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史上最悪の大統領になりつつあるオバマ・・・オバマの役割

2014-08-15 11:04:00 | 時事/金融危機
 

■ 史上最悪の大統領の座をジミー・カーターから奪いそうなオバマ ■

アメリカ人が選ぶ史上最低の大統領はジミー・カーター氏です。「最低」の理由はイランのアメリカ大使館人質事件で彼が救出作戦に失敗し、人質を解放出来なかったからです。人質は444日ものあいだ監禁され、レーガン大統領就任の日に開放されました。

人質救出作戦の失敗はヘリコプターの故障と、C130輸送機とヘリが接触して墜落し、砂漠で炎上した事によるもので、カーター氏の不手際ではありませんが、その後の弱腰の交渉をアメリカ国民は嫌いました。

不思議な事に、カーター氏は大統領を退いた後、精力的に外航活動を繰り広げ、現在では「史上最強の元大統領」と言われています。

そのカーター氏から「史上最悪の大統領」の座を奪いつつあるのがオバマ氏です。

オバマ氏はブッシュJr大統領が拡大してテロとの戦争に嫌気した米国国民に支持されて、「CHANGE」を合言葉に当選します。オバマ氏の主張したCHANGEとはどの様なものでしょうか?


1) 何でも一国で解決しようとする単独覇権主義からの脱却
2) 福祉や医療保険制度を改革して貧しい人に優しい社会を実現する

折しもリーマンショック直義でアメリカが自信を無くしていた時期だけに、アメリカ国民のみならず世界の人達がオバマ氏の「CHANGE」を熱狂的に支持しました。

実際のオバマ氏はイラクからアメリカ軍を撤退させましたが、その結果イラク国内は混乱に陥り「イスラム国」の台頭を許しています。オバマはイラクを再び空爆するという中途半端な対応に追い込まれました。

リビアやシリアにおいても積極的な介入を避けた為、このらの国は内戦の収束の目途が立たず、中東地域の不安定化の要因となっています。

一方、アフガニスタンへの米軍の派兵は、オバマ大統領が「私の戦争だ」と言って始めたものですが、こちらもタリバーンを駆逐する事なく、撤退に追い込まれつつあります。

■ 戦争から福祉へのチェンジは必要だった ■

アメリカ人は「強いアメリカ」を望む傾向がありますので、オバマ氏の「チェンジ」がアメリカ国民を豊にしたという実感が得られない現在、オバマ氏への指示は急速に低下しています。

しかし、リーマンショック後のアメリカ国内情勢を鑑みるに、オバマ氏の福祉政策は決して悪いものではありません。

アメリカ版の国民皆保険制度は骨抜きにされてしまったので、効果が薄く財政負担ばかりが目立つ様になりましたが、失業者の救済政策で、リーマンショック後の最悪の時期、多くのアメリカの貧困層が救われた事も確かです。

■ 「暴動」が起きなかったのはびとえにオバマが黒人大統領だったから ■

先日、セントルイスで18才の黒人青年が警官に射殺された事を受け、当地では黒人達の暴動が発生し、警官達がガス弾やゴム弾で応戦する事態に発展しています。

http://www.cnn.co.jp/video/13206.html
(CNN)

この様な小規模な暴動はリーマンショック後何回か発生していますが、それが全米に波及する事はありませんでした。アメリカの黒人達は貧しい生活を強いられており、その不満は高まっていますが、それでもオバマの福祉政策によって最低限の生活が維持されているので、暴動は小規模のガス抜き程度で鎮静化します。

大統領が黒人である事も、黒人達の不満を最低限に抑えている一因でしょう。これがヒラリーが大統領だったら、アメリカはどうなっていたか分かりません。

■ オバマの役割 ■

オバマの功績を10年後に振り返った時、オバマの役割が明確になるはずです。

アメリカは世界の警察を止め、普通の大国になっているはずです。その結果、世界は多極化し、いくつかの地域覇権国家と国家連合が拮抗してバランスする状態になっているはずです。

世界が多極化する為には、アメリカの軍事的衰退が必須です。しかし、アメリカ人は伝統的に強いアメリカを望みますから、リーマンショックによって経済が混乱し「戦争をやっている場合では無い」と国民が考える様な状況が用意されたのかも知れません。

■ カーターの役割、オバマの役割 ■

私は陰謀論者ですから、カーター大統領のイラン大使館の人質救出作戦は失敗するべくして失敗したのだと考えています。アメリカが強気に出れなかった事でイランの革命政権は延命し、中東の勢力地図を大きく塗り替えて現在の状況を用意しました。

陰謀論的には砂漠に墜落したC130輸送機は、落ちるべくして落ちたのだと思ってしまいます。

同様にオバマの役割は強いアメリカを弱いアメリカに変える事であり、その間、国内の貧困層に高まる不満を「黒人大統領」というイメージで逸らす役割を彼は担っています。

■ ロシアや中国の台頭を後押しするオバマ ■

ウクライナ問題でも、南沙諸島、西沙諸島、尖閣諸島の問題でも、アメリカは口先だけで、米軍を動かす様な事はしていません。

これによって欧米と中露の対立は深まりますが、一方で中露は反欧米国家である途上国のリーダーになろうかとしています。アメリカは間接的に中露の台頭を後押ししているのです。

現在、ヨーロッパと東アジアに薄らと壁が出来つつあり、何等かの切っ掛けで、この壁は強固なものとなるでしょう。

そしてこの壁は中東地域ではアラビア半島に波及するはずです。サウジアラビアが壁のどちら側になるのかが注目されます。

■ レイムダック状態でもオバマ大統領は戦争を選択しない? ■

二期目の中間選挙を控え、既にオバマ政権のレイムダック状態は決定的となっていますが、オバマ大統領が指導力を回復させる為に、戦争という手段に出る事は無いはずです。この事は、中露に時間的猶予を与えています。

オバマの残された2年の任期中は、世界は曲りなりにも平和が保たれるでしょう。しかし、もしかすると、オバマは任期の最期に戦争を選択し、全ての泥を被る事になるかも知れません。それがオバマが担う役割なのかも知れません。