人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

寝技在りのフリースタイル・・・EUとギリシャのレスリング

2015-06-30 10:35:00 | 時事/金融危機
 

■ ギリシャ危機は米国債の転機に必ずクローズアップされる ■

ギリシャ危機の端を発するユーロへのマイナス圧力は、ドルや米国債に圧力が掛る時に発動する傾向が見られます。

リーマンショック後、危機の本丸はアメリカの金融業界でした。アメリカは投資銀行を商業銀行に吸収合併させ、商業銀行に税金を注入して金融崩壊を回避しました。さらにはQE1、QE2、QE3を実施して、信用不安の解消に努めました。

この過程においてドルの信頼性に何度か疑問が提示されましたが、同時期にヨーロッパではギリシャ危機や南欧債危機が発生していたので、相対的のドルがまともに見えていました。

当時、ギリシャ国債や南欧債をを攻撃していたのは米国のHFや銀行でした。

■ 米利上げ前に再びギリシャ危機がクローズアップされる ■

FRBは年内利上げを目指している様ですが、アメリカの経済指標はパッとしません。利上げが来年にずれ込むという予測も有ります。

利上げは確実の緩和資金の低下を招きますから、緩和資金の支えられた市場は動揺するはずです。そこで利上げを確実に実施する為には、ドルや米国債が他の資産に比べて魅力的に見える必要が有ります。

そのタイミングでいつもクローズアップされるのがギリシャ危機です。

■ 過剰なリスクをふるい落としたい中央銀行 ■

イエレンFRB議長も、ドラギECB総裁も、IMFのラガルドも昨今の市場が過剰なリスクテイクしている事に警戒を発しています。ボラティリティーの増大に注意を呼び掛けています。

これは一見すると市場や経済にとってマイナス効果が有る発言ですが、米利上げを成功させる為には、過剰なリスクを低減させておきたいというのが本音かと思います。

その意味においてギリシャ危機は便利です。ギリシャを救済し続けるか、それとも見放すかはドイツとECB、そしてIMFの腹積もり一つで決まります。


■ ギリシャの経済に圧力を掛けた欧州債権団 ■

ギリシャではツィプラス首相が国民投票を実施して自身の政治的責任から逃避しようとしていますが、これに対して欧州各国は流動性支援の停止という強硬手段でギリシャを追い込んでいます。

結果的にギリシャの銀行から資金流出が起こり、銀行を1週間閉鎖する事態に発展しています。ATMに市民が並んでいますが、ATMの中は既にカラッポです・・・。

これに対してギリシャ国民は暴動を起こす事も無く冷静に受け止めています。国民投票という維持表示の場が設けられていので、それが終るまで騒ぎは起きないのかも知れません。

ただ金融セクターの機能が喪失したギリシャでは今後まともな経済活動が出来なくなって行きます。

■ 既に地下化しているギリシャ経済 ■

もっとも度重なる危機で国民の耐性も高まっています。そもそもギリシャ経済は地下経済の規模が大きく、欧州各国の支援は地下経済に染み出してしまって実体経済の回復に役立たないという点が指摘されていました。

さらに自給自足経済もそれなりに生き残っているので、欧州各国による経済圧力で困るはは公務員達なのかも知れません。

■ 欧州の脅しは効くのか? ■

それでも、欧州各国が本気の「脅し」を掛けた事は、国民投票の行方に大きな影響を与えるでしょう。ギリシャ国民が財政再建を取るのか、それとも逆ギレするのか大いに注目される所です。

一方、欧州各国としては、仮にギリシャ国民が緊縮財政を受け入れたとしても、地下経済に支援資金が漏出する状況では、ギリシャ支援の出口は全く見えて来ません。結局、根本的な問題が解決しないので、ギリシャは何処かの時点で見放される運命なのだと思います。

その場合はドラクマが復活し、格安観光地としてギリシャは多くの旅行者を集める事になります。

■ IMFはギリシャをデフォルト認定するのか ■

今後注目されるのはIMFの出方です。返済期日である6月30日にデフォルト認定する事は無いでしょうが、国民投票の結果次第では、ギリシャに引導を渡すかも知れません。

これでユーロに混乱が波及すると・・・・間接的にドル支援が達成され、米利上げの援護射撃になるかも知れません。

■ ドイツ銀行が発行したギリシャ債権のCDSがハンパナイという噂 ■

少し気になるのが、ギリシャ国債を元にしたデリバティブ商品が大量に発行されているという噂(100兆ユーロって・・・まさかね・・・。)。出所はベンジャミン・フルフォードの様なので、話半分ではあるのですが、どうやらドイツ銀行(ロスチャ系の銀行)が、ギリシャ債権のCDSを大量に発行している可能性が有るらしい・・・。

前回のギリシャ危機の際にはアメリカの投資銀行が大量にギリシャ国債のCDSを発行していましたが、こちらはギリシャがデフォルト認定されなかった為に、ギリシャ国債が溶けてしまってもCDSの支払義務は回避されています。

しかし、今回ギリシャは明らかにデフォルト認定されそうなので、ギリシャ国民の選択次第ではドイツ銀行が欧州発の金融危機の着火点になるのでは無いかと噂されています。

ドイツ銀行は日本銀行の様な中央銀行にその名前から見えてしまいますが、完全なる民間の銀行です。(中央銀行はブンデスバンク)

ドイツ銀行は1989年にロンドンのモルガン・グレンフェル銀行を吸収合併していますが、実際には経営をモルガンに奪われたと噂されています。最近は自己資本の積み増しをドイツ金融当局から指導されたり、不適切な融資が問題視されたりと悪い噂が絶えない様です。

もしドイツ銀行が明らかに「危ない」ギリシャ国債に大量のCDSを発行していたとするならば、それはリーマンブラザーズ並お危機の発信源になる可能性があります。

折しもイギリスがEU離脱を仄めかす状況で、ロスチャ系のドイツ銀行はドイツに仕掛けられた時限爆弾となる可能性も否定できません。まさに自爆攻撃です。

まあ、この辺は「怪しい陰謀論界隈の噂」なので、信憑性は???


■ ギリシャの火遊びで世界の金融崩壊では情けない気がするのだけれど・・ ■

陰謀論的には、ギリシャの火遊びから世界経済が崩壊するのはちょっと情けないかなと思っています。それとも、プロメテウスから授かった火の威力は予想外に大きく燃え広がるのか?

どうやらEUとギリシャの攻防はグレコローマンスタイルの投げ技で一気に「借金チャラ」を目指すギリシャに対して、フリースタイルのEUが下半身に強烈なタックルをかまして寝技に持ち込んだといった所でしょうか・・・。


なんとなく筋書のあるプロレス臭いので、今に凶器やら場外乱闘やら飛び出してきそうで楽しみではあります。

前回も肩が付いてもレフリーはノーカウントでしたし・・・一番怪しいのでレフリーなのですが・・・。