■ 10年債金利が名目GDP成長率を下回るとバブルが発生する ■
ちょっと興味深いデータがあります。
通常は10年債金利は名目GDP成長率を上回っています。過去においてこれが逆転していた時期は以下の通りです。
●日本:88年~90年(バブル経済の最盛期)
●米国:98年~2000年(ITバブル)、03年~06年(サブプライムローン・バブル)
●ドイツ:06年~07年(サブプライムローン・バブル)
http://manabow.com/qa/20140618.html より参照しました。
■ バブルの絶賛拡大中 ■
現在も各国の10年債金利は名目GDP成長率を下回っています。結果的に資産バブルが非常に起きやすい(或いは既に起きている)状況が続いています。
経済成長が鈍化した時期の金融緩和は確かに景気を下支えする効果があるのですが、実体経済への投資よりも資産市場に投資した方が金利が容易く得られるので、資金の多くは資産市場に流入します。この結果リスクと金利の関係が崩れます。
1)金利が低下し過ぎると投資家は儲からない
2)少しでも高い金利を求めてジャンク債市場などハイリスク市場に資金が流入する
3)ハイリスクな市場の金利が低下してリスクと金利のバランスが崩れる
4)金利低下によってリスクが見え難くなる
5)気づいた時にはバブルが拡大している
6)金利の上昇などをきっかけに資金の逆転が起きるとハイリスクの市場から崩壊する
7)リスクと金利のバランスが崩れていた市場は連鎖的に崩壊する可能性が高い
■ アメリカが利上げに踏み切っても日銀とECBが資金を供給し続ける ■
FRBは利上げのタイミングを測っていますが、日銀とECBが量的緩和を継続する限り資産市場へ過度な資金が流入し続けバブルを止める事が出来ません。
1) アメリカが利上げに成功する
2) 米ドル高、円とユーロ安が起きる
3) 為替変動によってアメリカとの実質金利差が拡大する
4) 金利を求めて日本とヨーロッパの資金がアメリカに流入する
5) 資金流出が発生する日本やヨーロッパの景気は停滞する
アメリカが利上げに成功した場合、日欧の緩和資金は米国市場に流れ込みバブルが拡大する可能性が高まります。
ここで日欧が出口戦略を匂わせたならば、市場はパニックに見舞われるかも知れません。
■ 異次元緩和による崩壊は日本では無くアメリカで顕在化する ■
日銀の異次元緩和の結果、バブルは日本で膨らむのでは無く、海外市場、特にアメリカで膨んでいます。ジャンク債市場の金利は明らかに低過ぎ(投資家が過度にリスクを取っている)、ジャンク債市場の崩壊は自社株買いのトレンド崩壊を招くので、米株式市場を巻き込む形で影響を拡大します。
異次元緩和の是非を問う議論の多くが国内経済の動向を元に語られます。しかし、危機は国内では無くアメリカで顕在化するはずなので、日本の出口戦略が遅れれば遅れる程、アメリカのバブルは破壊力を増す事になります。
■ 戦争に注意が必要だ・・・・ ■
リーマンショック以上の金融崩壊が起こるであろう事は、日米欧の中央銀行が量的緩和に追い込まれた時点で確定しているので、問題はそれがいつ起きるかだけです。これは投資をさえれている方には由々しき問題ですが、資産の少ない一般庶民にとってはリーマンショック以上の不景気が襲って来る事の方が問題です。
避けられな災いが降って来るに等しいので、これは仕方無いと諦めるしか無いのかも知れません。
歴史を振り返れば、いつの時代も経済の失敗は戦争で誤魔化されて来ました。強気な人は、「それなら軍事関連株だ!!」となるのでしょうが・・・