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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

重症化しても呼吸困難を感じない・・・急激な重症化の原因

2020-04-27 07:40:00 | 新型コロナウイルス
 

■ 肺炎が進行しても息苦しさを感じない ■

東洋経済の4/24の「コロナ『突然重症化』した人の驚くべき共通点 10日間救急治療室で患者を診た石の見解」
は必読です。

1)新型コロナ肺炎の患者は、肺の機能低下で血中酸素濃度が低下しても息苦しさを感じない
2)酸素の供給能力は低下しているが、二酸化炭素の換気は出来ている
3)血中二酸化炭素濃度が上昇しないので、呼吸困難の症状が出ない
4)病院に搬送される時点で相当血中酸素濃度が低下しているので、その後急変し易い

5)パルス・オキシメーターで血中酸素飽和度を測定すれば感染の発見に繋がる


どうやら、新型コロナウイルスに感染しても肺胞に水が溜まったりするのは、かなり症状が進んだ段階で、普通は肺炎を起こしても、二酸化炭素の換気が出来ている為に、症状に気づかないでいるケースが多い様です。

そして、呼吸困難を訴えた時点では、肺の機能は相当に失われ、その後の急激な重篤化に進むらしい。


■ パルス・オキシメーターって昔、富士山に登る時使った ■

血中酸素飽和度を測定する機械は、指を穴に入れるだけで血液を採取する必要も無い「パルス・オキシメーター」という装置ですが、現在では昔流行した「デジモン」程度の大きさの装置も売られている。

10年程前まで、我が家では家族で富士登山をする習慣が有りましたが、子供の自由研究のテーマが「高山病と血中酸素飽和度」だったので、家内の病院からパルス・オキシメーターをお借りして、バスケ部の部員を登山に同行させていました。(引率の教諭と良く間違えられました)

気圧が低く、酸素分圧も低い高山では、さぞ血中酸素飽和度も低くなるかと思いきや、運動(登山)を停止すると直ぐに90%程度には回復してしまいます。結果、富士登山で頭痛や吐き気などの症状(高山病では無く、山酔いと呼ばれる程度の症状)が出るのは、血中酸素飽和度の低下が原因では無いと結論付けました。

(個人的には過換気による血中二酸化炭素濃度低下で血液PHが低下し、血中のアンモニア濃度が高まる事が原因と妄想しています。脳が軽い二日酔い的な状態になるのはアンモニアが原因では無いかと・・妄想しています。)

話がだいぶ逸れましたが、医療関係者などはパルス・オキシメータで血中酸素飽和度を測定して70%などとう数字になったらPCR検査をすれば、発熱などの症状が出てからPCR検査をするより早期発見に繋がると書かれています。

ただ、心拍同様に少しの運動などでも血中酸素飽和度は変化し易いので、素人がこの装置を買って、ちょっと血中酸素飽和度が下がったからと言って直ぐに病院に行く様な事は避けて下さい。そもそも、素人が買様な装置ではありませんが。(小さくても医療危機なのでそれなるのお値段です)


新型コロナウイルスは日替わりメニューの様に、重症化の可能性が有る新たな要因が報道されます。しかし、致死率が著しく低い日本人が、これらの情報に怯える必要は在りません。

ただ、感染したかなと思た時や、自宅待機になった時、何を気を付ければ良いかの目安にはなると思います。



新型コロナウイルスは血管の内皮細胞に感染する?・・・エボラとは違う

2020-04-27 03:33:00 | 新型コロナウイルス
 この記事、急いで書いたので文脈がおかしな所が残っていますが、後で直します。(誤字はいつもの事ですが)

 この記事を書いた直後に、急激な重篤化の主要因と思われる記事を見つけたので、この記事にある血管内皮細胞へのウイルス感染は、肺炎以外の急激な症状悪化の原因と考えた方が良いかも知れません。そして、その発生確率はそれ程、高く無い可能性を考慮に入れて、この記事をお読み下さい。




■ 新型コロナウイスは血管の内皮細胞に感染する能力が有る ■

777さんがコメントを下さった情報が、何となく新型コロナウイスによる重篤化や旧死の説明的にししっくりするので、そのまま引用させて頂きます。

<777さんのコメントを引用>

高齢者の重症化原因? 新型コロナは全身の血管に感染することが判明

新型コロナウイルスは初期には新型肺炎と呼ばれており、呼吸器系に感染するウイルスだと思われていました。

ですが増加する死亡者の検死解剖を行った結果、死者の多くに、複数の臓器にまたがる甚大な損壊が生じていることが明らかになってきました。
そこでスイスの研究者は、原因を探るために、ウイルスにより亡くなった患者の臓器の詳細な観察を行いました。

その結果、コロナウイルスは肺だけでなく、全身の血管に感染する能力をもっていることがわかりました。死んだ患者の血管内皮に、ウイルス粒子がビッシリとこびりついていたのです。

そのため死者の臓器では末梢の血管が崩壊しており、血液の流出を引き起こし、臓器の壊死を引き起こしていました。

また追加の分析で、高齢者や糖尿病や高血圧、心疾患などにより、既に身体中の血管にダメージを受けている患者ほど、ウイルスによる血管への感染に脆弱であることがわかりました。

新型コロナウイルスは全身の血管内皮に感染できる

新型コロナウイルスは全身の血管内皮に感染する力がある

新型コロナウイルスは、表面にあるスパイクと呼ばれる構造を、人間の細胞表面に存在するアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することで感染します。
今回の研究により、ウイルスは肺に存在するACE2にだけ感染するのではなく、体全体の血管内皮に存在するACE2にも感染することが判明しました。

上の画像では、ウイルスが腎臓の血管内皮に入り込んでいる様子が示されています。

ウイルスが感染した血管内皮は炎症を引き起こすだけでなく、ウイルスが細胞を喰い破る物理的な破壊を受けて体内で出血を引き起こします。

高齢者や血管系にかかわる生活習慣病などの持病がある人は既に血管が弱っているため、ウイルスによる感染と破壊に血管が耐えきれず、症状が重篤化すると考えられます。

今回の研究成果により、新型コロナウイルスの正体はただの肺炎ではなく「全身性血管炎症」であることがわかりました。

<引用終わり>


■ DIC(播種性血管内凝固症候群、敗血症)や血栓を指摘している専門家も ■

ここ数日、新型コロナウイルス感染者の死因に「血栓」が関係しているのでは無いかとの報道がチラホラ見られます。

又、イタリアの著名な病理学者は新型コロナウイルス患者が「DIC(播種性血管内凝固症候群、敗血症)」を発症していると指摘しています。

細菌などが血管中で増殖する際に、細菌の出す発熱物質(エンドトキシン)が、白血球の一種のマクロファージや単球のに血液の凝固因子となる組織因子を発生させ、血液の凝固が血管内で始まる事によって引き起こされます。全身の血管内で凝固が始まると、微細な血栓が大量に出来、細い血管を詰まらせる事で、組織や臓器に血液が流れなくなり組織の壊死が起ります。

さらに、凝固制御因子のアンチトロンビンや、血栓を溶かすプラスミンが活発に働くようになり、本来なら出血を止める為に必要な凝固を阻害する事で、出血が止まらなくなる症状が並行して発生します。

これが新型コロナウイルス感染で疑われている「DIC(播種性血管内凝固症候群、敗血症)」です。

■ 子供の足指に凍傷(しもやけ)の様な症状が出る ■

新型コロナウイルスに感染した子供の足指に凍傷(しもやけ)の様な症状が出る事も指摘されています。これも血栓による末端血流の阻害が原因では無いかと思われます。

<引用開始>

abcニュース(4月21日)によると、皮膚科医たちが「コロナの爪先(COVID Toes)」と呼んでいる現象があるそうだ。凍傷と同じように、つま先が赤や紫に変色するのだが、症状の軽い子供や若年層に多く見られる。さらに、紫色の網目のような模様が出ることもあり、いずれも血栓との関係が疑われている。

<引用終わり>


■ 血栓の原因は血管内皮細胞の感染によって引き起こされる? ■

777さんが教えて下さった新型コロナウイルスが血管の内皮細胞に感染する能力が有り、その結果血管内皮細胞が破壊されて出血が発生した場合、当然、出血を止める為に血液凝固因子が働き、血管内に大量の血栓が生成される事は容易に想像が付きます。

■ 高齢者の死因の多くは、サイトカインストームでは無く肺血栓では無いか ■

これらの血栓に一部が肺の欠陥を塞げば肺血栓を引き起こします。高齢者の欠陥は細くなっているので、若者よりも血栓にって血管が詰まり易い。又、心臓疾患の一部は心臓の冠状動脈が細くなっているので、ここに血栓が詰まると心筋梗塞を起こし易い。糖尿病患者も心臓の血管障害を併発している場合が多い。

これまで、新型コロナウイルスによる急激な重篤化の原因はサイトカインストームでは無いかと言われていましたが、高齢者に急変患者が多く事などから、私は若者以外でサイトカインストームが高率に発生する事に疑問を持っていました。

サイトカインストームは過剰免疫反応ですから、免疫の低下した高齢者では普通は起こり難いはずです。

一方、免疫力の低下した高齢者ならば、ウイルスが血管の内皮細胞に感染する事を防ぐ事が出来ずに、その結果、微細な血栓が大量に生成され、肺を始め様々な組織の毛細血管を詰まらせる事は容易に想像が出来ます。

■ 軽症者が多いという事は、通常の免疫反応(IgM)(IgG)が働く状況では血管内皮細胞の感染は起こらない? ■

全身の血管から出血する症状はエボラ出血熱の特徴ですが、新型コロナウイルスはエボラの様な極端な出血による死亡は報告ありません。

「一方で、全身の臓器が溶けた様になっていた」などHIVの患者の様な症例も報告されていますが、これも血管内皮細胞への感染である程度説明が付きます。

一方、世界的に多くの感染者が無症状、或いは軽症の事からも、血管内皮細胞への感染は、通常は免疫で防がれていると考えるのが自然です。

上気道や気管支の免疫はIgAが担当していますが、血液内の免疫はIgMやIgGが担当しています。

1)コロナウイルスが血管内に侵入する
2)マクロファージや樹状細胞がウイルスのタンパク質の一部を「抗原」として提示
3)最初にIgM抗体が生成されます
4)次にIgG抗体が大量に生成されます


一方、粘膜の抗体IgAは様々な細菌やウイルスに対応していますが、その発現がIgMに比べると遅いので、インフルエンザや風邪では、ウイルス感染から数日はIgAが活性化していません。一部、多量体のIgAはかなり広範なウイルスに対して即効性が有る様ですが、量は多くありません。感染が進行するか、軽微や無症状で済むかは、浸入したウイルスの量や、多量体のIgAの量や、T細胞など通常の免疫系の活性度で決まるのでしょう。

確かに子供の足指の凍傷(しもやけ)の様な症状からも、若年者でも血栓が生じる可能性は有りますが、通常にIgMが働く状態で、それが敗血症の様な全身症状に至るケースは希なのでしょう。

■ 軽症者は風邪程度 ■

新型コロナウイルスは次の様な進行をするのでは無いか


1) 鼻や口から体内に侵入

2) 鼻腔の奥、上気道、気管支などで増殖

ここで、通常免疫によって撃退されると症状は軽症か、風邪程度の症状



3) 気管支での感染が肺に広がり、肺炎を引き起こす

人工呼吸器を必要としないが、治療が必用な状態


4) 肺炎が両肺に広がり、酸素供給機能が失われる

人工呼吸器が必用な状態


これとは別に、上気道や気管支などの感染箇所の組織破壊で血管内にウイルスが浸入した場合

1) 血管内の通常免疫やIgMによってウイルスが撃退される

大多数の人は、血管内皮細胞の感染は防がれる


2)  血管内皮細胞への感染が広がる

3) 血管内皮細胞が破壊され出血が始まると、それを止める為、血液凝固因子が作られる

4) 血管内に大量の微細な血栓が生成される

5) 組織の毛細血管などが血栓によって塞がれ、組織の壊死が起る

6) 一部は肺血管に詰まり、肺血栓を引き起こす


新型コロナウイルス感染で突然重篤化するケースは、血管内皮細胞の感染が原因として疑われる。

しかし、エボラ出血熱の様な極端な血管組織破壊というよりも、軽微な血管内皮細胞の破壊が多くの箇所で発生する事で血栓が大量に生成される事による、2次的血流阻害による組織の壊死という進行を取ると思われる。



新型コロナウイルスの急激な重篤化の原因の一つに、血管内皮細胞へのウイルスの感染による血栓の影響が考えられるが、エボラ出血熱の様な急激な血管の損傷は起こらないと思われます。



通常にIgM抗体・IgG抗体が正常に働く健常者は特に心配は要りませんが、高齢者は肺血栓などの予防を心掛ける必要が有りそうです。


世界から取り残される日本・・・誤魔化しのツケ

2020-04-26 01:56:00 | 新型コロナウイルス
 

■ 世界のコロナ感染は収束し始めた ■




上のグラフは世界の新型コロナウイルスの感染者数の推移です。人口100万人当たりの累計です。

韓国 緑色
日本 緑色
ドイツ 紫
イタリア 青
アメリカ 藤色

イタリアの諸都市がロックダウンに入った後、ドイツが3/16日にロックダウンに突入しています。

ドイツと韓国はPCR検査を多く実施した国です。

1)韓国は感染拡大がドイツより半月早い
2)韓国は3月の初旬から感染者はほぼ増加していない(集団免疫獲得?)
3)イタリアやドイツも感染者の増加が横ばいになりつつある

アメリカはペンス大統領が5月下旬に感染は収束するだろうと発表しています。


■ 日本と韓国は何が違うのか? ■

中国の隣国で中国からの感染者も多い日本と韓国では、感染拡大の時期は同じハズです。1月下旬から両国とも市中感染者が出始めましたが、現在は昨年末にはウイルスが浸入していた可能性も示唆されています。

韓国は不埒な患者が教会で感染を拡大してしまって以降、PCR検査を積極的に実施して、感染実態の透明性は高い。

一方、オリンピックを控えPCR検査をほとんど実施して来なかった日本は、3月中旬以前の感染実態は殆ど分かっていません。(ペテン師の西浦教授はクラスターを把握していたと嘘をついていますが、そんなファンタジーを信じる世間は〇〇です)

韓国より緩い防疫体制(と言うか、ほとんど何も対策をしていなかった)日本は、韓国と同時期か、或いはそれより先に感染ピークを迎えていたというのが感染学の常識です。(専門家は何故かピタリと口を閉ざしていますが)

■ 検査数を調整して3月末から感染が始まったと言い張るペテン ■

世界の感染者数の増加がガウス分布的に増えている事に対して、日本の感染者の増加は、検査数の増加率にほぼ比例しています。

要は、発熱などの症状のある、コロナ感染の疑いのある人の検査人数を徐々に増やしていって、感染が3月下旬から始まった様に装っているだけ。

だから、感染者の増加率も各国に比べて格段に低い。


■ 抗原検査も加えて感染者を一生懸命に探す日本 ■

最近の日本のPCR陽性者の数の推移を見ると、東京都などで既に頭打ちとなっています。各国、感染の拡大から収束まで2か月以上掛かっていますから、今日本が感染ピークを迎えてしまうと、色々とマズイ。

そこで、政府は感染者がどんどん増えている様に見せる為に、抗原検査の認可を急いでいます。隠れた感染者を発掘しないと、日本がとっくにピークアウトを迎えていた事がバレてしまうからです。


■ このままでは日本だけが世界から取り残される ■

日本は強制的なロックダウンこそ行っていませんが、緊急事態宣言が全国に拡大され、休業要請の対象も増えていますから、事実上のロックダウン状態です。

今後、各国がロックダウイン解除に動く中で、鴎大学の岡田教授などが、収束は6月か7月かもしれないなど、寝ぼけた事をTVで言っています。この方も西浦氏同様にかなるアヤシイ人物です。「超弱毒」でWHOが世界に怒られた2009年の新型インフルエンザ騒動の時もTVで恐怖を煽っていた人物ですね。ワクチン・マフィアの下っ端の匂いがプンプンします。

■ 抗体検査を献血で行い、個人に結果を教えない ■

ロックダウン解除の目安は、広範な抗体検査を実施して、国民のある程度の人が抗体を保有している事が確認する事が重要です。

厚労省は3000人程の抗体検査を実施する様ですが、その目的は「抗体検査キットの性能評価」としています。

検査には関東と東北の献血で集めた血液を使い、個人に結果は通知しないそうです。

これ、ほとんど隠蔽に近く、予想以上に抗体獲得者が多ければ、検査キットの精度が低く擬陽性の率が多かったと発表すれば良い。


■ TVとネットに洗脳された国民は「これから感染が拡大する」と信じて疑わない ■

TVは日々「感染が拡大しつつある」と報道し、ネット住民はそれを拡大再生産して「これから日本はもっと酷い事になる」と自己暗示を掛けています。

そんな状況を私などは「異世界の出来事」の様に眺めています。私の中の常識と、あまりにかけ離れてしまっていて、現実感が持てないのです。

一部の人達が真実を拡散しようと頑張っていますが、国民の洗脳の壁の前に、その努力はあまりに虚しい。


はっきり言って、私はゾンビの群れの中に放り出された様な恐怖を感じています。感染するのはコロナでは無く「思考放棄」と「同調圧力」。これはウイルスよりも恐ろしい。




含み益は確定しないと利益にならない・・・投資家のATMと化す中央銀行

2020-04-25 03:12:00 | 時事/金融危機
■ ガラス玉バブル ■

仮に、ここに一つのガラス玉があるとします。非常に美しい玉です。

ある人が1万円でこれを買ったとします。それを見ていたガラス職人が10個の似た様なガラス玉を売り出しました。それに1万円という値をつけます。「このガラス玉は〇〇さんが1万円で買った値打ち物だよ」と宣伝します。多くの人が、ガラス玉を欲しがり、2万円で売ってくれとガラス職人に持ち掛けます。10個のガラス玉は2万円で売れました。

これに気を良くしたガラス職人は100個のガラス玉を作って2万円の値段を付けました。朝、店を開けると、店の前には長い列が出来ていました。300人は居るでしょうか。その内の一人の男が、「オレ達で話合ってガラス玉を3万円で買いたいヤツを100人し絞ったよ、さあガラス玉を売ってくれ」。そう店主に持ち掛けました。店主は喜んで3万円で100個のガラス玉を売りました。

評判が評判を呼んで、街中の人達がガラス玉を欲しがり出します。しかし、店主が作れるガラス玉は1日100個が限界でした。人々は銀行で借金をしてガラス玉を買おうとしました。ある人は既に持っているガラス玉を担保にして借金をしました。

こうして、街中の殆どの家にガラス玉が飾られる様になりました。人々は毎日、ガラス玉を磨きながら、「このガラス玉は50万円で手に入れた貴重品だと」と自慢し合いました。

3か月程したある日、娘の結婚でお金が必用になった男が、市場でガラス玉を売りに出しました。しかし、既に街中の家のガラス玉が有るので、ガラス玉は男が買った50万円ではうれません。お昼を過ぎた頃に男はガラス玉を20万円でようやく売る事が出来ました。町一番の金持ちが「20万円ならもう一個買っても良いかな」と言って買って行きました。

翌朝、ガラス玉が20万円でしか売れないという噂が街中を駆け巡りました。人々は我先にガラス玉を売ろうとしますが、10万円でも、5万円でもガラス玉は売れません。とうとうガラス玉は3000円まで値下がりしました。

すると、最初にガラス玉を買った男たち10人程が、町中のガラス玉を全部買うと言ってくれました。人々は渋々、ガラス玉を男たちに手渡し、3000円を受け取りました。

その日の夜、街はずれの酒場で、ガラス屋の店主と11人の達が酒瓶を大量に空にしていました。

「いやー、今回も儲かった」
「まさかあんあガラス玉に50万円払うヤツがこんなに居るとはな」
「もう、こんな街には用は無い。長居は御免だ。次の街に行こう」
「今回作ったガラス玉は手元にあるからな、次は楽に稼げるぜ」


まあ、極端な例では有りますが、バブルなんて、だいたいこんな感じで、仕掛けるヤツが居て「儲かる」という噂に引かれて、後からやって来たヤツがカモになります。

一所懸命に貯めた老後の資金などが一瞬の内に消えてしまいます。中には資金をギルドに預けている人も居るでしょう、しかし、ギルドもガラス玉に投資をしていたので、ギルドの金庫も空になってしまいました。(年金積立金とかですね)


■ バブルで膨らむのは含み益 ■

リーマンショック以降の金融緩和バブルで株価が上がり、債券価格も上がり(金利は下がる)りました。これらの資産に投資している方は、値上がりすると「儲かった」と考えます。しかし、これらの投資で儲けが出るのは、資産を売却して利益を確定した時です。ガラス玉は売るまでは利益を生みません。

誰でも高値で売って利益を最大にしたいと考えます。しかし、多くの人が資産を売却すると、値段が下がってしまいます。最悪は「暴落」する。

結局、バブル化した市場で儲かるのは最初に売却に成功した人で、後の殆どは損をします。昔から言われている事ですが、1割が得をして9割が損をするのが資産市場です。


■ そろそろ最後のカーニバルが始まる ■

リーマンショック以来の金融緩和バブルですが、昨年夏頃から少し様子が変わっていました。値下がりの傾向が顕著だった。FRBは利上げを続けて資金供給を少しずつ減らしていましたし、日銀は年間80兆円の国債を買い入れるとアナウンスしながらも、実際には30兆円程度しか買い入れをしていなかった。

そこで投資家達は、株や債券を売って「バブルが崩壊するぞ」と中央銀行を脅した。慌てたFRBは利下げに踏み切り、さらに短期金融市場への資金供給量を増やして事実調のQE4を開始しました。

コロナ騒動が始まると、ヘッジファンドを始めとした投資家達は、空売りで儲けます。ある程度稼いだ彼らは、次の準備として、再び株や債券を買い始めました。これは、明らかに次のチャンスを狙っています。

世界中の国はコロナ対策で大量の国債を発行して、大量の資金を国民にバラまきます。このお金の何割かは、資産市場に流入します。コロナも終わったし、株価も債券価格も上がると考えるからです。

これこそが、投資家達が狙っていた最後のチャンスとなります。彼らは、空売りのポジションを積み上げておいて、一気に売り浴びせます。中央銀行からボーナスを巻き上げた彼らは、後は野となれ山となれと、阿鼻驚嘆となる人々を高みの見物と決め込みます。

暴落した株が底値になるまで、じっくりと待てばよいのです。


■ 実際の市場はこれ程単純では有りませんが・・・ ■

実際の市場は、様々なヘッジやデリバティブで複雑に構成されているので、これ程単純では有りませんが、しかし、リーマンショックを例に取るまでも無く、市場が恐怖に支配されると、バブルは容易に崩壊します。

コロナショックで日銀は株式市場を買い支えていますが、これは見方を変えれば空売りを仕掛けたヘッジファンドなどにボーナスをプレゼントしているに等しい。

昨年夏の市場の圧力にFRBが屈した時点で、中央銀行は貪欲な投資家達のATMとなっているのです。そして、これから最大のプレゼントが振舞われ様としています。これを止める手立ては既に有りません。各国の国民がコロナに怯えた時に結果は決まってしまったのです。

■ 「フェイク」を「リアル」に替えるトリック ■

人々の老後資金など「リアルマネー」は容易に市場から回収する事が出来ます。一方、借金によって投資された「フェイクマネー」は借金が変さされる次点で消えてしまいます。要は信用収縮によって、あったハズのお金が消える。

現在の金融市場は「フェイクマネー」の方が大きく膨らんでいますから、これを利益(リアルマネー)に替えるには中央銀行にお金を出させるしかありません。

要は、暴落した資産を中央銀行に買い取らせれば良い。これはリーマンショック後に金融緩和で行われて来た事です。一時、価値を失ったMBSをFRBは大量に買い入れ、お金を投資銀行などに配りました。(実際には投資銀行は商業銀行に吸収されて存在していない事にされていましたが)

今回はコロナショックで世界の景気が大きく落ち込む事が予測されていますから、中央銀行の財布も緩みがちです。資産市場で大幅な下落が起きた場合、各中央銀行は大量の資金を市場に供給するハズ。


コロナでお暇なアナタに最高の読書を・・・瀬名秀明「デカルトの密室」

2020-04-24 10:50:00 | 

この作品もAIをテーマにした名作。

 
【再掲載】 世界最高峰のSF、いや推理小説と呼ぶに相応しい・・・瀬名秀明「デカルトの密室」 

 





■ 『鉄腕アトム』が残した課題 ■

1995年に『パラサイト・イヴ』が大ヒットした
瀬名秀明の2005年の作品が『デカルトの密室』。

ケンイチは人工知能を有する男の子の形をしたロボットです。
祐輔はロボット研究の第一人者で、
ケンイチに人間や社会生活を一から教え込んでゆきます。

こう書くと、「なーんだ、鉄腕アトムと御茶ノ水博士じゃないか」と思われるでしょう。
しかし、同じテーマでありながら、『鉄腕アトム』と『デカルトの密室は』
全く正反対の内容です。

『鉄腕アトム』は夢と希望に溢れた作品ですが、
一つだけ重大な欠点を持った作品でもあります。
それはアトムが人の心を理解している事。


「それは御茶ノ水博士が丁寧に教えたからさ」という反論が予想されますが、
人工知能に感情を理解させる事は現代の科学では不可能です。

人工知能に、様々な状況に対する人間的反応を予めプログラムしておけば、
「人間の様な対応」をさせる事は可能です。
しかし、経験の中から自然に形成される「人格」や「感情」とは似て非なるものです。

浦澤直樹の『鉄腕アトム』のリメーク作品である『PLUTO』は
この問題に自覚的です。
アトムやウランは手塚作品とは対照的に、見た目は普通の人間として描かれますが、
ロボット達は、自分達が人間で無いというアイデンティティーの根幹と
常に向き合って生活しています。

見た目も、行動も、そして感情も、全て人と同様にプログラムされたロボット達は、
自分達が人間と同様の感情を持つが故に、
その感情が自分のものなのか、
それともプログラムされた偽りのものなのかの問題に直面します。

警官ロボットのゲジヒトなどは、「あなた、人間以上に人間臭いよ」と思えますが、
彼はロボットであるが故に、自分の記憶すらも疑います。

アトムやウランはカワイイ子供の姿で描かれますが、
アトムの感情は希薄です。
アトムは人間で無い事に自覚的で、
ゲジヒトに比べ、アイデンティテーの悩みは少ない様です。

ところが、作中でアトムは涙を流します。
これは、高度な人工知能を有するアトムが
自然発生的に感情を獲得した事を示唆するシーンです。

高度な「感情に似せたプログラム」を持たないアトムは、
感情が希薄なのでは無く、
感情を生み出す隙間が人工知能の中に用意されていたのかも知れません。

原題の作家達は手塚治虫の残した宿題に果敢に挑戦しています。
そして、瀬名秀明の『デカルトの密室』は、
ロボットの自我獲得を通じて、人間の自我の本質に迫る野心作です。

■ 人工知能の限界 ■

ネタバレ御免!! 読まれる方は、ここで止めてね!!

ロボット研究者の祐輔は、チューリング・コンテストに参加する為に
メルボルンを訪れます。

チューリング・コンテストとは、人工知能の性能を競う大会です。
人間と人口知能に対して、人間の質問者が質問します。
その回答を会場の人が審査して、どちらが人工知能か当てるのです。

「元気ですか」みたいな質問から、複雑な質問までを両者に答えさせます。
人工知能はネットに接続されていますから、
知識の量は人間よりも豊富です。
質問者の問いに、不明な点があっても、ネット検索で答えを類推できます。

人間的感情が必要であるならば、
ネットにアップされた映像作品や小説を参照する事だって瞬時に可能です。

しかし、人工知能には限界があります。
どんなに人間を装っても、人工知能は人間とは明らかに違うのです。

 人間性を喪失した少女 ■

祐輔と同年代の研究者にフランシーヌという女性が居ます。
常人離れした美貌の持ち主ですが、
彼女には生来、人間的は感情が欠落しています。

彼女は明晰な頭脳の持ち主ですが、
彼女の興味の対象は、人間を理解する事。
だから、学生時代も多くの男性をベットに誘いますが、
事の最中の彼女は、冷酷な観察者で、
自分達の行為をビデオに収めて観察します。

そんなフランシーヌがチューリング・コンテストに乗り込んで来ます。
彼女の義父、青木英伍の会社、『プロメテ』が
今年からコンテストのスポンサーになったのです。

フランシーヌと祐輔は知らぬ仲では無いようです。
彼女はいきなり祐輔と自分と人口知能で、
誰が一番人工知能に似ているかテストをしようと提案します。

到底人工知能は人間にはなりきれませんが、
人間なら人工知能になりきれる・・
彼女の挑戦を祐輔は受けて立ちます。

質問者の質問に、ちょっとピンボケの回答を返す3人に
会場の人達は、どれが本物の人工知能だかなかなか判断が出来ません。

ところが、何と、フランシーヌの回答は、
全てルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」と鏡の国のアリス」の引用だったのです。

とんだ茶番に祐輔は付き合わされた訳ですが、
読者は、チューリングテストの審査員の立場を擬似的に体験します。

そして、「アリス」が看破される事で、
実際に失望を感じると同時に、
フランシーヌの不可解な行動に興味を抱きます。

■ 「中国語の部屋」という命題 ■

疲労困ぱいで会場を出た祐輔ですが
その直後に何者かに誘拐されて監禁されます。

意識を取り戻した祐輔の顔面にはモニターが張り付いています。
彼の視覚は、上下が逆さまに入れ替わっています。

この状態を人間は生理的に受付ません。
脳がパニックを起こすのです。

助けを呼ぼうにも、部屋にはPCが一台あるだけ。
そして、そのPCに外部からの呼びかけがあります。
・・・どうやら、このPCはチューリング・テストの質問者に繋がっている。

助けを呼ぶために「HELP」という単語を一つ打つのも上下逆さまの視界では混乱します。

次に目覚めると視覚は左右反転しています。
困惑する祐輔ですが、これが「中国語の部屋」という命題である事に気付きます。

密室に中国語を全く知らない人を閉じ込め、
外部から中国語でアクセスします。
部屋に閉じ込められた人は、部屋に置かれた中国語の辞書で返答を試みます。

はたして、彼は中国語を理解する様になるのか?

これは人間の言語獲得の仮説的実験ですが、
祐輔は自分を監禁したのはフランシーヌだと確信します。

■ ロボットによる殺人 ■

消息を絶った祐輔を探す為、
祐輔の彼女であるレナが日本から駆けつけます。

彼女は進化心理学者で、現在は祐輔の作ったロボットのケンイチと暮らしています。
ケンイチの機動から初期学習までは祐輔が担当しましたが、
その後の人工知能の教育は、レナが担当しています。

ケンイチの初期学習は、身の回りの物の認識から始まります。
そして、物を掴む事や、移動の方法を徐々に学びます。

祐輔の取った手法は、最初はケンイチの制御系に祐輔が介入し、
繰り返し動作を学習させ、徐々に介入の度合いを引くしていく方法。
これは、習字の先生が生徒の手の上から筆を持って教える方法に似ています。
模範的な動きを模倣させる事で、人工知能の成長を促進させるのです。

同時に祐輔は、ケンイチに社会規範などを教えてゆきます。
そうして、ケンイチが日常生活を営めるようになった時点で、
レナにケンイチの教育を交替します。

レナはケンイチに何かを積極的に教える事はしません。
日常的に母親の様にケンイチと接し、
彼の手を握ったり、頭をなぜたりして、
それがケンイチにとって心地よく安心する事であると教えてゆきます。
これも幼児を教育する母親に似ています。

レナはケンイチになるべく「自分で考える」様に仕向けます。
ケンイチが「感情の様なもの」を獲得していく過程が
彼女の研究の対象でもあるのです。

その様に育てられたロボットのケンイチは、
かなり人間的に描写されます。
彼は小説の執筆にもチャレンジする程、人間臭いのです。

そんなケンイチが雄介の失踪に動揺しない訳がありあません。
そしてケンイチが発見した祐輔は、
頭にヘッドセットを装着したロボットだった!!

理解不能の状況に人工知能が完全にパニックします。
フレーム問題が発生してしまうのです。

そして、チューリング・コンテストの会場に戻ると、
何故か手に握らされた拳銃を、
ステージに居るフランシーヌに向けます。

フランシーヌの脳漿がスクリーンに飛び散る映像が、
ネットで全世界に拡散します。

「ロボットによる殺人」というショッキングな話題性と共に
映像は拡散を続けます。

■ ネットの中のフランシーヌ ■

しばらくするとネットのフランシーヌの映像が、
微妙に変化している事に人々が気付き始めます。

色が微妙に違っていたり、
声が聞こえたりする様になるのです。

フランシスのプログラムの変化は学術的にも注目を集め、
『プロメテ』のコンピューターがMITと共同で解析に当たります。

ネットではフランシスの映像は自律進化していると囁かれ始めます。

一方、『プロメテ』はフランシスそっくりのロボットを発売します。
青木英伍は、自分の幼女を商売のネタにしたのです。

■ 人間をその小さな脳から解放する ■

しかし、その青木英伍が、彼の家で殺害されます。
殺害したのはフランシスのロボット。

しかし、この殺人を仕掛けたのはフランシーヌの夫でした。

フランシスと彼女の夫であるロボット研究家は、
人間の意識は、脳という器に縛られて進化できないと語ります。
だから自分達はフランシーヌをネット空間に解放したのだと。

デカルトが「脳を自我の器」と主張した時から、
人間は脳に囚われた存在に成り下がったのだと。

人間は脳の中の小人、ホムンクルスから進化できずにいると語ります。

■ ケンイチの選択 ■

フランシーヌの夫はケンイチに執着します。
ケンイチの意思も感情も、裕輔とレナが与えた幻想に過ぎないと
ケンイチのアイデンティティーに揺さぶりを掛けます。

祐輔もレナもケンチイを人間の子供のイメージを被せているだけだと。
彼らは、ケンイチに感情や自我を与える振りをしているだけだと非難します。

そして、ケンイチに、レナと祐輔を撃ち殺して、開放されろと迫ります。

さて、ケンイチの下した決断とは・・・。

■ これは最早日本のSF小説では無い。英語で出版されていればヒューゴ賞が取れる ■

『デカルトの密室』は典型的な密室の構造を何重にも取りながら、
脳という密室の本質に迫ります。

文体は乾いていて硬質。
典型的なアメリカのSF小説をイメージさせます。

内容は、アメリカのSF小説の最高の栄誉である、
ヒューゴ賞とネビュラ賞を同時受賞(ダブル・クラウン)した過去の諸作にも劣りません。

SFとしても、推理小説としても、そして前衛小説としても
時代の水準をはるかに凌駕する作品です。

村上春樹がイメージだけでバカ売れする一方で、
こんな名作は評価されずに埋もれてゆく。

決して読みやすい本ではありません。
むしろ、読者をデカルトの迷宮に突き落とす為、
時制と視点が入り乱れる構成をあえて採用しています。

密室トリックとしては少々奇抜過ぎるトリックですが、
科学小説や、哲学小説として読む方が楽しめる作品です。


本日も、ネタバレ全開で突っ走ってしまいました。