■ 株価下落にショックを受ける人々 ■
市場関係者は薄っすらと予想はしていた大幅下落。既に市場には昨年の8月頃から限界感が漂っていて、FRBの利下げやステルス緩和で辛うじて値を上げていた。
市場関係者は口では「まだ上がる」と言いつつも、逃げるタイミングを計っていた。
そんな事とはツユ知らぬ個人投資家の多くは、「今年はオリンピックも有るし、大統領選挙もあるから大丈夫」と予測していた。
コロナで下落が始まっても、「コロナは一過性」と様子見を決め込んでいた。しかし、売る気満々の投資家達が居たらしく、一気に売り浴びせた。多分中国でコロナが発生した時からタイミングを見ていたのでっしょう。アメリカでの感染が本格的になると、それを合図とばかりに一斉に売りが始まった。
安心していた個人投資家は喰われた。
本来なら昨年の夏が撤退のチャンスだった。FRBの利下げ以降は明らかに「誘う」相場。根拠の無い強気が続いていた。
■ このままリーマン以上の危機になるのか ■
株価や市場の予測は難しい。なぜなら危機が起きる度にルールが変わるからだ。
リーマンショックでは国民の税金で貪欲な銀行が救われ、その後の量的緩和は財政ファイナンスを黙認市し、中央銀行がバットバンクの役を引き受けた。日銀に至っては今では日本一の株主になってしまった。
コロナショックがこのまま進行するならば、FRBも株を買い支えるかも知れない。中央銀行の資産にリスク資産の割合が増えるのだから、負債としてのお金の価値は一部毀損する可能性が高くなた。
それでも、その負債を気にする人は少ない。リーマンショック時のMBSやCDSや様々金融商品では過剰意識されたリスクが、中央銀行券では過小に評価される。
それでも、中央銀行が市場の奴隷に落ちていくならば、市場の要求通りに無尽蔵にお金を増刷するのならば、人々も「お金って何?」と疑問を持つかも知れない。
■ 財政インフレが起きると世界は終わる ■
現在の経済では多少通貨が増えても容易にはインフレは発生しない。危機の後、大量に発行された通貨は、元々存在しなかった価値をこの世に現出させて誰かの利益を確定させる。「始めに借金ありき」が現代の信用通貨の本当の姿なのだから。借金を積み上げて国民の税金に救われた者が徳をする。
一方、容易に発生する事のないと思われているインフレだが、国際金融システムの循環機能に障害が発生した場合には充分に起こりうる。
現在のインフレ抑圧の原因は、金利の低い先進国から金利の高い新興国に容易に資金が移転する事で国内の実質的資金不足による。金利を下げる程資金は海外に流出して国内の資金不足を助長する。これは消費の活発なアメリカとて例外では無く、賃金の低下というフィードバックによって金利抑圧の傾向はさらに強まる。
しかし金融システムによる循環機能が弱まれば国内に資金は滞留し、資産市場からインフレが発生する。金融循環の抑圧要因には今回のコロナウイルスの様な物から、戦争や冷戦といった軍事的危機まで様々なタイプが存在する。
それらの危機は最初は消費や投資の抑制要因として機能するが、その結果政府が財政支出を高めると次第に国内の資金が過剰になり始めインフレ圧力が高まる。
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