人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

茶番劇のリアリティー ・・・ 最近演技力が低下していないか?

2015-06-04 09:25:00 | 時事/金融危機
 

オバマ       ミスター・チーピンン。
          南沙諸島の埋め立て計画は順調ですか?

習近平       オバマさん。
          申し訳ありませんが、中国の工事は遅れるのが常でして・・。

オバマ       そろそろ世界に工事の写真を公開しようと思うのだが・・・。

習近平       それなら大丈夫ですよ。フォトショップでちょっと加工すれば。

オバマ       そうだな、ぼやけている位が信憑性が有る様に見えるかもしれない。

習近平       それでは来週、メールでお送りします。

オバマ       楽しみにしているよ。


<後日>


習近平       オバマさん、メールは拝見していただけましたか?

オバマ       ・・・ああ、あれか・・・。
          何で空母が三隻も写っているんだ・・・。

習近平       人民解放軍の実力を世界にアピールする良い機会でしたので。

オバマ       これはどう見てもコピペだろう!

習近平       適当にボカシテあるから分かりませんよ。

オバマ       領域指定の仕方が雑すぎるだろう。私の方がまだましだ・・・。

習近平       そこはアメリカの技術力で修正していただいて・・・。

オバマ       もういい、分かった。こっちでどうにかする。




オバマ       カーター、南沙諸島に偵察機を飛ばしてくれ。

カーター国防長官  分かりました。大統領。
          あちらには連絡を入れておきます。

<後日>


カーター国防長官  大統領、例の写真が出来上がりました。

オバマ       ・・・島だな・・・・何も無い・・・・。

カーター国防長官  ええ、遅れているとは聞いていましたが、ここまでとは・・・。

オバマ       どうする、例の中国側の写真を公開するか・・?

カーター国防長官  ご安心下さい。今、ハリウッドのCG会社に発注を掛けときました。

オバマ       そうだな、最初からそうしておけば良かった・・・。






米軍が南沙諸島の中国軍基地の写真を公開してから、にわかに南シナ海の中国と周辺国の問題が世間を騒がせています。この問題は今に始まった問題では無く長年に渡りフィリピン、ベトナム、インドネシアと中国の間で領有が主張され続けて来ました。

特に1988年にはベトナムのスプラトリー諸島守備隊と中国人民解放軍の間で戦闘が起き、多くのベトナム軍兵士の命が失われるという悲劇も起きています。(スプラトリー海戦)


尖閣諸島に関しては日本が実効支配しているので、アメリカは静観しています。中国軍が軍事的行動を起こさない限り、どちらの肩も持たない事で、尖閣諸島をめぐる日中対立を煽っています。

一方、南沙諸島に関しては中国が実行支配してる島も有ります。中国はサンゴ礁の環礁を埋め立てて飛行場を建設する計画の様ですが、これが完成すれば南シナ海に中国人民解放軍の巨大な空母が浮いている様な状況になり、周辺のシーレーンの安全保障に重大な変化をもたらします。日本への原油の輸送路になっている海域でも有り、南シナ界における中国の軍事力拡張は日本にとっても安全保障上、重要な問題となります。


興味深い事に、アメリカは南沙諸島、西沙諸島の領有問題に関して、これまで静観して来ました。中国がまだ経済発展を遂げる前であれば、いくらでも圧力を掛ける事は可能でしたが、中国が軍事的にも勢力を拡張した今になって、重い腰を持ち上げました。これは、あたかも敵である中国が軍事力を付けるのを待っていたかの様に見えます。



アメリカは中東でもISILに空爆を加えながらも地上攻撃部隊の投入を避けています。地上部隊の投入してもテロリストは雨後の竹の子の様に次から次に現れるので、勝利の無い泥沼の戦争に陥る事が分かっているからです。アメリカの財政は、もはや米軍の世界での多面作戦を支える事は出来ません。

結果的に中東ではスンニ派のISILに対抗する為にシーア派の結束が高まっています。イラクが支援する形で、イラク軍やヒズボラの関係が強まっていると言われています。これは結果の様に見えて実は目的では無いかと私は邪推しています。

アメリカは中東での軍事的覇権を失いつつありますが、その代わりとして「スンニ派 VS シーア派」という置き土産を残そうとしている様です。従来は「イスラエル VS アラブ」という構造を用いて来ましたが、アメリカの影響力が低下する中で、イスラエルが全アラブを相手にする事には無理があります。ですからアラブ同士の対立を煽る事で、中東に「不安定な安定」を築き、アラブの結束を阻止しているのでしょう。


同様にアジアにおいても米軍はハワイ-グアムラインまで退く「トランスフォーメーション」を実行しています。その過程で中国と海洋アジア諸国の対立を煽り、ここにも「不安定な安定」を構築しようとしています。

尖閣問題、竹島問題、南沙諸島問題、西沙諸島問題、北方領土問題がありがゆえに、アジアの国々は中国とロシアを中心に結束する事が出来ません。


今回の「南沙諸島埋め立て」を巡るアメリカとメディアの動きを見ていると、新たな冷戦の構図がかなり明確に見えてきます。そして、その様な世界の大きな動きの中で、日本の安保法制の大転換が行われるのでしょう。


「安倍首相はヒットラーと同じファシストだ!!!」とデモ行進する人達に、世界の軍事バランスの大きな変革は見えているのでしょうか・・・。日本人がどんなに平和を望もうとも、世界の経営者がアジアに紛争が必要だと思えば、小規模な戦闘は確実に実行されるのでしょう。


現代の世界において日本や中国程度の軍事力を持つ2国が全力で戦闘を行えば、それぞれの国は焦土と化します。特に核兵器を使わずとも中国人民解放軍は中距離ミサイルを大量に保有していますから、一瞬で東京を火の海にする事など容易い事です。ただ、その様な戦争は絶対に起こりません。何故なら中国とアメリカの核兵器の抑止力が働いているからです。

ですから、現代の大国間の戦争において勝者は居ません。いえ、大国間の大規模な戦争は起こしようが無いのです。一方で、尖閣領有問題の様な地域が限定されてた戦闘が起きる可能性は否定出来ません。

かつてアルゼンチンの沖に浮かぶイギリス領のフォークランド諸島にアルゼンチンが侵攻しました。内政の不満を戦争で誤魔化そうとしたのですが、イギリスはアルゼンチン軍に徹底抗戦して島の領有権を死守しました。この様に現代においても、先進国間であっても地域限定の紛争(戦争)は実行可能なのです。


戦争の善悪を保留して、世界経営の道具として戦争を見た時、アジアで何が始まろうとしているのか、その姿がうっすらと見えてきます。


まるで茶番劇を見る様な今回の米軍の偵察写真の公開ですが、アジアにおける軍事的緊張が計画的に準備されている事を分かり易い形で私達に知らせてくれる良い例では無いでしょうか。