人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

地政学リスクとドル安の関係・・・利益の最大化

2014-08-11 08:51:00 | 時事/金融危機
 

■ 地政学リスクが拡大すると、どうしてドル安になるの? ■

一昔前ですと地域紛争など「地政学的リスク」が拡大すると「有事のドル買い」が発生し、「ドル高」「米国債券高(金利低下)」が発生しました。

しかし、リーマンショック以降は地政学的リスクが発生すると「ドル安」に振れる傾向が堅調です。

何故この様な事が起きるかと言えば、先週金曜日の日本株市場と為替市場の関係を考えれば何となくカラクリが見えて来ます。

外国人投資家が日本株を売って利益を確定する時、「円高ドル安」の状況の方が為替差益によって利益を拡大する事が出来ます。

今回はウクライナ危機に端を発してヨーロッパでリスクオフの動きが先行しておきます。それに連動して日本株市場も値下がりすると多くの市場参加者が予想します。この時点で為替市場で円買いドル売りを仕掛けて、円高ドル安の状況を作ります。

報道などでは「ウクライナなどの地政学的リスクが意識され、安全資産としての円買いが進みました」などと説明されますが、これは全くのウソ。

■ 円安に振れにくいドル円市場 ■

日本株市場は2012年11月以来外国人投資家が10兆円以上も買い越しています。この時期は日銀の大規模な量的緩和を予測して円安が先行して発生しています。外国人投資家の多くは円安になって割安感の出た日本株を買い進め、日本株の相場を吊り上げています。

外国人投資家の中には短期的に資金を運用するヘッジファンドなども含まれるので、彼らは日本株を上値で売り抜け、さらに下落時に空売りでもう一儲けしようと考えています。

現在の日本株市場は、個人投資家や国内の機関投資家は慎重です。外国人投資家が株を売ると、薄商いの中でストンと日経平均が下落してしまいます。下落時には日銀や年金資金などの公的資金が買い支えてしまうので、大きな値崩れはありませんが、外国人投資家が利益をい確保して上値で売り抜けるには厄介な市場となっています。

彼らが日本株を売り抜ける前に、あまり円安が進行してしまうと為替差損が発生して利益が縮小します。ですから、外国人投資家が株式を始めとした日本の資産を売り抜けるまで、ドル円相場は、円安が進行しにくい状況です。

■ 日銀の追加緩和は日本株の暴落後? ■

日銀の追加緩和のタイミングは、アメリカの利上げを援護する目的で来年後半になるのではないでしょうか?その場合、円安が進行するので、日本株を外国人投資家が売り抜ける最後のタイミングは来年の後半では無いでしょうか。

それまでは、相場が上昇したら日本株を売って日銀や公的資金に買い支えさせる状況が続きます。GRIF(年金積立金)で日本株を買い支える事がほぼ確定している様なので、外国人投資家はしばらく細かな売りで利益をチョコチョコと稼いで行くのでしょう。

そして、アメリカの利上げ前に絶対に大きな売りを仕掛けて来ます。この時は日銀のGRIFも買い支えには入らず、相場が下落するのに任せるのではないでしょうか。

そして、日銀は日経平均の暴落を理由に追加緩和に踏み込むのでは?その前に消費税率10%への引き上げは達成しなければばらないので、次の様なシナリオが考えられます。


1) 2015年10月に消費税率が10%に引き上げられる
2) 景気が大幅に落ち込み、日本株が売られ易い状況が出来上がる
3) 米の利上げ予測が遅れる様な要因がクローズアップされ円高に振れる
4) 外国人投資家が空売りも含め、最後の日本株売りを仕掛ける
5) 日経平均が10000円を割り込む暴落を演じる
6) 日銀が大規模な追加緩和に追い込まれる

■ 日本の財政を支える不景気 ■

日本人にとっては悪夢のようなシナリオですが、既に日銀の財政ファイナンスに突入している日本にとって、金利上昇を抑制しながらインフレを達成するのには、「不景気+円安」の組み合わせは不可欠です。

様なコストプッシュ・インフレによるスタグフレーションです。当然、個人の実質所得は低下して生活レベルも悪化しますが、日本財政を延命させて年金や福祉を維持するには、目下の所この方法しか有りません。

三橋一派の様に、「景気が回復すれば税収が改善して財政赤字が減る」と主張する人達も存在しますが、彼らは金利上昇と大規模緩和下でのインフレの進行を軽視し過ぎています。

■ ウクライナ情勢に関してはロシアも同じ穴のムジナ ■

今回の日本株下落の遠因はウクライナ情勢ですが、ロシアは国境付近に軍を終結させて演習を行い、危機を演出しています。

表向きはウクライナ現政権のロシア系住民の弾圧に対する牽制とされていますが、どうも中途半端さが漂います。

ロシアとしてもウクライナ領内に侵攻すれば欧米との関係修復は絶望的となりますので、もう少し軍事介入の大義名分が整う状況が発生するまで、具体的な軍事行動はまだまだ先になりそうです。

アメリカの利上げ時期を考えると、やはり軍事介入はアメリカの利上げ時期と重なり、今度はユーロに相当な下落圧力が掛かるので、「有事のドル買い」が発生し、アメリカ国債にも資金が還元して来るというシナリオでしょう。



お盆休みなど無いしがない個人事業主なので、ウサ晴らしに「あまり嬉しく無い未来」を妄想してみました。当たらない事で有名な人力予測なのであまり信用なさらぬよう・・・。