■ 固定ギアという乗り物 ■
先日挫折したシングルギアーバイクによる渋峠ヒルクライム。そのリベンジの為に色々と自転車を改造中。
1) 16Tフリーギア(2.875) → 18T固定ギア(2.555)
ネットの書き込みによると、固定ギアはフリーギアよりも力の伝達効率が良く、坂道もグイグイ登って行くとか・・・。
それなら、後輪のハブに坂道用の固定ギアを装着しておいて、勾配のキツイ坂や、長距離のヒルクライムは固定ギアを使う方が楽そうだ・・・。そこで18Tという少し大きめの固定ギアを付けてみました。ギアー比2.555。
さて、初めて固定ギアに乗ってみました。
1) 乗った瞬間に転びそうになります
2) ペダルが下死点にあると、ペダルを回す事が出来ず、スタート出来ません
3) 足を止めた瞬間にペダルが足を突き上げて来て吹っ飛びそうになります
4) 停止しようとしても、ペダルが回転し続けるので思う様に停止出来ません
5) 下り坂で・・・足が高速回転してしまい・・・死ぬかと思いました
この諸々の原因は「フリーが無い」事に起因しています。フリーとはペダルを止めたり、逆回転した時にペダルと後輪の回転の縁を切る装置です。これが無いと、三輪車の様にペダルと後輪はダイレクトにチェーンを介して連結し、後輪が回転する限りペダルも回転し続けます。ペダルを逆回しすれば、後輪も逆回転します。
実は私達が自転車に乗る様々な場面で、「フリー」の恩恵に預かっています。フリーが無いと言う事は、脚の回転を止めた瞬間に後輪の慣性回転力によってペダルに乗せた足が強引に回されます。これを無理に止めようとすると、ペダルに押され体が前方に吹っ飛ぶか、あるいは後輪に急ブレーキが掛り、後輪がスリップして転倒します。(これを上手にバランスを取るのがスキッドというブレーキ技術で、トリックの基本)
そんなこんなで、自転車に跨って始動しようとした瞬間に吹っ飛びそうになり、オットットと停車しようとした瞬間、再びお吹っ飛びそうになり、そしてスタートしようとしてもペダルが6時からピタリとも動かずに走り出す事も出来ない。
・・・・色々工夫しながら、初めて自転車に乗った3歳児の様に自宅の周辺をフラフラと走りながら徐々にピスト(固定ギア)という乗り物の挙動と御作法を体に覚え込ませて行きます。30分程、車の来ない遊歩道で練習をし、今度は車通りの少ない車道で、練習しました。
さて、100Km程度走ってみようと先々週の土曜日に走り出してみましたが、10Kmで脳みそがパニック状態。もうヘトヘトになってこの日は終了。翌日曜日に再チャレンジしましたが、前日の10Kmでそこそこ体が乗り方を覚えたのか、上総牛久までうぐいすラインを通って往復100Kmを走る事が出来ました。
しかし、ここで問題が発覚。ギアー比2.555は登りはスイスイ登るのですが、下りに転じた瞬間、足(ペダル)が鬼の様に回転し始めてパニックになります。時速20kmでも結構な高回転。時速30km以上では、足が追い付かずに転びそうになります。結局、ペダルを逆回転する方向に常に足に力を入れて重力加速度を相殺し続ける事に。(バックを踏むと言います)
これ、非常に不合理な状態で、下り坂で重力と体重が味方になるどころか、完全に敵になります。とにかく慣れないバックを踏むと足の筋肉が攣りそうになります。
ハンドブレーキを引きながら走れば良いのですが、足が回転し続けているので、下り坂でサドルの後方に腰を引いて後ろ荷重にする事も出来ませんし、足が回転運動を続けているので重心も安定しません。下手にハンドブレーキを掛けると、上半身が前方に吹っ飛びそうになります。
・・・固定ギア、ギブアップ!!。こんなに怖い乗り物には久しぶりに乗りました・・・。
2) クランクを48T,170mmの「omunium」に変えてみる
ギアー比を大きくすれば下り坂での足の回転を抑えられるはず。
そこで、46Tの前ギアを48Tに交換してみます。どうせなら以前から欲しかったスラムのOmniumにしてみます。これ、ピスト乗りの憧れのクランク。剛性が高く、「ギアを1枚か2枚軽くした様に感じる」という代物。
クランク長も165mmから170mmにして坂道でトルクを掛けられる様にしました。
結果・・・なんとチェーンの長さが足りなくて固定18Tに掛りませんでした・・・。そこで、フリー16T、ギアー比3.0で乗ってみます。・・・何の事ない、普通のロードバイクでいつもやっている「仮想シングルギア」と大差無い走り。
それよりも、何故かフリーギアーが気持ち悪い。固定での走り方が脳に残っているのか、ペダルを止めた瞬間に「ヤバー!!」って信号が脳に送られてビク!!ってします。自宅から15K走った海浜幕張のイオンモールの自転車屋さんに飛び込んでチェーンをン交換し、ギアーも固定に戻しました。ギアー比2.66。
ただ、このギアー比、やはり軽すぎて下りで脚が直ぐに回り切ってしまします。
3) 16Tの固定にする
そこで、後輪のギアーを16Tにしてみます。これならフリーと同じ歯数なので、固定とフリーこ入れ替えは後輪を反転させるだけでOK。ブレーキの調整も要りません。
固定ギア、ギアー比3で麻綿原の10%超えの坂道を超えて鴨川まで100Kmを走破できれば、普段使いには問題有りません。
だいぶ固定ギアにも慣れたので、平地で不便を感じる事は無くなりました。ギアー比3の漕ぎ出しは、元々アウタートップ縛りで遊んだりする私にとっては「普通」。問題を感じません。
30km/h巡航は私の好きなケイデンス80なので好きなケイデンスです。ここから加速する場合、ケイデンスを上げば良い。33Km位が気持ち良く巡航出来る上限でしょうか。回せばケイデンス110rpm位いで時速40km/mも出ますが、流石に長時間はキツイ。ただ、固定ギアの特徴で、高回転時に後輪の回転がペダルを回してくれるので、30Km以上の速度維持が凄く楽です。
一方、下りも短い下りなら40km/h位までは脚が回り切る事はありません。しかしこれ以上のスピードになるとペダリングが乱れて、ちょっと気を抜いた瞬間にペダルに足が持っていかれます。その途端に自転車の重心がブレて後輪がスリップして吹っ飛びそうになります。これは怖い。安全にダウンヒルする為には、こまめのブレーキングで30Km/hを超えない様にコントロールする必要が有ります。ただ、後輪のブレーキングはデリケートに調整しないと、カーブの砂利や落ち葉でスリップする危険性が高まります。
何れにしても固定バイクの下りは神経を使って「楽しく無い」。
浦安からうぐいすライン経由で養老渓谷までの72Kmを平均時速26.5km/hで到着したので、ロードと大差は無い様です。ただ、下りで脚と神経を使うので疲労は多い。
ここから気温の高い中を麻綿原に老川十字路ルートで登れるのか不安ですが、とりあえずチャレンジしてみます。前日の雨で林道はコケと落ち葉でスリッピー。慎重に登り始めますが・・・あれ、ギアーの重さとしてはフリーのギアー比2.875とほぼ同じに感じます。ギアー比3の固定は結構登りに強い。
最大の違いはフリーで蛇行していた坂を直登して行ける点。ペダルからタイヤへの力の伝達にムラが無いので、ペダリングに集中すれは失速するポイントが少ない。結果的にゆっくりながらも速度が安定していて、ハンドルを抉る(コジル)様な事をしなくても、ジワリジワリと10%以上の斜度の坂を登って行きます。
尤も、ギアー比3という負荷は変わらないので、太腿前側の筋肉が直ぐに悲鳴を上げます。さすがに1Kmも高付加で登り続ける頃には両太腿が同時に攣りました。ギリギリビンディングを外して転倒は免れます。
痙攣が治まるのを待って再び登り始めますが、15%以上の斜度3か所で脚が攣って押しが入りました。それ以外の12%程度ならばグイグイ登って快適です。
ただ、下りが始まると強制高回転ペダリングによって、今度はフクラハギが攣りました。やはり、下りの速度は抑える必要があります。
麻綿原の頂上に着いた時も、呼吸に余裕が在りましたから、涼しくなれば足付無しで登れそうです。
さて、問題の下りですが・・・こまめにハンドブレーキを使えば、スリッピーな急坂のワインディングロードでも問題在りませんでした。むしろスピードを抑える事で、自爆事故の防止になりそうです。(風を切って気持ちよく下る事は出来ませんが)
ダウンヒルを追えて、鴨川までの平時は30km/hオーバーで快適に巡航。ここで本日の実験は終了し、鴨川の秋の大祭の報告は、あすの記事で。
■ マイ・ギアは48T-16Tに決定 ■
さて、3週間で俄か固定ギア乗りとなった私ですが、マイギアは46T-16Tのギアー比3に決まりそうです。
後輪17Tも試してみたいとは思いますが、下りを考えると16Tが丁度良さげです。
しかし、少しヒヤリとする点も含めて固定ギアは面白い。益々、ロードバイクの出番は無くなりそうです。
【追記】
先週末からヨーロッパを皮切りにアメリカも日本も株価が波乱含みですが、「ダルマさんが転んだ」みたいな物で、利上げはドイチェバンクなどの不安が台頭すると下がり、しばらくすると行き場の無いマネーが又戻って来ます。
こんな事を何回も繰り返す内に、市場は終焉へと近づいて行きます。「アメリカ経済の独り勝ち」には決してならない事にご注意を。