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ゼロリスクの要求がリスクを高める・・・4.5mまでの掘削

2016-09-14 03:17:00 | 時事/金融危機
 

■ 「盛土無し」の経緯が見えて来た ■

盛り土無しの決定経緯が何となく明らかになって来ました。

1) 2008年07月の「専門家会議」が「4.5mの全面盛土」を提言

2) 2008年11月5日の「技術者会議」で都が「建物下空洞案」を提案の一つに上げる
   http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/pdf/gijutsu/siryo/6-5.pdf

3) 2008年12月25日の「技術者会議」で「建物下空洞案」は検討から外れる
   http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/pdf/gijutsu/siryo/09kaigiroku.pdf

「技術者会議」が「建物下空洞案(第5案)」を破棄した理由は、「費用対効果」が十分に検討されていなかったからの様です。

ところが、実際の設計図は2013年の時点で建物の下に4.5mの空洞が在ります。

今回の一連の騒動のキーポイントは、「技術者会議」で採用されなかった「建物下空洞案」を誰が採用し、そして、どうして報告がされていなかったのかに絞られます。

■ より高い安全性を求めた結果の判断 ■

匿名の都幹部の話がネットに上がっています。

「建物下に高さ4.5mの空洞を残したのは、もし問題が発生した場合にブルドーザーを入れる高さを確保する為・・・」


地下水は砕石層でブロックされるので、その上をコンクリートの密閉空間で蓋をする構造は、単なる盛土よりも遮蔽性が高く、万一、砕石層を超えて地下水が上昇しても、盛土の毛管現象で地下水が地上レベルまで上昇する危険も無くなります。

都の職員と設計会社、ゼネコンは、さらなる万全を期す為に、建物下に盛土が無い方が合理的で安全と判断したのでしょう。さらには・・・もし将来的に問題が生じた場合に、盛土をしてしまうとそれを除去してから対策に当る必要が有り、むしろ盛土は邪魔になると判断した様です。

■ 将来的に利用価値の在る地下空間 ■

これだけ広い地下空間ですから、将来的にベンゼンなどの揮発性ガスの濃度が環境基準以下であれば、駐車場や災害備蓄基地への転用の可能です。

堅牢な箱状の地下空間ですから、東京直下型地震の際の緊急避難所としての利用も可能かも知れません。

優秀な都の職員ですから、この空間の有用性は十分に認識しているはずです。

■ 安全性を求める為の4.5mの掘削、汚染度除去が仇になる? ■

私の素人判断で恐縮ですが、今回に一連の騒動の元凶は「専門家会議」が提唱した「4.5mの盛土」にあると考えています。

1) 都民の不安を払拭する為には法律が要求する50cmの盛土では足りない
2) いっそうの事、地下水レベルのすぐ上のAP.+2.0まで汚染度を取り除こう
3) その上に4.5mの盛土をする為には砕石層はAP.+2.0に設置しなければならない
4) 4.5mも盛土をすれば、流石にベンゼンやシアン化ガスも地上には出て来れないだろう

これが全ての不合理の元凶です

1) 砕石層がAP.+2.0という低い位置に在る為にAP.+1.8の地下水面とのクリアランスが少ない
2) 少しの豪雨でも、地下水面が上昇すると砕石層に達する危険性が高まる
3) 地下水面をAP.+1.8で安定させる為に多数の揚水井戸とポンプを必要とする

結局、砕石層を低い位置に設定した事で、汚染土壌の処理量も、盛土の量も、さらにポンプ設備の能力も不必要に高める必要が生じる一方で、大雨によって地下水面が砕石層を超える危険性を高めています。

さらには、建屋地下に高さ4.5mという不必要に高い空洞を生み出す元凶にもなっています。

■ 青果棟の地下の水溜り・・・これ、地下水面の上昇では無いのか? ■

気になるのは青果棟の地下の水溜りです。床がコンクリートで固めらた他の棟は、雨水の可能性が有りますが、流石に砕石層となると、本来排水性が高いはずなので、その下に在るはずの地下水面の上昇が疑われます・・・・。

もしこれが大雨によって一時的に地下水面が上昇した物であるならば、AP.+2.0という深さの砕石層の設定自体が、ポンプの排水能力に対して低すぎた事になります。

もし、仮にこの用な事態が生じているならば、豊洲市場の盛土による汚染地下水の封じ込めは機能していない事になり、それこそ豊洲移転自体が白紙撤回になる可能性もあります。

■ ゼロリスクを求める余りリスクを拡大する愚 ■

多分、土木の専門家の中には、砕石層の設定深さが深すぎる事に気付いた人も多いかと思います。しかし、その方が汚染土の除去で儲かり、盛土の量が増えて儲かり、ポンプ設備の量が増えて儲かります。

業界は儲かる方が嬉しいので、誰もこの「非合理性」を指摘しなかったのでは無いか。(飲みながら話題にする事はあっても・・)

同様に建物地下が巨大空洞にされている理由も、トラブルが生じた際の対策という、将来的なリスクを減らす為の選択です。当然、打設するコンクリートも若干増え、構造も太くなるのでコストアップに繋がります。

こうして、「安全」や「万全」を求めた結果、豊洲市場の建設コストは民間工事に比べて膨らんで行きます。

民間ならば、絶えず「費用対効果」が意識されますが、公共事業では「安全」や「万全」が優先されます。

■ 何故か耐荷重が700kgしか無い1Fの床 ■

一方で、間口が狭いだとか、床の耐荷重が700kg/㎡しか無く、フォークリフトの運用や大型冷蔵庫の設置に問題が在るなど、建物の設計スペック事態に根本的な問題を抱えているのは不思議です。

ただ、TVに頻繁に登場する専門家が、「1F床下が空洞だから耐荷重が低い」と指摘している点は笑止千万。

普通の建物でも地下ピットが在るのですから、荷重は全て1F床スラブが支えるのは当然です。軟弱な盛土では荷重は支えられません。


まあ、いずれにせよ、問題噴出の豊洲移転ですが、青果棟の地下の水溜りの水の検査結果如何によっては、小池知事が予想だにしなかった最悪の結果を招くかも知れません。


まあ、そうなったらコミケ会場にすればいいか・・・・。ブースも適当に仕切られているし。


本日も素人考えの妄想を垂れ流してしまいました。頑張れ!!都の職員!!