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レポ市場の資金枯渇・・・危機は昨年から起きていた

2020-03-24 05:44:00 | 時事/金融危機
 
■ アメリカでは自社株買いのサイクルが狂い始めた ■

今回のコロナショックの特徴は、アメリカの株安が止まらない事でしょう。従来の下落局面では、新興国やアジア株が売られる一方で、米株は早々に底打ちして上層に転じていました。

米株の弱さの原因は自社株買いが減少している事に起因していると私は考えます。その原因は社債市場に流入する資金が減少した事。

現金を担保に債券の売り買いを行うレポ市場というものが有ります。(逆を返せば債券を担保に現金の貸し借りをしているとも言えます)

国債や投資適格の債券を取り引きする場ですが、昨年10月以降、レポ市場に異変が起きています。それはまでは低くかった金利が10%まで跳ね上がったのです。原因はJPモルガンが資金供給を大幅に減らした為だと後から分かりました。

それ以降、レポ市場の金利は高い状態が続いています。これはアメリカの4大銀行がレポ市場への資金供給を絞った為です。FRBが隠れQE4を実施した背景には、レポ市場で国債を買い上げて資金を供給する目的が有ったのです。

4大銀行がレポ市場から資金を引き揚げる事は、社債市場への資金流入の減少を意味します。その結果BB格などの格付けの比較的低い社債が、ジャンク債に格下げされました。

この様に昨年後半から、社債市場の金利が上昇していたので、社債を発行して安い金利で資金を調達して自社株を買って株価を引き上げる「自社株買い」の旨味が減っていた。

■ 誰かが今回の株価下落を仕込んだ ■

社債市場に変調が出て、自社株買いのサイクルに影響を与える一方で、FRBの利下げ以降、アメリカの株価は大幅に上昇していまいした。

これは4大銀行などが社債市場から引き揚げた資金の一部を株式市場に回していたとも考えられます。何れにしても、FRBの利下げによって株価は上昇し易い状況でしたので、一気に株価は吊り上げられた。まさに、バブル末期に良く起こる状況です。

一方でバブルの終焉を予感した投資家の一部は、空売で最後の大儲けを企みます。何かを切っ掛けに株価が下がれば、そこで一気に売りに転じる・・・・そんな時、コロナ騒動が発生しました。

■ 危機の第二幕はジャンク債市場 ■

今回のコロナショックでもレポ市場の資金が干上がりました。FRBが資金供給する事でパニックを抑え込んでいます。

債券を巡る環境の変化は、一番弱い所に歪が溜まります。それはジャンク債市場とCLO(ローン担保証券)市場です。これらの市場は資金環境が変化する度に、変調を来しています。

FRBの利下げによって金利が下がり過ぎてしまった為に、リスク承知で買われていたジャンク債やCLOですが、危機がこれ程顕在化すると怖くて手が出せません。

■ シェールバブルが弾ける ■

ジャンク債市場で資金調達している代表的な企業はシェール関連の企業です。シェール企業はジャンク債市場で調達した資金で、新規の鉱区を開発し、シェールオイルを売る事で自転車操業を行っていました。

ところが、コロナショックと同時に原油価格が30ドルを切る様な下落となったので、シェール企業は原油を採掘しても採算が合わなくなります。掘れば掘る程、赤字が増える・・・。

「アメリカは世界最大の産油国になった!」などと大騒ぎしてましたが、これでシェールバブル一気の終焉を迎えます。後は中東で戦争が発生して原油価格が上昇を待つしかありません。

■ ジャンク・ウイルスが金融市場を揺るがす ■

ジャンク債は様々な金融商品の加工されて世界中に売り捌かれています。投資信託などにも紛れ込んでいます。

さらには、現在はBB格として投資適格の社債も、社債市場の環境の悪化によってジャンク債に格下げになる事は必至です。これらの社債を沢山組み入れた投資信託などは、一気に下落します。

当然、信用の低い企業の債券で構成されるCLO(ローン担保証券)も大幅に値を下げるでしょう。CLOを大量に保有している、日本の金融機関は真っ青になる事でしょう。

リーマンショックはサブプライム層への住宅ローン(サブプライムローン)が原因で発生しましたが、今回の金融危機はジャンク債やCLOが原因で危機が深まる。

■ 国債と中央銀行の信用 ■

問題は、今回の危機がどこまで拡大するかです。

各中央銀行は、コロナショック収束の為に、緊急の資金供給を迅速かつ大量に行っています。各国政府は、リーマンショック時以上に財政出動を拡大すると発表しています。当然、国債の発行額が増え、中央銀行はこれらを買い入れて資金供給を拡大します。

さらに危機が深まった場合、日銀の様に株式などを中央銀行が直接買う事への市場の期待が膨らむでしょう。場合によっては、リーマンショック時にMBSを買い入れた様に、FRBがCLOを買い入れて中小企業の資金ぐりを助けるかも知れません。

・・・・・しかし、これでは中央銀行がバットバンクとして、リスクの最後の担い手になってしまいます。中央銀行のバランスシートの中身がゴミばかりになる可能性が有ります。

リーマンショックの原因となったMBS(住宅担保証券)は、サブプライム。・ローンの部分は棄損しましたが、その他の大多数のローンはきちんと支払われていたので紙屑では在りません。危機が去った後には値を戻し、FRBはテーパリングとして、購入したMBSを売却しています。

しかし、ジャンク債や、信用の低い企業が発行した債券を証券化したCLOは、景気後退によって破綻する企業が続出するので、本当に紙屑になる可能性が有る。

そんな「ゴミ」が中央銀行のバランスシートに詰まっているのだから、中央銀行は発行する債券=通貨の価値に疑いが持たれないとも限りません。

通貨の価値と、国債の価値も表裏一体ですから、国債の価値も疑われるかも知れません。


コロナウイルスに端を発する今回の金融危機ですが、最悪は通貨や国債の危機にまで発展する可能性が有ると私は妄想しています。

日銀の絶対防衛ラインは16,000円!・・・日銀砲発射!!

2020-03-24 04:40:00 | 時事/金融危機
 

■ 空売り勢が日銀砲に屈した ■

昨日の日本株市場は面白かったですね。

コロナウイルスの感染拡大が日本でも起こり得ると発表され、さらにオリンピックの延期もほぼ確実になった週明け、先物市場では日本株は大きく売り込まれていましたから、誰もが大幅下落で始まると思い込んでいた。(私も確信していました)

しかし、開場と同時に日経平均は上昇で始まりました。グググと上昇すると、一気に下落、又上昇と揉み合う展開となりましたが、空売り勢力がどんなに売り込んでも、日経平均が16000円を割る事が出来ないと見ると、売り圧力は一気に弱まりました。

先実の日本株市場を単身で支えていたのは日銀でしょう。

■ 日銀の絶対防衛ラインは16000円 ■

私は日経平均が16000円を割れば暴落の可能性が有ると書いて来ましたが、どうやら日銀の絶対防衛ラインも16000円の様です。ここを割ると、日銀やGPIFの含み損が一気に膨らむのでしょう。

金融緩和バブルが無ければ、日銀やGPIFの買いが無ければ、日経平均の適正相場は多分16000円なのだと私は感じていました。それ以上は作られた相場。

■ 池のクジラは相場感を狂わす ■

本来市場は売りと買いが拮抗して、適正価格を作り出す場所です。しかし、日銀やGPIFの様な大きな資金が買い支えや、買い上げを行うと、適正価格が見えなくなります。

日銀は日経平均の連動したETF投資をする事で特定の企業を後押しする印象を避けていますが、実際にその資金を運用する証券各社は、日経平均に影響の大きい株を買って相場を吊り上げていた。具体的にはファーストリテイリングの様に流通量の少ない人気株で、少しの買いで値上がりが大きい。

この様に日本株市場は、実力以上に「お化粧」されていましたが、日経平均が右肩上がりに上昇するので、投資など無縁だった個人も日本株ETFなどに手を出し易い状況でした。今回の下落で、この様な素人の多くが損失を出しているハズです。