
■ 「三重苦」でヤビツ峠は登れるのか? ■
春先になるとヤビツ峠に登りたくなります。裏ヤビツのミツマタが見たくなるからです。
どの自転車で登ろうか、いつも悩むのですが、何故か「シングルスピード」とか「ピストバイク」などの「ドM」な選択になってしまいます。
坂道で「カメ」と化す私ですが、負けず嫌いなので抜かれるとム!っとします。そこで、楽しくヤビツを登る為には「抜かれても仕方ない」仕様の自転車を無意識に選んでしまう様です。
今回のチョイスはkonaの極太スチールチューブのシングルスピードの「the rat」。前輪はRolf,後輪はマビックのオープン・プロの仕様で車体重量は9.6kg。重い・・・。
今回のヤビツアタックのテーマは「三重苦」。
1) 自転車が重い・・・9.6kg
2) ギアーが重い・・・前49T、後17T ギアー比2.88 シングルフリー
3) 体重が重い ・・・人生初の70Kg
はたして、この仕様で蓑毛の坂は上れるのでしょうか?55歳のオヤジが挑みます!!
■ ムリゲー感満載なんですけど・・・・ ■
1月に罹った風邪が抜け切れず、今年の冬は走り込みが足りません。さらに、シングルスピードの乗り出したのも3週間前からで、体がシングルスピード向きになっていません。
案の定、伊勢原から名古木の交差点に向かう国道246の善波峠の坂道で、「ア!ヤビツは無理かも」とムリゲー感が漂います。
新型コロナウイルスの影響か名古木のコンビニには自転車乗りが二人しか居ませんでした。普通、自転車乗りはコンビニで出会うと自然と会話を交わすものですが、不思議と名古木のコンビニでは見知らぬ自転車乗りと話した事は有りません。
だいたい、複数人数で来ているから会話に入れないという事も有りますが、ソロの方とも会話し難い雰囲気です。何となく、皆さん、コンセントレーションしている感じでピリピリしている。或いは、「ここで会話をした人に抜かれるのは嫌だ」と無意識に考えてしまうのか・・・。
■ 蓑毛の坂、取ったドォーーー ■
ヤビツ峠の最難関は序盤に現れる「蓑毛の坂」。1km程、10%越えが続きますが、ほぼ直登なので心が折れやすい。初心者はゲーム序盤で突如として現れるラスボスに倒される事が多い。
ここをシングルギアーで登るのにはコツが要ります。脚は「踏んだら負け」です。そもそも体重はペダルはピクリとも動きません。そこで、上半身の力を使って登ります。
1)足は「突っかえ棒」・・・上死点でペダルに脚を載せたら膝を固定するイメージ
2)ボートのオールを漕ぐ要領で・・・・ブラケットポジションを持ってハンドルを引きます
3)背中の筋肉でハンドルを引く・・・ハンドルは腕では無く背中の筋肉で引くイメージ
4)サドルを梃子の支点として、腿を当てて腰を捻る事で最大のトルクを生む
4)は3)までで無理な斜度で使う荒業。3)までは「筋トレ」ですが4)は「肉体労働」に近いものが有ります。
そんな、こんなで満身創痍で蓑毛の坂をクリアーしました。
■ 緩斜面で心が折れた・・・・ ■
蓑毛を越えたら斜度が緩くなるので、後はひたすら「我慢」です。本来は斜度が緩む所はタイムを縮める為にスピードアップすべきですが、シングル登攀では「休憩ポイント」です。シッティングでゆっくり登って脚を回復させます。この時も脚の筋肉では回せないので、お尻の筋肉でペダルをねじ込むイメージ。
菜の花台下の10%をどうにかクリアして、後半の緩斜面区間に入ります。・・・・脚終わってますね・・・緩斜面が10%越えに感じます。斜度がキツクなる所で、心が折れました・・・・。というか、一瞬天国が見えました(地獄の苦行の最中ですが)。
痛恨の足付きです。ここで2分のドリンク休憩。
再スタートしてからは、何故か元気一杯で、最後はダンシングで元気よくフィニッシュ!!。
サイコンのタイムは56分36秒でした。これに足付き休憩2分を加えると、ギリギリ1時間を切った。
■ 会話が弾まない・・・ ■
峠には先に到着したコンビニで一緒になった方がいらしたので「今日は暑過ぎますね」などと汗ダクでご挨拶させて頂きましたが・・・その後に会話が何故か弾みません。「変態に話掛けられちゃった」という戸惑いの表情が相手の顔に浮かびます・・・。
だいたいヤビツの頂上では見知らぬ自転車乗りも「お疲れ!!」と互いの健闘をたたえ合うものです。ギア付きに乗っている時は、私も会話の輪に加われます。
・・・・しかし、ピストだとかシングルに乗っている時は(最近はこのケースが多い)、何故か皆さん目を逸らされます・・・・。これ、結構傷付くんですよね・・・。「ウワー、変態と目合わせちゃったよー」って心の声が聞こえて来ます。
■ 裏ヤビツは諦めて湘南に向かう ■
裏ヤビツに降りるか迷いましたが、時間も遅いし、又登るのはキツイので、秦野に下って、水無川、花水川沿いに海を目指します。
丹沢の山並を一望し、街の中心部を川が流れる秦野の街並みって素敵ですよね。ここが東京から一時間程度の場所だとは到底思えません。
追風なので海までは35km/hペースで快調に飛ばします。海岸通りも多少渋滞していますが、路肩が広いので走り易い。
江の島の到着した所で恒例の大渋滞・・・・。鎌倉でハトサブレでもお土産に買うつもりでしたが、諦めて藤沢駅に向かいます。「Just Because」や「青春ブタ野郎」を観て以来、藤沢駅は私の中では聖地です。
そんなこんなで、コロナウイルスの影響か、空いた電車で快適に輪行出来た一日でした。