尤も、日本は黒田緩和以降、事実上の財政ファイナンス状態ですから、短期的には国民負担はそれ程増えません。しかし、将来的に起こるであろうインフレによって、私達はコストを負担せざるを得ません。
もし仮に東京都知事選で細川氏が勝利し、全国的に反原発政党が雨後の筍に様に出て来て、国民の支持を集める様な事になったなら、電気料金の負担を下げる為に、原発は全て国有化されるのでしょう。
■ 白黒はっきりさせるより、グレーが国益に叶う事も多い ■
ICRP(国際放射線防護委員会)が放射線の防護基準を緩和する事は考えられませんから、実際的な被害が発生しなくても、過剰な防護基準が福島に被害を与え続け、国家の予算と電力会社の資金を無意味に流出させます。
小泉氏や細川氏の主張は、現在「白」だけど「グレー」として処理されている原発を、無理やり「黒」とする事で、社会に大きなコスト負担を強いる行為です。
一方、小泉氏らを支持する人達に、自分達のコストが増える事に対する認識がどれ程あるか疑問です。だいたい「反原発」などと声高に言う人達は、自分達の負担増には徹底的に抵抗する人達です。
■ 原発を止めても構わないが、「再生可能エネルギー」なんて夢物語は止めよう ■
実は私自身は原発を廃止しても構わないと思っています。
ICRPが過大な防護基準を死守する限り、地震国日本では第二、第三の福島第一原発事故が発生する可能性は否定出来ないからです。
ただ、「原発を停止しても再生可能エネルギーを拡大すれば大丈夫だ」などという頭にお花が咲き乱れた様な発言は看過できません。
仮に日本中の屋根を太陽電池で覆い、遊休地も全て太陽電池にした場合、総発電量に占める太陽光発電の比率は30%を超えるかも知れません。天候や日照による変動率の大きな太陽電池による発電を、10%を超える割合で送電網に供給した場合、電圧の変動が大きく成り過ぎて、電源として使い物にならなくなってしまいます。
それを防ぐ為には、太陽光発電による電力を一度バッテリーなどのバッファーに溜めて、定常的に送電網に流すシステムが必要ですが、バッテリーの容量とコストが革命的に改善しない限り、莫大なコストが掛かり、電力料金は大幅に値上げせざるを得ません。
デンマークは自国の電力消費量の30%程度を風力発電で賄う事が出来ますが、あえてこの電力を他国に売って、他国からキレイな電気を購入しています。ドイツも工業用電力はフランスから安い原発の電気を購入しています。
結局、原発を停止しても太陽光発電などの自然エネルギーは大幅なコスト高となるので、総電力発電量の10%以上の普及には制約が掛かります。原発を止めて不足する電力は、現在の様に火力発電に頼らざるを得ません。
■ シェールガスと小型発電機が売れるのでウホウホのアメリカ ■
アメリカは日本にガスを輸出する為に液化施設を建造しています。アメリカからガスを輸入してもコストは現在とほとんど変わりませんが、供給地の分散化は日本にとっては悪くは無い事です。一方で、エネンルギー安全保障をアメリカに握られて、ますます頭が上がらなくなります。
一方、大企業は電力料金の値上げに対抗する為に、ガスによる小型発電機を設備するでしょう。排熱まで利用すればエネルギー変換効率は最大で85%にもなる様です。
この小型発電機ですが、実は中身はジェットエンジンとほぼ変わりありません。供給もGEなどのジェットエンジンメーカーです。決して安い商品では無いので、ここでもアメリカの軍事産業を利益を確保する事が出来ます。
■ 日本の将来の為に原発を停止するのでは無く、アメリカの為 ■
小泉氏や細川氏がいくらきれい事を並べても、結局は誰かの指示で動いている事はボンヤリと透けて見えます。そして、陰謀論者の私は、「誰得」の理論から、アメリカの指示で彼らは動いているのではないのかと邪推してしまいます。
メディアはこんな事は決して書きませんから、正論で小泉氏らの動きを牽制しています。
しかし、ネット世界ではメディアはすっかり悪者扱いですから、メディアに責められると、都民は細川支持を強めるかもしれません。
小泉氏はそれも計算の上で、「反原発」を都知事選の争点にしているのかも知れません。
本日は都知事選をめぐる「妄想」を垂れ流してみました。
都知事選は「都民のリトマス試験紙」みたいで、結構楽しめそうです。
多くの候補が原発反対とか、脱原発と口にする中で、田母神氏は「原発は必要」と、保守らしいリアリズムを貫いています。一方、発明家のドクター・中松氏は「原発技術は19世紀の技術。21世紀の新しい発明を東京に実施する」とこれまた頭の中がジャングル発言・・・。
「新しい発明」に一票!!・・・・エッ!?